哀しい歴史が刻まれた「忘勿石」
photo by 竹富町観光協会
西表島南部に位置する「南風見田の浜(はえみだのはま)」。2㎞に渡る風光明媚な白砂のビーチの東端には、哀しい歴史を物語る「忘勿石(わすれないし)」という石碑がひっそりと置かれています。
第2次大戦の戦況悪化で、軍の司令によりこの地へ強制疎開させられた波照間島の島民たち。マラリアに汚染されたこの地ではそのほとんどが罹患し、約3分の1が命を落としたとされています。「忘勿石」は、当時の波照間国民学校(現:竹富町立波照間小学校)の校長を務めた識名(しきな)氏が生存者とともに波照間島へ引き揚げる際、犠牲者を悼んで刻んだ「忘勿石 ハテルマ シキナ」に由来します。
なお、現在見られる慰霊碑「忘勿石之碑」は1992年に新たに設置されたものです。
photo by 竹富町観光協会
そんな壮絶な歴史があったとは思えないほど、ビーチは穏やかです。悲劇の歴史を振り返り、彼らの無念と安らかな眠りを心から祈りつつ、今ある「幸せ」のありがたさに気づかせてくれる、そんなスポットです。
・名称:忘勿石
・住所:沖縄県八重山郡竹富町南風見
・地図:
・アクセス:大原港から車で約10分
うねる板根がド迫力!「古見のサキシマスオウノキ群落」
photo by Mayumi
まるでカーテンのように発達した板状の巨大な板根が特徴の「サキシマスオウノキ」。国内では沖縄や奄美地方でのみ見ることができる木で、西表島の仲間川上流域に生息する推定樹齢400年のサキシマスオウノキは日本最大と言われています。
このサキシマスオウノキ、実は仲間川クルーズに参加しなくても、もっと手軽に観察できるスポットがあります。それが「古見(こみ)のサキシマスオウノキ群落」。国の天然記念物にも指定され、サキシマスオウノキが群生する姿は圧巻です。
photo by Mayumi
群落まで渡された遊歩道沿いにはマングローブ林を構成するヤエヤマヒルギやオヒルギ群落が広がっています。西表島ジャングルの一端が感じられる、見ごたえ十分のスポットです。
※2024年1月現在、古見のサキシマスオウノキ群落は遊歩道の劣化に伴い立入禁止となっています。
・名称:古見のサキシマスオウノキ群落
・住所:沖縄県宮古島市平良下里
・地図:
・アクセス:西表島上原港から車で約40分、大原港から約10分
番外編:西表島ならではのご当地風景
西表島はどこもかしこも「イリオモテヤマネコ」一色
photo by Mayumi
西表島といえばイリオモテヤマネコを思い浮かべる人も多いでしょう。広場の銅像から橋の欄干、公園のすべり台、塀に置かれたシーサーもどきまで、とにかく島はイリオモテヤマネコ一色。ぜひ宝探し的なノリで目を光らせてみてください。
ちなみに、画像にある道路標識のように、本物のイリオモテヤマネコにバッタリ遭遇なんてケースも案外少なくないとか。かくいう筆者もチラッと大富林道で見かけました。貴重なイリオモテヤマネコが交通事故に巻き込まれるケースも発生しているそうで、くれぐれもレンタカーなどの運転にはご注意を。
やっぱり沖縄の風景には欠かせない、愛すべきヤギたち
photo by Mayumi
そして、沖縄といえばヤギ。ほかの八重山の離島に比べて畑や牧場の少ない西表島ですが、運がよければこんな愛らしいベビーヤギたちに出会えるかも。
最後に:西表島訪問で気をつけておくこと
前述の新たな観光ルール以外でも、正直、観光面ではいろいろと不便が多い西表島。ほかの八重山諸島と同じ感覚で訪れて、「十分楽しめなかった……」なんてことにならないよう気をつけましょう。
photo by Mayumi
まずは移動手段。沖縄本島の次に大きい島であることからもわかるように、周遊道路の西の端から南の端までおよそ50㎞あり、さすがに徒歩や自転車で移動するのは難しいでしょう。
そして島唯一の路線バスは1日4本運行で、上原港から大原港までの所要時間は1時間ほど。頼みの綱のレンタカーや観光タクシーも台数はそれほど多くなく、シーズン中は争奪戦となります。また、海況が荒れると上原航路は欠航となり大原港一択に。
要するに、“足”を確保し、船の時間や移動などをうまく調整することが西表島を満喫する重要なカギとなります。
photo by Mayumi
次に、食事関連。飲食店や商店は港近くの集落にしかなく、数も限られます。もちろんコンビニはなく、特に飲食店の営業時間には注意が必要です。食事つきの宿を確保している方は安心ですが、日帰りや素泊まり、キャンプの方は気をつけましょう。
結果として、必要なものが揃ったツアーに参加するのがもっとも安心かつお手軽という話になりますが、とはいえ、自分のペースでいろいろ組み合わせられる、自由度の高い個人の旅もやっぱりおすすめです。
決められた観光ルールやマナーを守って、ほかでは味わえない西表島の魅力を満喫してくださいね。