ライター
土庄 雄平 山岳自転車旅ライター|フォトグラファー

1993年生まれ、愛知県豊田市出身、同志社大学文学部卒。第二新卒を経験後、メーカー営業職とトラベルライターを両立。現在は、IT企業に勤めながら、自然や暮らしに一歩踏み込む、情報発信に精を出す。 山岳雑誌『山と渓谷』へ寄稿、「夏のYAMAPフォトコンテスト2020」入賞、「創業110周年記念 愛知銀行フォトコンテスト」最優秀賞など。山での活動をライフワークとし、学生来、日本全国への自転車旅を継続している。

1箇所だけ現れる、スリリングな核心部を越えて


登山入門者でも十分に登頂可能な「小遠見山」。しかし唯一、1箇所だけ細心の注意を要するポイントがあります。

それは中盤に現れるカーブを描く急登です。距離は短いながら傾斜があり、途中から足場の狭いトラバース(山の斜面を横切って歩くこと)に移行する難所になります。


しかしそこさえ乗り越えれば、あとは山頂まで道幅の広いふかふかの稜線。ようやく少し緊張感から解放されて、景色や写真撮影を楽しめます。

右手には唐松岳や五竜岳といった北アルプス主峰、左手には白馬村と上信越の山並み。まさに天空の縦走路と呼ぶにふさわしい区間。冬の稜線歩きは贅沢です。


雄大な雪山に抱かれるような稜線。ここまで来ると、北アルプスと対峙するような臨場感がたまりません。息つく暇のない絶景を横目に、山頂を目指していきます。

後立山連峰の絶景に酔いしれる「小遠見山」山頂

スタートから約1時間半で「小遠見山」の山頂へ。短時間でありながら、ものすごい充実感。他の登山者の方々も皆、感動を共有されていました。

雪の斜面の先に佇むのは、五竜岳と並び立つ「鹿島槍ヶ岳(かしまやりがたけ、標高2,889m)」。”後立山連峰の盟主”と称えられる存在感に痺れます。

日の当たり方が変わるごとに趣を変えていく、陰影と山の表情。刻々と移りゆく山容を眺めながら、無我夢中でカメラのシャッターを切っていました。


目の前には白馬三山から爺ヶ岳まで連なる、どこまでも雄大な日本の屋根と言える山脈。そして絵画のように輝く北アルプスの主峰たち。その遥かなる美しさと迫力に感動せざるを得ません。

標高3,000m級が閉ざされるからこそ、標高2,000m級から山並みを眺める。ふだんは脇役の山でも、主役の山に変わるのが冬という季節ですね。


快晴の天気に恵まれ、山頂の絶景が名残惜しいですが、下山へ。行きとは違う、眼下の町に吸い込まれていくようなパノラマ山行を堪能します。

登りでは体力を消耗するラッセル(雪をかきわけて進むこと)も、下りでは自由気ままに踏みしめて進むアクティビティに変わります。最後の最後まで気持ち良く楽しみました。

雪山登山のシーズンも終盤。春先は雪崩や怪我のリスクも高まるので、装備を怠らず十分な計画を立てて、ぜひトライしてみてはいかがでしょうか。

■詳細情報
・名称:小遠見山
・住所:長野県北安曇郡白馬村神城
・地図:
・アクセス:安曇野ICからエイブル白馬五竜まで車で約1時間
・テレキャビン:こちらで詳細をご確認ください
・所要時間:アルプス平駅から登りのみリフトに乗り換え、山頂まで往復徒歩3〜4時間
・オススメの時期:冬
・備考:積雪量が多く、登山道は一部凍結している恐れがあるため、アイゼンまたはスノーシュー(ワカン)が必須です。
・Yamap公式サイトURL:https://yamap.com/mountains/14188

All photos by Yuhei Tonosho

ライター
土庄 雄平 山岳自転車旅ライター|フォトグラファー

1993年生まれ、愛知県豊田市出身、同志社大学文学部卒。第二新卒を経験後、メーカー営業職とトラベルライターを両立。現在は、IT企業に勤めながら、自然や暮らしに一歩踏み込む、情報発信に精を出す。 山岳雑誌『山と渓谷』へ寄稿、「夏のYAMAPフォトコンテスト2020」入賞、「創業110周年記念 愛知銀行フォトコンテスト」最優秀賞など。山での活動をライフワークとし、学生来、日本全国への自転車旅を継続している。

RELATED

関連記事