東京の離島、神津島。正直に言ってしまうと、今回の旅で訪れるまで場所はもちろん、その名前も聞いたことがあるかどうか……という程度の印象しかありませんでした。
そんな私ですが、神津島の星空の写真を目にして、「東京にこんなに綺麗な星空を見られる場所があるんだ、これは自分の目で見なくては!」という思いに駆られ、神津島に行ってきました!
今回は神津島の魅力と旅を楽しむ最新アプリをご紹介します。
神話が宿る神津島の“ストーリー”を辿る旅
今回参加したツアーのテーマは、「星空とストーリーを探索する」。なんだかロマンチックでわくわくする響きですよね。
2020年12月に東京都で初めて「星空保護区*」に認定された神津島の魅力は、やはり“東京なのに満天の星空に出会える”ことだと言えるでしょう。
*「星空保護区」とは……光害の影響のない、暗く美しい夜空を保護・保存するための優れた取り組みを称える国際認定制度のこと(こちらを参照)
さらに、神津島は名前に「神」とつくだけあって昔神々が集うために作られたという神話が伝わる場所でもあります。
島を巡っていると、そういった神様や歴史にまつわるスポットが散りばめられていることに気づきます。島の人々はそれらの歴史や言い伝えをみんな話せるのだというから、その神話が島に根付いていることがとてもよくわかりました。
星や神様といった神秘的なお話が溢れ、非常に興味をそそられる場所でありながら、観光地としてはまだまだ穴場。だからこそ、もっと多くの人に「神津島」の魅力を届けたいという思いから、最新アプリが開発されています。
今回は、今鋭意準備中のアプリをひと足早く体験させてもらいました。
アプリとともに探索する神津島の魅力
神津島の魅力を発見する最新アプリとは
「神津島すごろく」と「GPS 音声観光ガイド」の2つのメニューから選んで使える「まるっと!神津島!」は、ゲーム感覚で遊びながら神津島についての理解を深めることができる最新アプリ。
すごろくは、その名の通りアプリ内で振ったサイコロの分だけマス目を進めるというもの。ポイントの解説の他に、青いマスに止まると神津島についてのクイズが出てきます。
クイズは、神津島の方言や暮らし、歴史に基づいた出題になっているので、より一層島への興味が湧いてくるはず。
「たんさく」機能を使えば、止まったポイント付近で見つかる植物や絶景などを「ずかん」に集めていくことができます。
見つかるものは季節に連動しているので、やり込み要素が詰まっています。現地で同じように「たんさく」するのも楽しい旅になりそうですね!
クイズ正解すると花火が打ち上がるという嬉しい仕掛けがありました。少しびっくりするけれど、こんなに全力の“◯”をもらえると、嬉しさがあって大人でも楽しい!
スポットに関する事柄だけではなく、神津島ならではの文化や方言などについても出題されるので、島の人々の文化など、普段の旅行ではあまり意識しないようなことも「へ〜!」と思いながら学ぶことができました。
神津島をアプリと共に探索してきました!
アプリで紹介されていたスポットへe-bikeで訪れました。
前浜までサイクリング
今回の旅で宿泊した「みんなの別荘ファミリア」から徒歩数分でたどり着く前浜。刻々と変わる空や海の色の変化は一日中見ていても飽きることがなく、数日滞在すればその分だけ違った表情と出会えます。
白に近いサンドビーチと透き通るブルーのコントラストが綺麗で、東京にもこんなに綺麗な海があるんだと驚きました。ここから奥に見える恩馳島(おんばせじま)の歴史についてもアプリの音声ガイドで知ることができます。
海岸沿いはe-bikeでサイクリングをするのも気持ちが良いですよ。朝の景色はもちろん、夕焼け空の移り変わりも楽しめます。
ありま展望台で星空鑑賞
photo by Atsumi
個人的にいちばんのお気に入りとなったのが、白くて大きな十字架が目印のありま展望台。
陽が落ちるときの夕景はもちろん、高台となるこの場所から見る天の川には言葉を呑んでしまうほど。星空がそのまま落っこちてきて包まれそう……という感覚になったのは初めてでした。
ここまでも、ファミリアからはe-bikeで来ることができます。坂の多い道のりですが、電動アシストのおかげで運動不足の体でも楽々と進むことができました。
e-bikeがあれば、バスの時間も気にせずに気の向くままに移動ができるので、自分のタイミングでぐるっと島を巡りたいときにも最適な手段です。
何度でも“帰りたく”なる「みんなの別荘ファミリア」
「ファミリア」ってどんなお宿?
さて、今回の旅でお世話になったのが「みんなの別荘ファミリア」。前浜港から坂を登って数分でたどり着くファミリアでは、オーナーのけんちゃんとあやのさんが素敵な笑顔で迎えてくれます。
「宿のフリした仲間づくりやさん」と名乗るファミリアが大切にしているのが人との繋がり。
滞在中は、ラウンジにある大きなテーブルをみんなで囲み、その日あったできごとを共有したり、神津島について教えていただいたりしました。こんなに大勢の人と一緒のテーブルを囲んでわいわいするのは久しぶりで、とても楽しいひととき。
またファミリアの魅力はテーマの異なる6つのお部屋も。
唯一のオーシャンビューのお部屋「Bali×ゆったり島時間」では、窓から見える前浜が美しい。朝の目覚めと同時に見える海が本当に気持ち良かったのでおすすめ!
けんちゃん&あやのさんってどんな人?
photo by Ryo Aizawa
オーナーであるけんちゃんとあやのさんとは、事前のオンラインでのやりとりが“はじめまして”でしたが、画面を通してでも伝わってくるおふたりの明るい雰囲気は、実際にお会いするとそれ以上。
何でも楽しそうにお話ししてくださるので、こちらの好奇心も高まるほど。島にいる間は、このおふたりに頼らせてもらえば怖くない!と自信を持ってお伝えします。
もともとは都心でシェアハウスの運営をしていたというけんちゃんと、CAとして世界を飛びまわっていたあやのさん。
おふたりとも移住者だと言うのが信じられないくらい、神津島についての知識も豊富。一緒に島内を巡ってもらうと、言い伝えや島の神話について「ここはね、あれはね……」と聞かせてくれて話が尽きません。
これほど宿のオーナーさんと触れ合うことって珍しいのではないかと思うほど、宿にいる時間は常に一緒になってゲームをしたり会話をしたりして過ごしました。これならひとりで訪れても、全く寂しくなく過ごせそう。
そんなファミリアでの楽しいコミュニケーションが功を奏して生まれたことのひとつが、今回おふたりが開発されたアプリのメインキャラクター。
以前に宿泊されたイラストレーターさんにお声がけしたところ、「神津島には楽しい思い出がたくさんあるのでぜひ!」と快諾いただけたのだそうです。
このように、新しい取り組みにも繋がる「仲間づくり」ができるのは、今までの宿とは違うファミリアならではの魅力ではないでしょうか。
もっと神津島が好きになる!前代未聞の観光ガイドアプリで届けたいこと
アプリ開発に込めた“強い想い”
もっと神津島の魅力を多くの人に知ってほしいという強い想いからアプリを開発された、けんちゃんとあやのさんの想いをお伺いしました!
photo by Asuna Igari
あやの
神津島の観光イメージは夏の海水浴に限定されがちですが、島の魅力はそれだけではありません。星空をはじめとした、豊かな自然はもちろんですが、昔から自由に行き来ができなかった分、独自の文化や歴史が色濃く残っています。
そうした受け継がれてきた島の個性を神津島への旅で楽しんでほしいし、旅人へも伝えることによって未来にも残していきたいと願っています。
けん
この観光アプリでは、ゲームをやり込むうちに、自然と神津島の滞在がイメージできるように仕組まれています。
そうすることで、”思ってたリゾートじゃなくてガッカリ、危ないと知らなかったから怪我をした” というような、訪れる人と受け入れる島民とのミスマッチを防ぐことができ、さらに、島の歴史や文化、暮らしが気になるようなクイズや探索機能も、神津島に行きたいという気持ちが掻き立てられるはず。
あやの
現地では「音声ガイド」を使って、写真には収まらない神津島に伝わる神話や暮らしを、ガイド解説だけではく、一部はシナリオを仕立てることで、より親しみやすく神津島の深い部分を知ることができます。
「え?その言い伝えほんとなの?」そう思ったら是非、宿の女将さんや、居酒屋で出会うおじちゃんに話しかけて欲しいと思って制作しています。
けん
この観光ガイドアプリのゴールは「神津島に友達がひとりできること」を目指しています。
そうして、神津島を離れた後に、訪れた人がまだ神津島を知らない誰かに絶景写真だけじゃなくて、感じたことや出会った人のことを話してくれたり、「島のおばちゃんどうしてるかな?次の休みは会いにいこうかな…!」と思ってくれたら、このプロジェクトは成功です。
あやの
閑散期問題や担い手不足といった観光分野だけでも島には様々な課題がありますが、こうして訪れる人の心に深く残る旅が、受け継がれる文化を残すことにも貢献し、少しずつ島の未来を切り拓いていってほしい。
観光アプリを使うことで、そんな豊かな旅の実現を成し遂げたいと思っています。
アプリを実際に使ってみた感想
神津島への愛から作られたアプリ。今回は実際に連れ立ってお出かけすることはできませんでしたが、ファミリアですごろくを楽しませてもらったので、一部仲間たちの声も紹介します。
音声ガイドについては鋭意準備中とのこと。完成したら今よりもっと実用的になると思うと楽しみですね。
アプリと共に神津島を旅して
全力で自然と戯れて過ごした神津島での3日間は、久しぶりにはしゃいだな!と思える滞在でした。
一日中海が見える場所で過ごすこと、山も一緒に楽しめること、どこを切り取っても景色が美しいこと。そしてご飯が美味しいこと。同じ東京なのに、その存在を知らなかったなんて勿体なかったと思います。
アプリを使って、旅先について遊びながら学ぶというのも新鮮でした。
海の状況によって変わる神津島の船舶到着所。
私たちは、往路は前浜港着、復路は多幸湾の三浦漁港発だったのですが、アプリで見て行きたいと思っていた多幸湾を最後の最後に見たときにはあまりの海の透明さに一気にテンションが爆上がり!船の出発10分前だというのにカメラのシャッターが止まりませんでした。
何の事前情報もなしに、行き当たりばったりに旅するのも楽しいけれど、アプリでチェックしておいた場所を自分の目で見れた時の感動もやっぱり良いものだな、そう思わせてくれる旅になりました。