今回話を聞いたのは、1年半前、奇しくも私がアルゼンチンで出逢った人。 というわけで「久しぶり」から始まったインタビュー。 改めて世界一周を振り返ってもらった、そして今の心境を正直に語ってくれた。
旅に出る理由(建前と本音)
どうして世界一周しようと思ったの?
東日本大震災から、人生は一度きりだと実感した。 その時は自転車で日本中を旅していたけれど、もし3日ずれていたら、自分も被害に遭っていたと思う。 何だか人っていつ死んでもおかしくないと実感した。
だったらやりたいことは早くやった方が良いなと思って。そこから1年間お金を貯めて、3年次に休学して、世界一周に行ってきた。 っていう答えが表向きで。
表向き??
本音を言うと。世界一周したかったのは、自分が凄い奴だと思われたかったから。誰にも負けたくなかったから。 世界一周する前は、大学の広研でミスコンを企画したり、フリーペーパーを制作していた。
今正直に言うと、そのサークルの中でも、やっぱり俺って人より仕事が出来て、優れていると思った。だけどなんでだろう、あんまり周りに認められなかった。
悔しくて、もっと認められたくて。「だから世界一周したら、凄いって思われるんじゃないか。」いわゆる負のモチベーション、自分のコンプレックスからの旅立ちだった。
なんで他人から凄いって思われたいの??
俺、小さい頃からずっと人よりも能力が高いと思っていたんだ。面白くて、運動神経も良い。だけどなぜか、あまり人に認められない。
それがすごく悔しいし、意味も分からなかった。逆に、そんな気持ちが露わになった俺の態度は人の反感を買いやすく、よくはぶられたりもした。だから人一倍、他人から凄いと思われたいって気持ちが強い。
果たして旅によって人は満たされるのか?
そんな想いを持って旅して、自分の気持ちは満たされた??
メディアから注目を浴び、舞い上がっていた。俺は世界一周している人たちのなかでもマイノリティーなんだと感じた。だけど旅しているときに出会った人は皆、皮肉にも、他人と比較せずに旅を楽しんでいた。
彼らは俺が別に大した人間じゃないと気がつかせてくれた。「本末転倒」とはこのことなんだ。例えば俺の場合、世界一周に明確な目標を持っていなかった。
だけど世界一周は目的じゃなくて、手段みたいな奴がいっぱいいた。もっと遠くを見ている奴。それがさらに自分の負のモチベーションに拍車をかけた。