石州嶋田窯工房
ライター
かわい まゆみ 絶景ハンター&トラベルライター

秘境絶景ひとり旅好きな絶景ハンター。国内47都道府県、世界89カ国、訪れたスポットは2000以上。フットワークの軽さと胃腸の丈夫さが自慢。マニアックな絶景スポットを発掘するのが好き。"ちょっと出かけたくなる"、そんなきっかけを作れるような情報発信を心がけています。

前編記事「神の国、島根県・石見に息づく伝統文化~「石見神楽」を訪ねる旅~」でもふれた通り、東の出雲地方と西の石見(いわみ)地方、両者は隣り合わせの陸続きでありながら歩んできた歴史や文化が異なり、風土や風習、暮らしにまつわるさまざまな面で地域性が見られます。

というわけで、今回は古くからこの地に受け継がれる古き良き町並みや食文化、伝統工芸、そしてそれらをつなぐホテルの新しい取り組みを通じて、石見地方の魅力を再発見します。

歴史情緒漂う山陰の小京都・津和野

まずは古き良き時代の面影を残す旧城下町「津和野(つわの)」をご紹介します。

日本遺産のまち「津和野」

津和野の城下町Photo by Mayumi
島根県西端、深い山間に開かれた山陰の小京都「津和野」。江戸時代、城下町として栄えた津和野は、当時の町並み、伝統芸能、風俗・風習、人情までも今に残し、「津和野今昔~百景図を歩く~」として日本遺産に登録されています。

一方で、津和野には江戸幕末期、長崎から配流され、この地で殉教した隠れキリシタンらを偲ぶ西洋ゴシック様式のカトリック教会なども残されています。

津和野は、新と旧、和と洋が交差する石見国(いわみのくに)を代表する西の都なのです。

太鼓谷稲成神社Photo by Mayumi
津和野のまちを一望する、標高213mの山の中腹に立つのが「太皷谷稲成神社(たいこだにいなりじんじゃ)」です。日本五大稲荷の一つに数えられ、歴代藩主の庇護のもと、「津和野のおいなりさん」として津和野のまちを見守っています。

壮麗な社殿もさることながら、表参道の千本鳥居は圧巻。さらにユニークなのは、「四ヶ所参り」という参拝手順や、お稲成様の眷属である狐の好物・油揚げとローソクをお供えするシステム(1枚200円)。五穀豊穣、商売繁盛、家内安全、縁結びなど、正しく参拝してご利益を授かりましょう。

■詳細情報
・名称:太皷谷稲成神社
・住所:島根県鹿足郡津和野町後田409
・地図:
・電話:0856-72-0219
・アクセス:JR山口線津和野駅から徒歩約30分、タクシー約5分、中国自動車道「六日市IC」より車で約1時間
・公式サイト:https://taikodani.jp/

石見地方の銘菓「源氏巻」Photo by Mayumi
津和野といえば、昔ながらの銘菓「源氏巻(げんじまき)」が有名。こしあんをカステラのような薄い生地で包んだ、江戸時代から続く伝統和菓子です。現在、源氏巻を製造する和菓子屋は9軒。店ごとに味や食感が微妙に異なるため、食べ比べてみるのも一興です。

竹風軒の源氏巻焼体験Photo by Mayumi
明治18年創業の老舗和菓子店「山田竹風軒本店」(本町店)では、源氏巻を自分で作れる手焼き体験(体験料800円+源氏巻1本おまけ付き)を実施中。出来立ての源氏巻は外がパリッと中はしっとり、出来立てにしか味わえない食感とおいしさです。
※3月〜11月のSL運行日に合わせ13時〜15時営業(要確認)

■詳細情報
・名称:山田竹風軒本店 本町店
・住所:島根県鹿足郡 津和野町後田240
・地図:
・電話:0856-72-1858
・営業時間:7:30~18:00
・年中無休
・アクセス:JR山口線津和野駅より徒歩約9分
・公式サイト:https://tikufu-ken.com/

酒どころ石見を支える蔵元たち

石見神楽「大蛇(オロチ)」の日本神話にも登場する“酒”。神の国・島根は日本酒発祥の地であり、美酒が生まれる酒どころです。ここでは数ある蔵元の中から、石見を代表する蔵元をご紹介します。

華泉酒造(津和野町)

華泉酒造Photo by Mayumi
山陰の小京都・津和野を代表する蔵元のひとつが「華泉(かせん)酒造」です。江戸時代から290余年続く老舗の造り酒屋で、辛口ながら芳醇な味わいが特徴です。

最近の売れ筋商品はこの「㐂津禰(きつね)純米酒」。津和野の民に親しまれる太皷谷稲成神社にあやかって、狐をモチーフにしたクールなお酒です。サラッとした旨みとほのかな甘みを感じる飲みやすいお酒でした。

華泉酒造の酒造見学Photo by Mayumi
なお、華泉酒造では事前予約制で酒蔵見学や自慢の日本酒、甘酒などの試飲・テイスティング体験も実施しています。

■詳細情報
・名称:華泉酒造合資会社
・住所:島根県鹿足郡津和野町後田ロ221
・地図:
・電話:0856-72-0036
・年中無休
・アクセス:JR津和野駅から徒歩約9分
・公式サイト:https://kasen1730.ocnk.net/

日本海酒造(浜田市)

日本海酒造の酒造見学Photo by Mayumi
石見地方の中核都市である浜田市。そんな浜田市唯一の蔵元が、明治期から130余年続く「日本海酒造」です。

中国山系のひとつ・弥畝山(やうねやま)の伏流水を使用し、浜田産の酒造米「五百万石」を使用。地元にこだわり、昔ながらの日本酒を守りつつも、新しいタイプの日本酒にも挑戦しています。

日本海酒造Photo by Mayumi
画像は女性に人気の「環日本海 特別純米いと美し(うまし)」。日本酒に含まれるコラーゲン産生成分α‐EG(アルファ・イージー)を通常の3~5倍も多く含む、「美肌県しまね」にふさわしい日本酒で、サラッとして甘く飲みやすい口当たりです。

■詳細情報
・名称:日本海酒造株式会社
・住所:島根県浜田市三隅町湊浦80
・地図:
・電話:0855-32-1221
・定休日:土日祝日
・アクセス:山陰自動車道「石見三隅IC」から車で約5分
・公式サイト:https://www.kan-nihonkai.com/

高津川リバービア(益田市)

高津川リバーサイドビアPhoto by Mayumi
水質日本一と名高い、石見の清流・高津川。その美味しい水と、益田のシャインマスカット、津和野のまめ茶や吉賀の無農薬緑茶などを使用し、地元にとことんこだわって作り上げた、飲んで石見を体感するクラフトビールが特徴の「高津川リバービア」です。

高津川リバービアの社長・上床さんPhoto by Mayumi
酒好きが高じてビール会社社長に転身したオーナーが自信をもって提供する珠玉のクラフトビールの数々。素材の旨みや香りを閉じ込めながら、あくまで飲みやすさにこだわったフルーティーでさわやかな口当たりが特徴です。

古民家をリノベーションしたお店もまた、つい通いたくなる居心地の良い空間でした。

■詳細情報
・名称:高津川リバービア
・住所:島根県益田市高津2-3-19
・地図:
・電話:0856-32-9641
・営業時間:10:00~17:00
・定休日:月・火曜日(不定休あり)
・アクセス:山陰自動車道「萩・石見空港IC」より車で約5分、JR山陰本線益田駅より石見交通バス・松ヶ丘病院行きに乗車、「高津」バス停下車より徒歩約2分
・公式サイト:https://riverbeer.jp/

石見自慢のご当地グルメ

お酒とくれば、外せないのは食文化。石見が誇る自慢のご当地グルメをご紹介します。

石見の郷土飯「うずめ飯」

うずめ飯Photo by Mayumi
一見、白ごはんの上にワサビだけが載ったシンプルな出汁茶漬けに見えるこの料理。じつはごはんの下に小さく刻んだ豆腐やかまぼこ、椎茸、人参などが隠れている、「ごはんの下に具をうずめる(隠す)」ことから名が付いた石見の郷土飯「うずめ飯」です。

質素倹約を重んじた江戸時代、贅沢を悟られないために生まれたなど諸説あるようですが、いずれにしても出汁とワサビが決め手のうずめ飯はシンプルでおいしい郷土飯です。

うずめ飯をいただける「遊亀」さんPhoto by Mayumi
今回は、古伊万里焼の作品が数多く展示され、店内の池で優雅に泳ぐヤマメの姿を鑑賞しながら食事が楽しめる津和野の名店「遊亀(ゆうき)」にて実食しました。

■詳細情報
・名称:遊亀
・住所:島根県鹿足郡津和野町後田ロ271-4
・地図:
・電話:0856-72-0162
・営業時間:11:00~15:00(L.O.14:30)/17:00~22:00(L.O.21:00)
・定休日:木曜日
・アクセス:JR津和野駅から徒歩5分
・公式サイト:https://yuuki-tsuwano.com/

浜田市の魚・高級魚「ノドグロ」

Photo by PIXTA
関東地方などでは「アカムツ」の名で知られる「ノドグロ」。高級魚で知られるこの魚は、じつは島根の特産品です。

とくに、水揚量全国第2位を誇る浜田港では地元水産のブランド魚であり、市の魚にも制定された石見地方ではおなじみの魚です。

のどぐろ商品Photo by Mayumi
そんな高級魚ノドグロを贅沢に缶詰にしたり、出汁や塩、ふりかけ、しょうゆ、ラーメンなど、消費者のニーズに応じた多彩な商品を展開しているのが、浜田の水産業の未来を担う「シーライフ」さん。

事務所からほど近い「はまだお魚市場」ではノドグロや浜田のお魚を使った特産品の豊富な品ぞろえで、目移りするようなお土産選びが楽しめます。

■詳細情報
・名称:株式会社シーライフ(Sea Life)
・住所:島根県浜田市原井町907-2
・地図:
・電話:0855-23-3105
・アクセス:山陰自動車道「浜田港IC」より車で約5分
・公式サイト: https://sealife-hamada.net/
ライター
かわい まゆみ 絶景ハンター&トラベルライター

秘境絶景ひとり旅好きな絶景ハンター。国内47都道府県、世界89カ国、訪れたスポットは2000以上。フットワークの軽さと胃腸の丈夫さが自慢。マニアックな絶景スポットを発掘するのが好き。"ちょっと出かけたくなる"、そんなきっかけを作れるような情報発信を心がけています。

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