ライター

早稲田大学院中退後、2017年にカメラに出逢い、2020年より東京を拠点に写真家、ライターとして活動中。 メーカータイアップ、企業案件や広告撮影、雑誌への寄稿・記事の執筆等、活動の幅を広げる。 月の半分ほど国内を中心に旅をしている旅好き。初の著書を2022年3月「日常のフォトグラフィ」(玄光社)に出版。

こんにちは写真家の相沢亮です。今回は、東京の離島・神津島を旅してきました。先に感想をお伝えすると「東京なのに東京にない魅力が詰まった場所」という表現が正しいのかなと思いました。

僕が住んでいる東京23区は24時間明るく、街に出れば人にすれ違い、音が絶えない場所だと感じています。神津島は全く逆で、東京なのに自然と静けさを堪能できる、そんな場所です。

「東京の雑音から距離を置きたいときに訪れたい東京」

そんな神津島の魅力をお伝えしていきたいと思います。

神津島ってどこ?

東京都神津島村
「東京の神津島ってどこにあり、どうやって行くの?」真っ先にくる疑問ではないでしょうか。正直、僕もアクセス方法を詳しくは知りませんでした。

神津島に向かうには、東海汽船が発着する「竹芝客船ターミナル」から深夜発のフェリーで約12時間かけて移動します。都心から南へ約180kmの船旅。もうその移動手段を聞いた時点で「冒険」という感じでわくわくしますよね。

東京都神津島村

東京都神津島村
綺麗な船内。自分が泊まったのは、特2等室。

カーテンで区切られていて、中にはコンセントもあり、ドミトリーの部屋のよう。安心してぐっすり寝ることができました。その他にもWi-Fi、綺麗な洗面台やシャワー、自販機があったり軽食が売っていたりと宿泊施設と変わらない印象です。

東京都神津島村

東京都神津島村人生で初めて船の中に宿泊

朝の到着まで快適に過ごせました。ジェット船を利用すれば、都心まで3時間ほどなので、急ぎたい方でも安心して神津島に行くことができます。

青く透明な海に囲まれた島、海とともに暮らす日々

東京都神津島村
神津島は、東京にいながら青く透明な海が見える場所。島の中央部にある天上山の周囲にある集落、街と海が見える坂道という映画のようなロケーションです。

実際に神津島は、「天気の子」の映画の舞台になっているのだそう。坂道と青い海という理想の場所がここにはあるのです。

東京都神津島村
海とともに過ごす生活は、時間がゆっくり過ぎていく感覚があります。心にゆとりが生まれる感覚ですかね。

実際に夕日が沈むタイミングで海に向かってみると、仕事終わりに夕日が沈む海を眺めたり、サーフィンやビーチバレーを楽しんだりと、地元の方々が各々自由に過ごしているのが印象的でした。

東京都神津島村
埼玉県出身で海が身近にある生活を知らなかった自分にとって、海が身近にある生活に触れ合える神津島。仕事終わりに散歩で海を眺める生活。

仕事を終え満員電車に乗って家路につく、そんな23区とは違う生活スタイルができるのが離島の魅力です。

今回の旅で行ったなかでも、おすすめしたいスポットが千両池。秘境のような入江にある青く透明な神秘的な場所です。自分が行った時も貸し切り状態でした。

東京都神津島村
千両池は秘境らしく、急な坂道があったりロープをつたって岩場を降りたりと、結構ハードな道のり。ただ、その苦労を乗り越えてまで行く価値があります。訪れる際は、水分補給をお忘れなく。

神津島には、他にも魅力的なスポットがたくさんあるので、2泊3日以上でゆっくり滞在するのがおすすめ。こちらの記事で紹介されている観光アプリを使えば、事前に遊びながら訪れたい場所をチェックすることもできます。

また、今回宿泊した「みんなの別荘ファミリア」では、チェックインの際に地図を示しながら、さまざまな観光スポットや飲食店について紹介してくれるのでノープランでも安心。島の自然は豊かな分、天候によっておすすめスポットが変わるので、ぜひ宿のおふたりに相談してみてください!

天上山を登った先、海と街を望める特別な場所

東京都神津島村
先ほど軽くご紹介した天上山。標高は572m。国立公園の特別保護区にもなっており、昔から住民の方々に神聖な場所として知られているこの山は、いわば神津島のシンボルといえます。

登山道は、綺麗に整備されており、山が初めての方でも準備や下調べをしていけば、挑戦できるような場所という印象でした。今回は、女子メンバーと登山に挑戦してきました。黒島登山口から10合目を目指します。杖が置かれているのがありがたい。

東京都神津島村
神津島のゴミの処理方法は、船で本土までゴミを持っていくのが基本。少しでもゴミの削減につながるようにマイボトルを持参しました。各家庭や宿の水道水は、天上山の恵でもある湧水や地下水が使われており、まろやかで飲みやすく喉が潤います。

登山の話に戻ります。
運良く晴れた日に登山ができたので、広がる海と街並みを見下ろすことができました。

東京都神津島村
ゆっくり登っていったのですが、1時間程度で10合目に着くことができました。

東京都神津島村
登頂記念に集合写真を。達成感でみんな良い表情です。

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そして山頂には、まるで月面のような砂漠が広がっています。ここは「裏砂漠」という名前のスポット。この砂漠を進むと、海が見え、他の伊豆諸島を臨むことができます。

東京都神津島村
今回は行くことができなかったですが、他にも、雨が溜まるとハート型に見える「不動池」や、伊豆諸島が見渡せる「新東京百景」など、見どころがたくさんあります。ぐるっと周るコースはおよそ5時間ほど。登山にチャレンジする際は地図でコースを確認しながら計画すると安心ですね!

東京都神津島村

星が降ってくるような夜、満天の星空が広がる神秘的な島

東京都神津島村
神津島といえば、東京都で初めて「星空保護区」に認定された場所。島全体が街中の明かりを最小限に抑えているため、夜は暗闇に覆われ、空には星が輝きます。写真でその魅力をご紹介していきます。

今回、正直天候が心配で、着いた時も大雨だったので撮れるか不安でした。実際に晴れた瞬間は限られていましたが、それでも満天の星空に出会うことができました。

東京都神津島村
ちなみに星空を見るのは、10月から12月などがおすすめなんだとか。これには、空気が澄んでいることと惑星の高度の関係が理由なのだそう。空気が澄んでいるというと1月からでは?……と思うかもしれませんが、海風の強い日が多いため、この時期がベストシーズン。

神津島は、言うまでもなく都会のネオンとは無縁の場所。深夜でも灯が消えない都会の便利さとは違った魅力を感じることができるのです。夜遅くになると街は静けさに包まれ、真っ暗な中、風と波の音だけが聞こえる。普段、自分は鈍感なのですが、ここでは感性が研ぎ澄まされていく感覚がありました。

本来、夜とはこういったものなのでしょうか。静けさに包まれて、ただゆっくり自分の思うがままに過ごすことにしました。

都会は、24時間お店が開いていて、人の温もりをすぐに感じることができる場所。そして常に頑張っている人がいる環境のため、刺激という部分では恵まれている一方で、周りに負けたくない、自分ももっと頑張らなくてはと、波に呑まれるような時があります。

東京都神津島村
神津島ではその”焦り”のような感覚と距離を置くことができました。都会という波と距離を置くことによる、気分転換。そんな環境に身を置くことで余裕が生まれます。「自分のペースを忘れずに過ごす」そんなことを神津島が教えてくれました。

星空が綺麗に見えるありま展望台を目指し、e-bikeでサイクリング

東京都神津島村
そして、ありま展望台には、e-bikeを利用して移動しました。夕日が綺麗に見える時間に島の風を感じながら走るのが心地良かったです。

東京都神津島村

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電動アシストの機能がついていたので、坂道が多い神津島でも難なく進むことができました。

排気ガスが出ない自転車は、環境にも優しいサステイナブルな交通手段。移ろう空の色を眺めながら、自然を肌で感じるサイクリングはとても素敵な時間でした。

e-bikeは、今回宿泊したファミリアさんで借りることができます。行きたい場所にスムーズにアクセスすることができるので、神津島探検の最高の相棒になるはずです!

東京都神津島村
また、ありま展望台には、キリシタンの終焉の地として建てられた「じゅりあの十字架」があります。

16世紀、当時の武将・大名であった小西行長によって朝鮮から連れてこられたキリシタン「おたあジュリア」。後に江戸幕府の「禁教令」により、キリスト教の布教を禁止されると、おたあジュリアもキリシタンとして裁かれ、流刑されることに。流刑地の神津島では、島民に献身的な活動を行ったことから、おたあジュリアを偲んでこの十字架が建てられたそうです。

おたあジュリアの話を始め、この島に残る神話や伝説については、こちらの記事で紹介されている、観光アプリを使うと詳しく学べますよ。

最新アプリと一緒に神津島を探索。絶景と神話を巡る旅|TABIPPO.NET

笑顔溢れるファミリアの魅力

東京都神津島村
今回の旅、じつは着いた瞬間は大雨。そこで急遽、みんなでファミリアにて過ごすことになりました。

東京都神津島村
中央にある大きなテーブルをみんなで囲み、交流会をすることに。このテーブルのおかげですぐに仲良くなることができました。

ここのコンセプトは、「宿のフリをした仲間作りやさん」。この環境は、仲間作りに最適な場所なのです。

東京都神津島村

東京都神津島村
着いた初日は、ファミリアさんのおかげで旅の仲間とじっくり話すことでき、2日目、3日目と仲間とより楽しく過ごすことができました。

山に登った後、海に行ってきた後、みんな部屋に帰らずこのリビングに自然と集まって、各々の体験を共有していく。今回の旅ではみんな自然とその流れが出来上がっていました。

東京都神津島村
特におすすめでお気に入りの部屋がこちら、海が見える部屋です。窓を開けると海風を感じることができて、最高のロケーション。

東京都神津島村
最後は、ファミリアのお二人、けんちゃん・あやのさんによる笑顔のお見送り。温かさを感じました。

■詳細情報
・名称:みんなの別荘ファミリア
・住所:東京都神津島村1005
・地図:
・アクセス(徒歩):神津島港(前浜)から8分/三浦港(多幸湾)から65分/飛行場から60分
※どちらの港に着くのか到着日の朝に決定します。
※港・空港までの送迎は無料です。前日までにご連絡ください。
・電話番号:04992-7-5981
・公式サイトURL:https://www.familia-family.club/

おすすめグルメはやっぱり神津島で取れた魚介

東京都神津島村
みんなでキンメの煮付けと漬け丼を頂きました!ここは、漁港の目の前にある「よっちゃーれセンター(2Fの食堂)」。

東京都神津島村

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神津島は、時間がゆっくり過ぎていく。日常を変えたい時に訪れたい場所

東京都神津島村
「仕事がひと段落したから、浜辺で海を眺めながらコーヒーを飲む。坂道を下っていくと波の音、海風に触れ合える」そんな一種のゆとりのある過ごし方ができます。

日々の生活では、「この場所から離れたい」そんなことが頭にふと浮かぶことがあります。そんな時、僕は特に強い刺激を求めているのでなく、日常を少しだけ変えたいのだなと最近気付きました。

「場所を変え、旅先で暮らすように住む日々、そんな日々を挟み、今ある日常を少しだけ変えることでまた戻った時に頑張ることができる。その記憶がまた日々の活力になる」

神津島での旅は、そんなことを改めて教えてくれた日々でした。

東京都神津島村
雑音に流されがちの自分には、そんな雑音と距離を置くことができる場所は必要だと思っています。目の前に広がる青く透明な海、坂道、星空、島で温かく迎えてくれた方々。そんな日常を変えてくれる、東京だけど東京でない場所である神津島は、自分にとって”疲れた日常を変えてくれる優しい場所”でした。

All photos by Ryo Aizawa

ライター

早稲田大学院中退後、2017年にカメラに出逢い、2020年より東京を拠点に写真家、ライターとして活動中。 メーカータイアップ、企業案件や広告撮影、雑誌への寄稿・記事の執筆等、活動の幅を広げる。 月の半分ほど国内を中心に旅をしている旅好き。初の著書を2022年3月「日常のフォトグラフィ」(玄光社)に出版。

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