【インタビュー】新婚旅行で世界一周した夫婦が、農園「めぐるふぁーむ」を始めたわけ
キャリアと人生 ・2022年1月23日(2022年1月23日 更新)
みなさんこんにちは、旅する臨床検査技師、Keikoです。
近年、新型コロナウイルス感染症の流行によって、日々の食生活が変化した人は多いのではないでしょうか。
私自身も外食の頻度がかなり減り、家で料理をする機会が増えました。
それにともない以前よりも「健康に良いものを食べたい」という意識が強くなり、旬の有機野菜を販売する八百屋さんを利用することが増えました。
本記事では、奈良県葛城市にある「めぐるふぁーむ」という農園において「無農薬・無化学肥料」で年間100種類以上の野菜を栽培している、岡祥満さん(以下岡ちゃん)と岡夏実さん(以下なっちゃん)にインタビューさせていただくことに。
新婚旅行で世界一周バックパッカーの旅を経験したこともあり、バリバリの旅人でもあるお二人。
世界一周の旅のお話とそこでの経験、農園を始めるに至った経緯、今後の展望など、いろいろなお話を伺いました。
食に関わってきた岡夫婦
TABIPPOでのインタビューということで、まず旅のお話を聞きたいのですが……そもそもお二人は世界一周するまで何をしてたんですか?
僕は理系の大学を卒業後、料理人として働いていました。その後、世界一周すると決めてから、東京の別のレストランに出稼ぎみたいな感じで転職しました。
そうだったの!?物凄い方向転換だと思うんですが、そう思ったきっかけとかあったんですか?
普通に就活もしていたんだけど、おもしろくなくて……。自分が好きなことをやりたいなぁって探していたときに「料理が好きだな」と思って。大学院も受かったけど、料理人の道に進みました。
イベントで料理を提供することもあるお二人
私は短大で栄養士の資格を取って、卒業後は関西で有名な、洋菓子を作る会社で働いていました。その後は小笠原で働いたり、世界一周を決めてからは1年間リゾートバイトも経験しました。今は保育園で栄養士の仕事もしています。
アクティブななっちゃんらしい経歴!お二人とも食に携わるお仕事をしていたんですね。
岡夫婦が世界一周に出たワケ
新婚旅行も兼ねて、2016年の12月から翌年の11月の約1年間で19カ国回りました。
もともと二人とも旅が好きで一人旅もそれぞれしていて。結婚するならアジア一周でもしようか〜って言っていたんです。でもいろいろ調べていくうちに、他の国も良いなぁって思ってしまって、それだったら世界一周しようかと(笑)。
調べていくうちに行きたい国増えるのめっちゃわかる……私も同じ感じだった!
Instagramとかで調べてみると、いろんなところ回ってる人出てきて。それを辿ってたら全部行きたいなぁってなっちゃったよね(笑)。
世界一周して印象に残ったこと
ウユニ塩湖でウエディング撮影していたり、いろんな経験している二人ですが、世界一周で印象に残った国や場所はどこですか?
南米のパタゴニア地域かなぁ。もともとここの自然を感じたいと思っていて、2ヶ月弱かけてゆっくり満喫しました。
アルゼンチン フィッツ・ロイの朝焼け
エクアドルのガラパゴス諸島!海が大好きで、「アシカと泳ぐ」のが世界一周の1番の目的だったから、絶対行きたい〜って思っていて。よく現れると言われている場所に1人で毎朝6時に見張りに行ってました(笑)。
岡くんが5日目に来たんだけど、その日にアシカが「遊ぼう〜」って犬みたいに来て。「夢叶った〜!」ってなった!町中に動物がたくさんいて楽しかったなぁ。
エクアドルで出会ったアシカ
あとメキシコも4ヶ月くらいいたから思い出に残ってるね。オアハカっていう街に、今はもう無いけど日本人夫婦が経営していた宿があって、その夫婦と意気投合して。その夫婦が日本に帰国しているタイミングの2ヶ月間、宿の管理人してました(笑)。
食に関する思い出
イギリスの朝市にて。脱プラスチックの意識の高さを感じた裸売りの野菜
食に関わってきたお二人ですが、旅中に印象に残った料理はありますか?
私はグアテマラのリビングストーンっていう地域の郷土料理、タパードが印象残ってる。ココナッツのスープに海老とか魚介類がたくさん入っていて、その上に揚げた魚がドーンって乗ってて、良い香りするの〜。死ぬほどおいしかったなぁ。
めちゃくちゃおいしそう……。岡ちゃんはどうでですか?
メキシコの屋台で買ったタコスはおいしかったな。具材がいろいろ選べてソースも種類豊富で、しかも安い!朝から食べていました。
チリでの出会い
友達が紹介してくれた人を訪ねて、チリのラフンタへ行ったことがとても印象に残っています。
イギリス人アースウォーカーのポールコールマンさんっていう人に会いに行きました。愛知万博にも来ていた有名な方で、奥さんが日本人なんです。自給自足の生活に興味があるって話を友達にしたら繋げてくれて。
木を植えながらユーラシア大陸を横断した人で、その人に関する書籍もありますね。
奥さんがポールさんのことを書いた本や、夫婦2人のことを書いた本もあるね。
僕たちが訪れたのは、彼らがラフンタに住んで3年目くらいのときだったんですが、最初は木が1本もなかったところに家を建てて、その後300本の木を植えたそうです。野菜や果物、豆なども自分たちで作っていました。
ポールコールマンさんと木乃実さん
トマトソースとか、市販のものを買うこともあるみたいなんだけど、缶は自分たちで処理するって言って、庭におしゃれに埋め込んでたりしていて。
ゴミを自分で処理する責任というか、そういう価値観って私たちにはないじゃない?日本だと業者の方が処理してくれるから。その価値観にもびっくりしました。
リサイクルとかプラスチックフリーという考えが最近では身近になってきていますが、「ゴミを自分で処理する」という感覚は持ったことがないです。
5日間過ごさせてもらったんだけど、「お風呂入りたかったら川あるからそこで入ってきて」「トイレはその辺で」っていう感じで。
便が溜まったら、その小屋の部分だけを別の場所に移動させるんです。溜まった肥料(便)の上に木などを植えていて、自分の食べた物が次に食べる物の肥えになって、循環していく……っていう生活です。
「便で食生活が悪いかどうか分かる」って言われてめっちゃ緊張しました(笑)。
本来、命の仕組みってそういうものなのかもしれませんね。
石鹸とかも環境に優しい物を使っていました。奥さんが作ってくれる料理もすべてビーガン料理で、とってもおいしくて……今でも忘れられない味です。
驚くほどおいしかった木乃実さんの料理