みなさん、こんにちは!TABIPPO編集部の西嶋です。
 
今回は、12月21日にTABIPPOオフィス本社で行われた講義 「アイディアを形にするための『プロデュース論』」の様子をレポートします。登壇者は株式会社KabuK Style Co-CEOの大瀬良亮さん、ファシリテーターはTABIPPOマーケティングチームの篠原輝一さんです。

 

大瀬良さんってどんな人?


大瀬良さんは長崎のご出身で、筑波大学をご卒業後、電通に入社。電通では、ソフトバンクや高知県のプロモーションを担当したのち、政府へ出向し、首相官邸のSNS広報をプロデュースされていました。
 
高知県民の家族のあたたかさを押し出した「高知家」プロモーションを通じて、高知県の移住希望先ランキングは急上昇。首相官邸のインスタは「JKが運用しているのでは?」と日本中をざわつかせ、今や、フォロワー25万3000人を抱える超人気アカウントになっています。

 

Q. これまで何か国に行ったんですか?

政府に出向していた際、のべ70か国を訪れたという大瀬良さん。総移動距離は60万キロメートル以上。これは地球15周分にのぼります。ときには、片道26時間かけて南米に行き、日帰りで日本に帰ってくるような日程もあったそう!

 

Q. HafHってどんなサービスなんですか?


大瀬良さんが共同代表を務める株式会社 KabuK Styleのサービス、HafH。”Home away from Home”の頭文字を取ったもので、そのサービスを一言で表現すると「定額で、世界中住み放題」というもの。
 
17か国地域に137都市、194の拠点があり(2019年現在)、どの拠点も快適に働けるスペースと宿泊スペースを備えています。HafHを利用すれば、気軽にお得に、働きながら世界中を旅することができるのです。
 
また、HafHコインを使えば、個室を利用することも可能。泊まれば泊まるほど、コインが増える仕掛けなので、利用するほどお得に旅できるというわけですね!
 
大瀬良さんがHafHを考案したのは、タイトなスケジュールで世界を旅して働く世界中の人たちと出会い、彼らが生み出すイノベーションのスピードに危機感を覚えたから。
 
世界を舞台に働けるようにならないと、近い将来、「日本っておもしろくないよね」と言われる日がやってくる――そう感じたそうです。
 

 
また、日本の 住宅事情に疑問を唱えたいという想いもありました。日本では、不動産を借りるときには敷金、礼金、保証金が必要です。これは、世界を旅して働きたい人や身元保証人がいない人、数か月だけ住んでみたい外国人などには、不利な仕組みだと言えます。
 
好きな人と好きなように暮らせる世界を実現させたい――そんな想いがあったそうです。
多くの人にHafHを楽しんでもらうには、お金も時間も必要です。だから、国内外の既存の宿泊施設との提携をスタートさせ、今や拠点数は200近くに。利用者もどんどん増え、予約受付数は4000泊を数えるまでになりました。
 
参考記事
・HafH × TABIPPO 特設サイト
・【HafH 特別インタビュー企画】岡島かりん「誰かの背中を押したいから、”旅するエンジニア”になった」

 

Q. 世界を旅して働くって、ハードルが高いのでは?


「今、日本から出ることのハードルは、かつてないほど低くなっています」と大瀬良さん。東京から東南アジアへの航空券は、東京~大阪の新幹線の切符代より安いですよね。しかも機内では、贅沢に読書や映画鑑賞を楽しむことができます。便利なアプリが登場したことで、道に迷わず、移動にも言語にも困らなくなりました。そしてHafHを使えば、安全な宿を探す手間を省くことができます。
 
日本では、まだまだリモートワークを認める企業は少ないというイメージがあるでしょう。実際、海外では、リモートOKの企業は56%。その一方で、日本はわずか14%です。
 
では、東京に注目してみるとどうでしょう。なんと、25%の企業がリモートワークを認めているというデータがあるそうです。3年前の7%と比べると、大きく増加しています。HafHも後押しとなり、今後はリモートワークがさらに定着することになるでしょう。

 

Q. 電通にどうやって入ったんですか?


学生さんから「よく電通に入れましたね!」なんて言われることもあるんですよ(笑)と冗談めかして会場を笑わせてくださった大瀬良さん。筑波大学に通っていたので、就活イベントに参加するには、東京まで行かなければなりませんでした。
 
そこで大瀬良さんは、友人らと組んで、名だたる企業にアプローチ。10社近くの有名企業が一堂に会する学内イベントを開きました。
 
イベントを主催したことで、大瀬良さんは、電通の人事担当者と顔なじみに。インターン生のように別ルートで内定をゲット……と思いきや、面接で人事部長から「もっと個性が欲しい」と言われてしまいます。
 
その出来事をきっかけに、鎧を脱ぎ、自分の言葉で企業と向き合うことを意識した大瀬良さん。選考を突破し、再び面接の場で向かい合った人事部長から「なんか変わったね、いいじゃん!」という言葉をかけてもらい、無事内定を勝ち取ったそうです。

 

Q. アイデアの実現方法を教えてください!

大瀬良さんが重視しているのは、「誰をチームにするか(=プロデュース)」。どんな特技を持っている人を集めれば「敵(=クライアントの抱える課題)」を倒せるかを考え、メンバーを口説いてチームを作るそうです。

また、アイデアが形になるかどうかは二の次で、種をたくさん蒔くことも大事だといいます。出し惜しみせず、周りにいる人に全部シェアする。「100の種を蒔いて1つ花が割けばいい」という言葉が印象的でした。

 

Q. 進学、就職、退社…大きな決断をする方法は?


大瀬良さんは、今までの人生において、さまざまな決断をしてきました。ですが、一度も後悔したことがないそう。そのコツとして、「選択を後悔しないよう、精一杯取り組むこと」「迷ったときは、最初の直感を信じること」を挙げてくださいました。

また、“選ばない理由”を挙げてみることも有効だといいます。実際、電通を退社するときは、周囲の人に「電通を辞めないことのメリットを挙げてみて」とお願いしました。

ボーナスがもらえること、福利厚生がきちんとしていること……一つひとつ挙げては、「このメリットは、自分にとっては大したことではない」→「辞めてOK」と考え、辞めない理由を潰していったそうです。

 

「まず、やりたいことを全部やり切ったら?」


大瀬良さんのお話の後は、ワークに取り組みました。お題は、「HafHを広めるアイデア」もしくは「自分のやりたいアイデアを実現する方法」。

HafHギルド化計画や、HafHに泊まりながら47都道府県を制覇できるパッケージ、学びと旅を掛け合わせたツアーなど、ユニークなアイデアがどんどん飛び出し、大瀬良さんも興味深そうに聞いていらっしゃいました。なんと、「それ、ちょうど実現に向けて動いているんです」なんてアイデアも!

「いつか世界一周したいと思うけど、やりたいビジネスもあって……」という相談には、「やりたいことを一度やり切ったほうがいい!まずは世界一周してみようよ」とアドバイス。

「やりたいことがありすぎて、誰かのニーズを満たすためのメモリが足りていないんだと思う。世界一周してみたら、出会いもあるし、ヒントが得られるかもしれないよ」という言葉が印象的でした。HafHとしても、個人個人の「これをやってみたい」「こう生きたい」という想いをサポートしていきたいと考えているそうです。

大瀬良さん、ありがとうございました!

 

登壇者のご紹介

1983年、長崎県生まれ。 2007年に筑波大学を卒業後、電通入社。 在京若手県人会「しんかめ」を主宰、原爆の実相を伝える「Nagasaki Archive」発起人として、文化庁メディア芸術祭に出展等。

2015年から官邸初のソーシャルメディアスタッフに。2018年4月、つくば市まちづくりアドバイザーに就任。 2018年11月、「世界を旅して働く。HafH」リリース。

Twitter @ryosera_jp

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