一時帰国中の今だからできる、国際協力の形
しみなお
JICA海外協力隊の長期派遣は赴任国に2年間派遣されるのが通常ですが、世界各地で新型コロナウイルスが拡大する中、JICA海外協力隊も一時帰国をすることになってしまったんですよね。
今、日本国内では何か活動をされていますか?
清水隊員
しみなお
清水隊員
しみなお
具体的にはどのようなことをされているのですか?
清水隊員
ベトナムに派遣中、向こうの文化や国民性の違いを肌で感じました。日本に住んでいるベトナムの人が、ゴミの分別の仕方を間違ってしまったり、交通ルールやマナーがよくわかっていないのには、それなりの理由があるんですよ。
でも、それによって暮らしにくさを感じているのかもしれないと思ったので、甘楽町に住むベトナムの人に向けて群馬弁講座をやったり、生活に困っている方を支援したりしています。
清水隊員
あとは、同時進行で甘楽町に住む町民の方に、ベトナムにまつわる情報発信を行っています。
例えば、今手伝っているカフェでベトナムのカフェメニューを開発してみたり、ベトナムの情報を伝えるブースの設置をしたり。そのほかにもSNSを使って、ベトナムの情報を定期的に発信したりしています。
カフェで働く清水隊員
しみなお
清水隊員
もともと、帰国後は地元群馬に貢献したいという気持ちがあったのと、赴任をきっかけにベトナムという国が大好きになったので、何かしらの形でベトナムと関わっていたいという思いがありました。
そのことをJICAスタッフに相談したら、私にできそうなことを提案してくれて、今の仕事を紹介してくれました。
しみなお
その結果、任国での経験を活かしつつ、群馬に住んでいるベトナムの人にも、地元の人にもポジティブな働きとなっていると。
JICA海外協力隊で経験したことを地元に貢献できているだなんて、まさに天職ですね! 白石さんはどうですか?
白石隊員
しみなお
白石隊員
実は、カンボジアにいたときに、体育の授業風景をアクションカメラで撮影していて。それをスマートフォンやタブレット端末で編集したものを、カンボジアの先生方に体育の授業の例として見てもらうために、フェイスブックへ投稿していたんですよ。
それを見てくれた現地の方々やJICAカンボジア事務所から良い反響があって。自分でも嬉しかったんです。それで、帰国後に「家でできるストレッチ動画や、手洗い啓発の動画をクメール語で作ってみてくれないか?」と提案してもらい、追加で制作することになりました。
カンボジアの国旗をイメージした編集で、手洗い啓発の動画を工夫
▷白石隊員の作成した、手洗い啓発ダンス動画はこちら
▷白石隊員の作成した、手洗い啓発レクチャー動画はこちら
しみなお
白石隊員
カンボジアの人たちは、音楽が好きなので、音楽を絡めたダンス動画にしました。また、ユニークで手の込んだ動画は、フェイスブックで反応が良いので、見た人にシェアされる動画を意識して作成しています。
せっかくならただ任国に戻れる日を待つだけではなく、有意義に過ごしたいなと考えました。だから、自分の伸ばしたいスキルを磨こうと思い、今はオンライン教材で本格的な動画編集を勉強しています。
しみなお
「自分のやりたいこと」が誰かのために
しみなお
2人がこれから描いているビジョンやミッションを教えてください。
清水隊員
しみなお
清水隊員
だから、この先自分の将来を考える上でも、大好きなベトナムや配属先の学校ともいつまでもつながっていたいですね。
例えば、配属先の児童生徒たちが作っているお線香や手工芸品を日本で販売して、収益金を配属先に寄付したり、学校や現地教員の環境が少しでも向上するような仕組みを作ったりとか…。
日本に住んでいるベトナム国籍の子どもや、その保護者が学校で抱える困りごと等のサポートをして、安心して日本で暮らしてもらえるような手助けなどに挑戦していきたいです。
白石隊員
僕は将来的には動画編集で収入を得て、カンボジアの人たちをサポートしたり、自分のやりたいことにチャレンジしたりできるようになれたらなと思います。
あとは、いつカンボジアに戻ってもいいように、クメール語の勉強にも励みたいと思います。
しみなお
2人のJICA海外協力隊員が活動を通して得たこと
しみなお
清水隊員
しみなお
清水隊員
私がいたフエという場所は方言が独特で、出発前に学んだベトナム語を上手く応用するのに苦戦しました。
だから、赴任当初は同僚とのコミュニケーションなどにとても苦労しました。筆談やジェスチャーで必死に伝えようとしていましたね。
清水隊員
そこで、ふと思ったのが「私の感じるもどかしさって、今まさに私の一番近くにいるコミュニケーションをとることが苦手なこの子たちと同じ気持ちなんじゃないかな?」って。
障がいのある子どもたちは、毎日言語ではない何かで私たち大人にいろいろなことを伝えようとしているんです。それが思うように伝わらない時、何とも言えない表情や言動をするんです。
自分は支援者という立場で、障がいのある人を理解しているつもりだったのですが、実際に自分がその立場になると、思っていた以上に困難で大変だということだと気づきました。
しみなお
清水さんならではの気づきですね…。 白石さんはどうですか?
白石隊員
僕は、カンボジアに行ってかなり楽天的になりましたね。
どんなにしんどい矢面に立っても、カンボジアの人たちは、なんでも「大丈夫だよ!」って明るく捉えながら、すごい笑顔でビールを飲んでたりするんですよ。
そういうのを見て、人生失敗してもなんとかなるんじゃないかな、いろんなことに挑戦しようって思えるようになりました。
現地の平和なムードを感じ、和む座談会の様子
しみなお
河野リエ
しみなお
清水隊員
JICA海外協力隊に参加するには、“特別な理由”が必要と思われるかもしれませんが、全くそんなことはないので、やらない理由を見つけようとするのではなく、少しでも興味があるのであれば、まずはトライしてみてもいいんじゃないかなって思います。
もちろん大変なこともありますが、私が出会ったJICA海外協力隊の経験者はみんな口を揃えて「行ってよかった!」「迷っているなら挑戦してみな!」と言っているので、得ることの方が大きいと思います。
現地の同僚と写る清水隊員。「帰国中も連絡を取っています」と仰っていました(2列目右から3人目)
白石隊員
僕は、今の自分を変えてみたい人におすすめしたいですね。
僕の場合、2ヶ月間の派遣前訓練の中で出会えた人たちが、本当におもしろい人だらけで、毎日が「そんな世界もあるんだ」と感じることの連続でした。そこから受ける刺激が大きかったので、「自分を変えてみたい」って思う人はぜひ!
現地での温かな思い出もたくさん…!
河野リエ
お2人とも「何かしてあげたい」じゃなくて「自分が何かをしたい」で行動しているのがいいですね。
私も海外にいて「〇〇してあげよう」って考え方に、違和感を持つことも多いので、自分を主軸でものを考えて結果的に周りを支援したり、ハッピーにする、新しい国際協力の形を感じました。
しみなお
TABIPPOは旅という定義をあえて決めないようにしているんですけど、今回、お話を聞いてみて、JICA海外協力隊の活動はライフスタイルとかキャリアとか、人生を豊かにする経験なのかなってすごく思いましたね。
あと、「海外での活動経験を、どう周囲に還元していくか」ということを、2人が自然と見据えているのも、素敵だなと共感しました。
清水隊員・白石隊員。ありがとうございました!
この記事を読んで、ほかのJICA海外協力隊員の活動も知りたいと思った人は、
ぜひ、下記のリンクから公式サイトを見てみてくださいね。
▷GUEST CREDIT
All photos by Ikeda Koki