コンセプトはヒュッゲ!金沢のホテル「LINNAS Kanazawa」が提案する居心地の良い豊かな日常【前編】
ホテル・宿泊 ・2024年9月26日(2024年9月27日 更新)
TABIPPO社員
1993年和歌山県出身。20歳のときに参加したTABIPPOのイベントに感化され、バックパッカーになることを決意。その後フィリピン留学と世界一周の旅へ。大学卒業後は専門商社を経て2018年にTABIPPOに入社。現在はコミュニティマネージャーとマーケティングディレクターを兼務。2022年に地元の和歌山に移住し、地方暮らしと旅を両立中。
自然と会話が生まれる心地良い空間づくりを
僕も何度か宿泊しましたが、LINNASっていわゆるよくあるホテルとは一風かわった造りをしているように感じます。ヒュッゲを提案していくにあたって、どういう工夫がされているんですか?
設備の話をすると、シェアキッチンが1階にあります。ここはロビーからも目に入りますし、宿泊者のみなさんが集まり何気なく会話が始まる空間です。宿泊客同士やスタッフとのコミュニケーションのきっかけの場なんですよね。まずこれ自体がヒュッゲになると思っています。
とりあえずここに来れば話し相手が見つかるキッチン。
ゲストハウスやホステルのように、自然と会話が生まれるキッチンですよね。ここに座っていたら誰かに話しかけてもらえそうなので人見知りの僕にはぴったり。共有スペースは2階にもありますよね?
はい。2階はラウンジスペースになっていてソファ席があります。キッチンよりもゆったりとくつろげる場所です。ソファは向き合うように置いていて、そこにいる人同士で会話が生まれやすいようにしています。
あと、この場所はあえてパソコンで仕事をしづらいようにつくっているんです。仕事のしやすさよりも、宿泊している方がリラックスできることを重視した空間にしました。
コンビニでお菓子を買ってだらだらするには最高の空間
最近は、リモートワークが進んでいることもあって、ホテルの共有スペースに行っても黙々と仕事をしている人が多く、窮屈に感じるときがあります。元々はくつろぐ場所なんじゃないか?と疑問に思うこともあったので、こうして遠慮せずだらだらしたり、会話できる空間があるのは助かります。
あと最上階にはプライベートサウナがありますよね!北欧のフィンランドと言えばサウナ発祥の地ですが、これもヒュッゲを意識してつくっているんですか?
そうですね。北欧のサウナって、日本でいう「裸の付き合い」だと思っています。LINNASのサウナは、2~4名用のプライベートサウナなんですが、だからこそ大切な人とのヒュッゲな時間を楽しめるんですよね。
サウナの醍醐味「整う」は良いと思いますし、僕も好きですが、時間を忘れて気の知れない仲間と楽しくゆったりとリラックスして過ごす。そういうサウナも別の魅力があると思います。こういう意図もあり、サウナルームには時計を設置していないんです。サウナーの方々からはあったらいいな、とよく言われるんですけどね(笑)
LINNASのサウナは整うことが目的ではなく、金沢に来てリラックスをした後に、もう一段階リラックスするための通り道としての利用してほしいという想いを込めています。ちなみに加賀棒茶を使ったロウリュアロマを楽しむことができるんですが、これも整うのではなく、居心地のいい香りを楽しんでほしいからです。
サウナ中は、スマホを見たり景色を眺めたりできないからこそ、目の前の人と向き合わざるを得ない空間になりますよね。そこで気心のしれた仲の人と過ごす時間って本当に素敵なものだし、サウナの心地よさをその人と共有できるのも、幸福度の高い体験だと思います。
サウナ、水風呂、外気浴の全てが至高のサウナ「Kuumus」
あと、サウナをご案内する際は、サウナのある最上階でお客様と合流するのではなく、1階のフロントで待ち合わせをするようにしています。
サウナルームにいたるまでに、説明をする時間がほしいからです。サウナ自体のつくりやこだわりだけでなく、LINNASのストーリーも。
たまに、僕自身のこれまでの経歴を含めた自己紹介をすることもあります。フロントからサウナまでの移動時間で、この場所や土地、ここで働く人を知って楽しんでもらうという狙いがあります。
面白いやり方ですね~!じゃあ、LINNASに泊まったらサウナに入ったほうが、LINNASや金沢のことをよく知れるということですね!
お客様には世界観を理解した上で宿泊してほしい
最近では、「サ旅」という言葉があるように、サウナだけを目的に旅をする人が増えてきましたが、サウナ目的で宿泊されることに対してどうお考えですか?
正直に言うと、サウナだけを目的にLINNASに宿泊していただきたくないと思っています。サウナはありがたいことに利用者の方々から高評価をいただいていますし、推していきたいという気持ちはあるのですが、自分たちから積極的にSNS等で発信しないようにしています。
まずは、LINNASを面白いと思ってほしいですし、そのコンテンツのひとつとして、サウナを楽しんでほしいからです。だからこそサウナの利用は宿泊者限定にしていますし、サウナの受付方法はLINNASの公式サイトでの事前予約制のみにしています。
これは、公式サイトを見て僕たちの世界観を知ってもらってから、サウナを楽しんでほしいからこその予約フローなんです。
「居心地の良い豊かな日常」を自分達なりに再解釈して提案するためのホテルだからこそ、そこに共感してもらった上で宿泊したもらいたいという強い想いがあるんですね。
設備以外だと、お部屋で使うアメニティ類もヒュッゲに基づいて選定しているんですか?
はい、アメニティにもこだわっています。シャンプー類は、使いやすさや心地よく過ごせるかどうかを重視して、
木村石鹸さんのものを使用させていただいています。大阪の企業様なのですが、これはコンセプトを実現するために最適だと思ってのことです。
木村石鹸さんは約100年の歴史を誇り、職人が手作業で「釜焚き」によって石鹸の製造を行っています。
木村石鹸さん良いですよね。僕は、数年前、LINNASに泊まったときに
「12/JU-NI」を使って以来、ハマって家でもずっとこれを使っています(笑)。あとLINNASは館内着(有料)もとても着心地がいいですよね!
館内着は「着る人それぞれの人生が豊かになる、ライフスタイルブランド」をうたっている
nestwellさんのものを使っています。こちらは東京の企業様なのですが、選定理由はコンセプトがマッチしているという点。
館内着を決め悩んでいたときに一度会社へ伺ったことがあるんですが、手に取った時に「これを着て夜を過ごせたら幸せだろうな」と思って決めました。
ただ、こういうタイプの館内着は現実問題、リネン業者に出そうと思っても扱いが難しかったりするんです。なので運営上導入が難しいんですけど、ホスピタリティを大切にする自分たちだからこそ、ケアをしつつ提供しています。
この館内着、本当に肌触りがよくて気持ちいいですよね。僕も毎回レンタルしてますもん。デザインもおしゃれでかわいいし、旅行中の夜がもっと特別な時間になるんですよね。
着れば気分がぶち上がる最高のパジャマ
LINNASは、比較的リーズナブルな宿なので、アメニティは最低限にしつつサステイナブルに関心がある方には、竹歯ブラシを購入してもらうなどサステイナブルを選択肢として設けているというのも意識しています。
人によって、居心地の良さを感じるポイントが違うと思うので、お客さん側が自分で選択できるのも素敵な設計ですね。
続きは後編で!
ヒュッゲという言葉とそれを提案しているホテルである「LINNAS Kanazawa」について、だんだんと分かってきましたか?
後編ではヒュッゲを実現するためのLINNASの”ソフト面”の工夫や、LINNASがこれから目指す未来についてお話しています。
絶対に見てくれよなっ!後編を読む
TABIPPO社員
1993年和歌山県出身。20歳のときに参加したTABIPPOのイベントに感化され、バックパッカーになることを決意。その後フィリピン留学と世界一周の旅へ。大学卒業後は専門商社を経て2018年にTABIPPOに入社。現在はコミュニティマネージャーとマーケティングディレクターを兼務。2022年に地元の和歌山に移住し、地方暮らしと旅を両立中。