ライター

早稲田大学院中退後、2017年にカメラに出逢い、2020年より東京を拠点に写真家、ライターとして活動中。 メーカータイアップ、企業案件や広告撮影、雑誌への寄稿・記事の執筆等、活動の幅を広げる。 月の半分ほど国内を中心に旅をしている旅好き。初の著書を2022年3月「日常のフォトグラフィ」(玄光社)に出版。

こんにちは写真家の相沢亮です。

今回の旅先は、奈良県の橿原(かしはら)市。奈良市から近く電車で約30分ほどの場所にある、奈良県で2番目の都市で、日本建国の地といわれています。

この記事では、橿原市の魅力についてご紹介。写真を見返しながら「また訪れたくなる魅力の詰まった街だった」そんな旅の思い出を振り返っていきます。

江戸時代の町並みが残る、今井町を散策


最寄駅の大和八木(やまとやぎ)駅から徒歩10分ほどの場所に位置する「今井町」。東西約600m、南北約310mのエリアの中に約500件の伝統建造物が存在し、全国最大規模の国の重要伝統的建造群保存地区。その雰囲気から数々の人気映画やドラマの舞台にもなっています。

近年、カフェ、雑貨店、宿泊施設などが沢山存在し、この街の空気を感じながら散策するのがおすすめです。

まずは、そんな今井町エリアで立ち寄った場所について紹介していきます。

レトロ雑貨に囲まれた空間「笑夢空 em.sky」


ここは、江戸時代に建てられた町家を改修した喫茶店「笑夢空 em.sky」。喫茶店を始める前から買い集めていたアンティークの雑貨や古道具に囲まれた素敵な空間になっています。



ご自身の趣味である昭和レトロな雑貨をたくさんの人と楽しみたいという思いのもと、今井町の町並みに惹かれ、ここで開業することを決意したのだそう。店主の「好き」に囲まれた素敵な空気感に包まれていました。


看板犬の空ちゃん。人見知りしない性格で入口から早速出迎えてくれ、飲み物が届くとテーブルまで来てくれました。

こちらではアイスカフェラテとりんごのバスクチーズケーキをいただきました。グルテンフリーの自家製のバスクチーズケーキは季節によって内容が変わります。

くつろげるブックカフェ「うのまち珈琲店 奈良店」


約1500冊の本に囲まれたレトロ空間でカラフルなクリームソーダを楽しむことのできる「うのまち珈琲店 奈良店」。



岡山、広島、東京、神奈川にも店舗がある人気ブックカフェです。昔ながらの家の造りを活かした、開放的で木の温もりを感じることのできる空間でした。



カレーやドリアといった食事のメニューもあるので、ランチを食べながらゆっくり過ごすのもおすすめです。

「cafeたまゆら」で旬の野菜をいただく


かわいらしい店内の中で地域の農家さんの旬の野菜を使ったランチが有名な「cafeたまゆら」。色とりどりのランチプレートやデザートが有名なお店です。

「たまゆらプレート」

「ヴィーガンプレート」

こちらは肉類などを使っていない「ヴィーガンプレート」。本日のメインは、大豆ミートのしょうが焼きでした。

ほかにも旬の果物や野菜を使った自家製スイーツなどもあります。

「おいものクリームチーズケーキ」

「シャインマスカットのフリルケーキ」

季節の果物を使ったパフェやシフォンケーキは、カフェタイム(14:00〜)にぴったり。どの時間帯に訪れても、思い思いのひとときを過ごすことができますよ。

「端壮薬品工業」でオリジナルコーラ作り

左がミント、右がハイビスカスです
「おにみみ」という風邪薬を製造する明治時代創業の端壮薬品工業。

ここで体験できるのは、コーラ作りです。さまざまな香辛料の調合によって、身体にも嬉しい無添加の自家製コーラを作ることができます。



「コーラの起源が、頭痛薬や胃薬で約140年前のアメリカの薬局で提供されていたことがはじまり」だと知ったことがきっかけだと話してくださいました。

ベースとなるナツメグやシナモン、グローブなど10種類以上のスパイスに加え、季節によって、調合されるスパイスやハーブが変わります。


今回は、疲労回復や眼精疲労緩和に効果がある「ハイビスカス」や鎮静効果が期待できる「ミント」を配合したクラフトコーラ作りに挑戦しました。

季節によって配合を変える理由は、夏は夏バテ、冬は風邪予防など季節ごとの身体の悩みに寄り添うことができたらという想いからなのだそう。

お湯割りやチャイのように牛乳で割ったりするのもおすすめなんだとか。

「旧米谷家住宅」で日本家屋を知る


江戸時代の風情を残す「旧米谷家住宅」。

本瓦葺、木の引き戸、広い土間、縁側と当時の人の暮らしを想像できるような空間が広がっています。映画『るろうに剣心』、連続テレビ小説『あさが来た』など、さまざまなロケ地にもなりました。


今井景観支援センター(旧米谷家の隣の建物)中庭

「農家のオーベルジュ こもれび」で飛鳥鍋をいただく


奈良県産の無農薬野菜を使った「飛鳥鍋」を楽しむことのできる「農家のオーベルジュ こもれび」。

飛鳥鍋とは鶏肉と野菜を牛乳とだし汁で煮込んだ奈良県の郷土料理です。飛鳥時代に牛乳の飲用が始まったことをきっかけに鶏肉や野菜を牛乳で煮込む調理法があったことが名前の由来だそう。現在の形は昭和初期に考案されたといわれています。


シチューのような濃厚な見た目ですが、ベースが牛乳なので口当たりや後味はあっさり。野菜の甘みが溶け出したスープと出汁がまろやかで優しい味わいでした。

築100年以上の町家をリノベーションした落ち着いた店内。ハンバーグや季節の天ぷらなどを楽しめるランチも人気だそうです。

日本最古の都が存在した場所「藤原宮跡」へ


今から約1,300年ほど前に「藤原京(694〜710)」が存在した場所です。日本で初めて建設された都で天皇や皇后の住まいである内裏(だいり)や政治の中枢である大極殿(だいごくてん)、朝堂院(ちょうどういん)、行政の実務が行われる官衙(かんが)などがここに置かれていました。

橿原市は天皇を中心とした中央集権国家が日本で初めて生まれて、「日本」という国号が初めて使われた場所ともいわれています。

ここのもうひとつの魅力は、春には桜と菜の花、夏はハナハスとキバナコスモス、秋にはコスモスと季節の花々が楽しめること。地元の方々を中心に手入れをされて毎年素敵な姿を見せてくれます。

今回はちょうどコスモスの綺麗な時期で一面に広がるピンクの絨毯のような景色を楽しむことができました。

季節を楽しむお寺「おふさ観音」


おふさ観音は、風鈴、バラ、提灯祭りといった季節ごとに違った魅力で出会うことができるお寺。今回、開催されていたのは提灯祭り。


地元の方々の願いなどが書かれた約1,200個の提灯が境内に飾られていました。このお祭りが始まったのは2021年からですが、住職の「コロナ禍で落ち込んだ空気を明るくしたい」という思いから始まったのだそう。


夜には、ライトアップもされ、まるで台湾のような異国情緒漂う雰囲気に包まれます。

境内奥の「喫茶おふさ」では、白玉ぜんざいや抹茶ぜんざい、夏にはかき氷の甘味に加え、うどんやカレーといった軽食をいただくことができます。



庭園を見ながら、縁側で過ごすのがおすすめですよ。


縁側で過ごすのも風情があって良いですね。

1718年創業の老舗「喜多酒造」


江戸時代の末期1718年創業の喜多酒造。

看板商品である「御代菊」は、お米は橿原産の「ひのひかり」、酵母は「奈良うるはし酵母」を使用した純米酒です。甘さと辛さのバランスが絶妙で滑らかな口当たりが特徴の日本酒です。



事前予約することで試飲や酒蔵見学もできます。酒蔵の歴史に加え、普段聞くことができない精米や発酵の工程を丁寧に解説していただけます。見学の後は「御代菊」をはじめ、さまざまなお酒を試飲することができますよ。

自家製ピザがおすすめ「グッドモーニング坊城」


住宅街の中にある古民家で営む人気のベーカリー店「グッドモーニング坊城」。その名の通り、焼きたてのパンを提供するモーニングが人気のお店です。


こちらは人気のアップルトースト。トースターで焼いて提供してくれました。

ランチタイムには、約500°Cの石窯で焼き上げる本格的なピザを食べたり、地元の野菜を使った古墳型のピザ作りを楽しんだりすることができます。


古墳形のピザ



被せる生地には、よもぎが練り込まれています。


若干焦げてしまいましたが、ピザ窯で初めて焼く体験は良い思い出になりました。

ランチのドリンクバー
店内はレトロな家具に囲まれた広々とした空間で、ゆったりと過ごすことができます。

「橿原神宮」で日本のはじまりを感じる


橿原神宮は天照大神の子孫である、第一代の天皇の神武天皇を祀る神社。伊勢神宮、出雲大社と歴史的な繋がりがある場所です。明治23年(1890年)に神武天皇が即位された「橿原宮」の跡地に橿原神宮は創建されました。創建に当たっては、明治天皇より本殿と拝殿を下賜されています。


広々とした壮大な社殿は清々しい空気に包まれ、一歩足を踏み入れると重厚な社殿に圧倒されます。


近年、自分を見つめ直したいという方や日本のはじまりである橿原神宮の空気を感じたいという方など、全国から多くの参拝者が訪れるそうです。この空気感をぜひ直接足を運んで、感じてみてください。


また訪れたくなる魅力の詰まった、橿原市へ

橿原市の魅力についてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。「散策したくなる街」「自分を見つめ直したくなる場所」とさまざまな魅力の詰まった橿原市にぜひ一度行ってみてくださいね。

All photos by Ryo Aizawa

ライター

早稲田大学院中退後、2017年にカメラに出逢い、2020年より東京を拠点に写真家、ライターとして活動中。 メーカータイアップ、企業案件や広告撮影、雑誌への寄稿・記事の執筆等、活動の幅を広げる。 月の半分ほど国内を中心に旅をしている旅好き。初の著書を2022年3月「日常のフォトグラフィ」(玄光社)に出版。

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