宮島口からフェリーに乗ると、海から神社に参拝するように大鳥居が見えます。水の中に浮いたような壮麗な建物の数々。平家納経で知られる安芸の宮島です。
平清盛が深く崇敬し、現在の海に浮かんだ寝殿造の華麗な社殿が建てられましたが、その後も毛利元就、江戸時代には広島の浅野家が庇護してきました。
島全体が神域とされた環境は建物と一体化し、平安時代の雰囲気を今に伝え、日本人の美意識の基準の1つとなっていることが世界遺産に選ばれた理由です。
海に浮かんでるみたいな大鳥居
本社火焼前(ひたさき)から沖合160mほどの海面にそびえます。高さ16mの朱塗りの大鳥居は重さ60tほどありますが、根元を海中に埋めるのではなく鳥居の重みだけで立っています。
潮が満ちて海に浮かんでいるように見える大鳥居も美しいですが、新月や満月の時は潮の干満差が大きく、干潮の時は鳥居の根元まで歩いて行くことができます。
寝殿造りの本殿は平安時代のまま
海の守り神、宗像三女神を祀る本殿は檜皮葺の屋根の寝殿造りの様式です。千木や鰹木を持たない、神社らしからぬ華麗な建物です。
本殿の前に広がる床は平舞台といい、いわば庭にあたる部分ですが、高潮でも浮き上がらないように、また雨の水はけも考えて木材にわざと隙間を作ってあります。ここを支える柱は赤間石でできていて毛利元就の寄進だそうです。
能舞台も浮かんでいます
海に浮かんでいる能舞台は日本で唯一のものです。海上にあるので足拍子の響きを良くするために舞台の床は1枚の板のようになっています。春の桃花祭の神能はここでおこなわれます。