「外の世界を見たい」と思い、地元を離れて8年。日本各地を旅するなかで、魅力あふれるまちに数多く出会ってきた。だがひとつ「好きなまち」を絞るなら、それは地元「神戸」だ。
今回は、筆者が誇りに思う神戸の魅力をローカルな視点を交えてお伝えしたい。
見出し
海にも山にもすぐ行ける!自然豊かなまち
つい眺めてしまう大好きな風景のひとつ
驚くべきはその近さ!日本全国を探しても、まちの中心部から山へも海へもすぐ行ける場所は少ないのではないだろうか。
交通の要衝、三ノ宮駅からJR線で西へ約15分。須磨駅のホームを降りると、目の前には一面の砂浜が広がる。夏場には潮干狩りやSUPも楽しめる人気スポットだ。さらに数分乗車すれば、進行方向左側に間近に海が迫ってくる。明石海峡大橋や淡路島も望むことができ、疲れた時でも不思議と元気が湧いてくる。
一方、同駅から地下鉄で1駅、新幹線との接続駅・新神戸駅で降りれば、もうそこは山の入り口。15分ほど歩けば「日本の滝百選」「日本三大神滝」にも選ばれた名瀑「布引の滝」へ到達できる。思い立ったが吉日、気軽に森林浴を楽しむことができる。
豊かな里山を駆け抜ける!サイクリングを楽しめるまち
道中にある「BE KOBE」のモニュメント
港町の印象が強い神戸だが、じつは北区・西区を中心に、緑豊かで農業風景が広がるエリアもある。観光農園や直売所が点在し、時には道端で農家さんがとれたての野菜や果物を販売していることも。買えればラッキーだ。
あまり広くは知られていないものの、ぜひ訪れてほしいのが全長19.3kmのサイクリングロード「神出山田自転車道」。田園や山々に囲まれた雄大な自然の中を駆け抜けるコースで、その大半が歩行者と自転車の専用道路。初心者でも安心だ。道中には「自然からの贈り物」をコンセプトにした天然杉のモニュメント「BE KOBE」など、見どころも多い。
直近は春と秋に電動自転車やクロスバイクのシェアサービスも開始しており、ビギナーでも気軽に訪問しやすくなった。これからの時期、気持ち良い風を浴びながら疾走するのも心地よい。
銭湯もグルメも本も!ローカルな文化を大事にするまち
独自の下町文化も神戸の魅力のひとつだ。例えば長田エリアでは、「ぼっかけ」「そばめし」という粉もん文化や、オレンジの味がする「アップル」という不思議なドリンクなど、美味しいものが盛りだくさん。(詳しくは:こちらの記事をチェック!)
また、昔ながらの商店街も各地に点在し、ローカルな雰囲気が味わえる。
今回はその中でも3カ所に絞って紹介したい。
元町
休憩や飲食に利用できる「オープンカフェスペース」も設置されている。「神戸タータン」の模様も印象的だ
三ノ宮駅からJR線で西へ1駅。横浜・長崎と並ぶ日本三大中華街のひとつ、南京町で有名だが、ぜひ傍の「元町商店街」も訪れてほしい。
全長1.2kmもの長さを誇り、伝統ある和菓子屋やこだわりのパン屋、古書店など、一直線の商店街を歩けば欲しいものは何でも揃う。路地も多く、少し勇気を出して奥まった階段を上れば、素敵な個人商店と出会うこともしばしば。宝探しのように街歩きを楽しめる。
また、付近にはJR元町駅と神戸駅を結ぶ元町高架通商店街、通称「モトコー」もある。戦後の闇市が発端とされ、狭い路地にレトロでディープな個人店ががひしめく独特の雰囲気が好きだった。ただ、耐震化工事等により商店街全体のリニューアルが進行中で、モダンな雰囲気が垣間見え、完成が楽しみだ。
板宿
学生時代に毎週のように通った「原点」
神戸三宮駅から地下鉄で15分ほどで到着する。複数の商店街を中心に、個人商店も多く立ち並ぶにぎわいのあるエリアだ。商店街を入ると、アーケードのポスターでヤドカリをモチーフにしたキャラクター「いたやどかりちゃん」が出迎えてくれる。一部の商店街では毎週土曜日には毎週土曜日、200円購入ごとに1枚「三角くじ」を引くことができ、くじに書かれた金額がその場でキャッシュバックされる。
じつはこの商店街は、筆者が商店街に、そしてローカルな文化に魅了された「原点」ともいえる大切な場所。学生時代に毎週のように通い、なじみのお店での店員さんとの会話や「三角くじ」を楽しんだのが懐かしい。今でも帰省した際には、時間が許す限り、必ず立ち寄るようにしている。
塩屋
塩屋の風景。狭い道が続く先に海が見える
三ノ宮駅からJRで20分ほどで到着する、各駅停車しか止まらない小さな駅。神戸で最も海と山
が隣接しているともいわれ、入り組んだ坂道の各所から海を望むことができるのが魅力だ。地域で長く親しまれるお店も多い一方、近年はクリエイティブなお店も増えており、地域のハブになるような書店やコミュニティバー、ギャラリーやクラフトチョコレート店などなど、ついつい吸い込まれてしまう。
「お気に入りの場所」を見つけてみよう
三ノ宮やハーバーランドなど、都市部の魅力が語られることの多い神戸。だが、少し足を延ばせば、豊かな自然が広がり、人情味あふれる下町文化が根付く。エリアごとの多様性も神戸が好きな理由のひとつだ。
ぜひ神戸を訪れた際には、歩きながらあなただけの「お気に入りの場所」を見つけてみてほしい。きっと、また訪れたいと思える場所が見つかるはずだ。
All photos by Nakashin