ライター

福島県出身で1990年生まれ。70カ国以上を旅するほどの旅好き。コロナ禍では国内を巡り、世界遺産検定マイスターに合格しNPO法人世界遺産アカデミー認定講師に就任。IT系広告代理店で広告運用コンサルタントとして働きながら、小笠原諸島のアンバサダーとしての活動も行う。

「興味はあるが時間的にそんな余裕がないし……」

出国前はそんなことを思っていたが、そもそもこの私が急遽キリマンジャロ登山に挑むとは全く思っていなかった。

色々なタイミングが重なり、キリマンジャロへの登山を心に決めたのは、登山3日前。

急遽登ることになったキリマンジャロ登山の様子について前編・後編の二本立てでご紹介していきたい。

後編では後半の3日目~5日目の様子とキリマンジャロに登頂するなら勧めたい事前準備などをお伝えしようと思う。

前編|キリマンジャロ登山初日~2日目

3日目 HOROMBO HUT→KIBO HUT

ようやく快晴な登山


この日は1~2日目とはうって変わっての快晴。やっとまわりの景色を見ることができました。

3日目に歩くエリアは森林限界に突入しており、草木はあまり生えておらず、砂地でなだらかな道をひたすら歩いていきます。

ついに姿を見せたキリマンジャロ


3日目にしてやっとキリマンジャロの山頂も見えてくるように。標高4000mを超えてくると、前に進んでいるのかと疑いたくなるほどの延々と続く変わり映えしない景色。さらには標高がかなり高いため息切れがしやすくなり、歩くペースが遅くなり、進んでいないような感覚に拍車がかかります。

この地点まで登ってくると登山初心者にはかなり体力的にもキツくなってきます。私が背負っていたバッグパックは途中でガイドが持ってくれました。


4kmの道のりを6時間ほどかけて歩き、4720m地点の「KIBO HUT」に到着。

宿泊ロッジで仮眠をしたり身体を休めていたのですが、多少頭痛があったためロキソニンを飲み症状を落ち着かせていました。軽度の高山病の症状が出始めていたのです。

部屋で夕食を食べた後に、翌日の山頂アタックに向け、ルートや服装などガイドと入念に打ち合わせ。高山病の症状がやや出ていたものの、ガイドから許可が出たため翌日00:00から山頂アタックとなりました。

4日目 KIBO HUT →GILMANS POINT

山頂アタックの開始

翌日00:00、山頂アタックへ向けて、服も着込み、準備をして外に出たらびっくり。

雪が降っていたのです。

真っ暗闇の中、ヘッドランプをつけて無心でガイドの後ろを着いてきました。

標高5000m超えのこの地の酸素は地上の半分ほど。

低酸素のため10mほど進むだけですぐに息切れします。少し歩いては、止まって呼吸の乱れを落ち着かせて、また歩き出す。その繰り返しです。

風も強く、雪は降ったり止んだりで積雪は15cmほど。この雪も体力を奪っていきました。


呼吸の乱れも激しく、苦しい。登っても登ってもゴールが見えない。

風も強くて体感温度はマイナス15℃ほど。

雪で視界も悪く10m先くらいまでしか見えない。

本当に本当にしんどかったです。

「キリマンジャロの最高地点であるURUHU PEAKには絶対に行きたい」そんなことを思っていたら涙が出てきて、途中から泣きながら登っていました。


しかし、登山途中にガイドから「URUHU PEAKまでは難しいので途中で下山しよう」と告げられました。

天候があまりにも悪く下山のことを考えると危険と判断したためです。他のグループも同様の判断をしており、すれ違った際に「あと少しだから頑張れと」エールを貰い更に涙が溢れていました。

そして2024年4月12日 AM8:58 GILMAN’S POINT 5685m地点に到着しました。


キリマンジャロには3つの峰がありますが、GILMAN’S POINT はそのうち最も高い キボ峰 の火口縁にある地点の一つです。

キリマンジャロには、3つの峰が並んでいる
①シラ(Shira)峰
②キボ(Kibo)峰
③マウエンジ(Mawenzi)峰その中でも最も高く美しいと言われているのが中央のキボ峰であり、その最高地点が「ウフルピーク(Uhuru Peak)」

今回は天候悪化のため、最高地点であるウフルピーク(Uhuru Peak, 5,895m) には到達できず、ここで下山となりました。

体力を消耗しているなかでの下山は無理をしない


雪が覆いかぶさる岩を下っていくのは、非常に注意が必要でした。そして足が動きにくくなり、途中でヘルプに来てくれたポーターにも担がれながら4日目に出発した「KIBO HUT」まで下山してきました。

仮眠後、3日目の出発地点である「HOROMBO HUT」までの下山を提案されたものの、体力的に難しく「KIBO HUT」に1泊することに。

5日目 KIBO HUT→ゲート

意識朦朧としながらの下山

翌朝起きたら猛烈な頭痛。熱はないがとにかくダルい。そして急な吐き気。完全に高山病になっていたのです。

歩く気力もなかったのですが、ポーターに支えられ、時には担がれてひたすら下山しました。

ふっと後ろを振り返ると、数日前とは様変わりした真っ白なキリマンジャロの姿がありました。一夜にして景色が一変し、私たち一行はあの雪の中を登っていたのです。

山頂アタック前日のキリマンジャロ
山頂アタック後日のキリマンジャロ
なんとか3日目の出発地点である「HOROMBO HUT」まで戻ることができ、仮眠後にレスキューカーで下山しました(閑散期はレスキューカーでの下山がスタンダードのようです)。

キリマンジャロ登山を挑戦してみて

3日前に勢いで登ることを決意したアフリカ最高峰のキリマンジャロ。

高山病になり非常に辛かったものの、持ち前の体力と気力で無事に登頂することができ、一生忘れることができないチャレンジとなりました。

最高地点であるURUHU PEAKまで行くことができず悔しかったですが、閑散期のあの雪の中をド素人が登ったというだけでも凄いことではあるかなと思っています。


もし次回リベンジするのであれば次のような準備していきたいと思います。

もしみなさんもチャレンジすることがあれば、入念な下調べと準備をしていくことをお勧めします。

☑︎初心者は乾季のベストシーズンに登る(12月中旬~2月か7月~9月)
☑︎事前に低酸素トレーニングをする → 身体を慣れさせるため
☑︎いざという時のためのダイアモックス(高山病の薬)を持っていく → 安心材料として
☑︎とにかくpole pole歩く(スワヒリ語でゆっくりゆっくり)装備はレンタルでも十分揃っている
☑︎食事や宿泊施設は非常に整っており快適に過ごすことができる

ツアーの詳細

今回私が参加したツアーはこちらです。

もし参加を検討している方がいれば、参考にしてみてください!

ツアー会社:PROCEEDING ADVENTURE

【キリマンジャロマラングルート6日間トレッキングツアー】
※私は高度順応が早かったため5日間になった

入山料、食事、山小屋宿泊、ガイド/シェフ/ポーター費用等すべてこみ

ツアー費用:$1,407(日本円で約22万) ※クレジットカード決済手数料込み
装備フルレンタル:500,000tsh(日本円で約3万)
チップ代:合計$450(日本円で約7万) ※同行者がいればシェア可能

※すべて2024年4月時点

All photos by Tamami Mizunoya

ライター

福島県出身で1990年生まれ。70カ国以上を旅するほどの旅好き。コロナ禍では国内を巡り、世界遺産検定マイスターに合格しNPO法人世界遺産アカデミー認定講師に就任。IT系広告代理店で広告運用コンサルタントとして働きながら、小笠原諸島のアンバサダーとしての活動も行う。

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