よくライター以外の方からは「取材旅行?楽しそう」と言われます。一方、同業の方からは「取材旅行?大変じゃありませんか?」と心配されることも。なぜ、ここまで違うのでしょうか。
そもそも取材旅行とは?
試乗会の場合はツアー旅行のように決められたプログラムに従って取材します。自由に行動することはできませんが、あらかじめプログラムが用意されているため、ネタ探しに苦労することはありません。
自由にコースを決めて取材する際は、自分のペースで仕事を進めることができます。一方、ネタは自分で探す必要があり、観察眼やセンスが求められます。
過去には海外のプレスツアーに参加したこともありましたが、基本的な取材方法は国内も海外も変わりはありません。
いずれにせよ、取材旅行は「楽しむ」は二の次で、「仕事」という認識がどうしても必要です。当たり前といえば当たり前ですが……。
取材旅行は案外しんどい?
プレスツアーの主催者は「取材陣にいろんなところを見てほしい」と思っているため、基本的に朝から晩まで予定をぎっしりと入れます。プライベートな旅行ですと、疲れたらひと休みできますが、取材旅行ではそうはいきません。そのため体力勝負という側面があります。
これまでの経験では、深夜時間帯に取材することもありました。それでも取材には最高のコンディションで臨むことが求められます。取材中にうっかり寝てしまってはいけませんからね。
また取材前には行程の確認や見どころの下調べをします。あらかじめ情報を頭にインプットしないと、見逃しが続出する事態に。執筆中に「あそこも見ておけばよかった」「もっと質問しておくべきだった」という後悔はしたくないものです。
このように考えると、取材旅行は事前準備が大切!ということになります。このあたりは一般的な出張と変わらないのかもしれません。
ひたすら写真を撮りまくり、メモをする旅行
もう少し具体的に取材旅行の内容を見ていきましょう。
取材ではとにかく写真を撮りまくります。そのため、SDカードは数枚、カメラのバッテリーは2個持っていきます。本来ならカメラマンが欲しいところですが、筆者はライター&カメラマンを兼任します。
ケースによりますが、多くの取材陣が訪れている場合は撮影時間も短くなります。そのため身軽な格好でサクッと撮影できるスタイルが最適。カメラは基本的にオート。いい写真を撮るというよりは資料用という意味合いも込めて、特に長期の場合は枚数を多めに撮ることを意識しています。
さらに、少しでも気になることがあったら、メモをします。メモをノートに書くか、スマホアプリにするかはケースバイケースという感じ。メモをする際は内容はもちろん日付と時刻も記入します。
忘れてはならないのがボイスレコーダー。少し長いインタビューを記録する際に重宝します。余裕があればボイスレコーダーを使いながらメモをすることも。執筆の際に録音データを探す手間が省け、とても便利です。
どうやって取材旅行の案件をゲットするか
「どうやって取材旅行の案件をゲットするのですか」。これもよく聞かれる質問です。
「人の縁です」と答えれば身も蓋もありませんが、実際のところはそんな感じです。小さな案件をうまくこなしたら「合格」となり、仕事をコツコツと続けることに。
そして機会があれば取材旅行にチャレンジでき、編集者の信頼を勝ち取れば、定期的に案件がやってくる流れです。
これはライター個人の性質にもよりますが、取材旅行を多く担当するライターは、フォロワーをたくさん持っているインフルエンサーか、専門性を有しているかに分かれるような気がします。ちなみに筆者は後者となり、専門外の取材旅行案件はほとんどオファーされません。
最初のきっかけをつくるには、インターネット上のクリエイターの実績を宣伝するサイトで履歴書を書きまくることが大切。最初は「こんな履歴書、誰が見るんだろう」と思うかもしれませんが、案外編集者は見ているものです。余力があれば旅行系媒体にダイレクトに営業メールを送るのもいいでしょう。
あれこれ書いてきましたが、知的好奇心が刺激される取材旅行は、本当におもしろいものです。ぜひ、みなさんもチャレンジしてみてはいかがでしょうか?