ライター

ローカルな街並みや文化が大好きな、兵庫県出身の25歳。ベンチャー企業の法務担当として勤務する傍ら、休日は機会を見つけて地方を旅している。熱意の応援者として、ともに刺激を受け与える関係でありたい。最近は地域の魅力を伝えるツアーづくりに取り組む。秋のフルマラソンに向けても奮闘中。

筆者は旅に「非日常や偶発的な出会い」を求めているが、日常の風景のなかでも、いつもと違う「ちょっとした発見」や「ちょっとしたワクワク」を感じれば、それは「旅」だと考えている。さらに言えば「探検」である。

今回は、そんなことを常日頃考えながら旅をする筆者がすすめる、身近なまちを歩くぶらり旅を紹介したい。

(仮)「旅に出る」「旅行に行く」がもたらすイメージ

「旅に出る」「旅行に行く」と聞くとイメージするのはどんな光景だろう。

新幹線や飛行機を使って、ホテルに泊まって、お土産を買って、ちょっと遠くに出かけることで「非日常感」を味わう。そのような旅をイメージすることも多いだろう。

ただ、旅は必ずしも「遠方に出かけなければならない」わけではないと思う。


たとえば、いつもの帰り道から一本、奥の道を歩いてみる。たとえば、降りたことのない駅で降りてみる。たったそれだけのことでも、新たな発見をすることが多い。

筆者はまち歩きが好きで、普段から都内を中心に、ぶらりと街を歩いている。1人のときもあれば、友人と複数人でまち歩きを楽しむときもある。まち歩きは、突然予定の空いた休日や、混雑を避けたい連休にもすすめたい。

1か所、行きたい場所を決めよう

思い立ったらすぐ実行できるのがまち歩きの魅力。

とはいえ、何も情報がなければ始められないし、予定を詰め込みすぎても「偶発的な出会い」は体験できない。

そこで筆者の場合、まずは「1か所」行きたい場所を決めるようにしている。たとえば、

・前から行きたかった本屋さん
・テレビや雑誌で出てきた場所

といった明確な目的がある場所でもよいし、

・乗ったことがない電車の路線
・通ったことのないこの通り

といった漠然とした場所でも構わない。どこに行くかは、そのときの自分の感情次第だ。

だるまさん公園かわいらしいダルマさんの姿にほっこり
一方で「前の予定が早く終わった」「この後友人と会うまで時間がある」といった場合は、その予定が終わった、あるいは行われる予定の場所付近をあてもなく歩いてみるのもよいだろう。

どこか1箇所場所を決めれば、さあ、まち歩きに出かけよう。

考えるな、直感で進もう

謎のガードレール偶然見つけた謎のガードレール
目的地付近の駅やバス停に着いたら、後は自分の直感に任せて進もう。右に進むも左に進むも自由。目的地に行くこと以外は、何も予定が決まっていないのだから。

車が多い大通りから一本入れば、また違った雰囲気が広がっていることもしばしば。街路樹から季節を感じたり、商店街をぶらっと歩いてみたり。「行きたい!」に任せて行動してみよう。

当初の目的地に絶対行かなければならない!というわけではない。他に行きたい場所が出てきたら、その時の直感を優先してみるのも手だ。

もし時間がなくなってしまっても、またすぐ来ることができるから。

「おっ」と感じる場所を探そう

まちを歩くなかで、せっかくだから自分の心が動く場所を探してみよう。

街路樹の桜。こだわりを感じるカフェ。長年地域から愛されるお店など。小さなことでも構わない。自分だけのお気に入りを探してみよう。

ここからは例として、筆者がつい「おっ」と感じてしまうポイントを少しだけ紹介したい。

本屋さん/ブックカフェ

Booky(書店)藤沢で出会った素敵なブックカフェにて
幼少期からよく図書館に通っていたからか、本のある空間が好きだ。とくに、選書にこだわった本屋さんやブックカフェがあれば、つい中に入ってしまう。

なかには地域に縁のある作家さんのサイン本や選書がなされているお店もあり、ワクワクがとまらない。積読が溜まる一方だ。

お肉屋さん

目の前のお店で購入。揚げたてが嬉しい
お肉屋さんのお惣菜って何でこんなに美味しいのだろう。メンチカツ、コロッケ、唐揚げなどなど。吸い寄せられるように買ってしまう。

地域で長年愛されてきたお店も多く、地域の日常に触れられるのも嬉しい。

アート

まちなかアート小学校の外壁に飾られていた素敵なアートたち
街を歩いていると、何気ないアートについ、カメラを向けてしまう。

商店街の看板に描かれた、レトロなフォント。小学校の前に書かれている、小学生が考えたであろう標語。お店の前に置かれた、味がある像など。

街の思いや温かさ感じられ、心がほっこりしてくる。

街全体の「雰囲気」

洋光台団地「団」をモチーフにしたデザインが素敵な洋光台団地
ひとつひとつの場所だけではなく、マクロな視点で街全体の雰囲気の違いを味わうのも醍醐味のひとつだ。

広大な団地。賑わう商店街。再開発された大型商業施設。時たま現れる野菜の直売所など。

まだ言語化できないけれど、そんな複数の個性や要素が集まって「なんかいいな、この街」という感覚が生まれるのだろう。

おわりに

日々、家から会社や学校へと向かう道。通勤や通学で使っている路線。一本向こうの道や電車の途中駅には何があるかわからない。行ったこともない。忙しない日々を過ごすなか、そんな方も多いと思う。

また、進学や就職、あるいは転職や転勤などで、この春に引っ越しを経験したという方も少なくないだろう。とくに遠方への引っ越しを経験した方にとっては、慣れない環境に緊張し、戸惑うこともあるかもしれない。

ちなみに3年前の筆者もそのひとりだった。ただ、せっかく来たなら知らない土地を探検したいと思い、まち歩きを始めた。

少し余裕が出てきたら、「旅をする」感覚で、気軽に街を探検してみよう。非日常の風景も、緊張からワクワクへと変わっていくはずだ。

追伸

大学時代を京都で過ごした筆者は、「ハンケイ500m」というフリーマガジンをよく読んでいた。

毎号、あるバス停から「半径500m」の円内をくまなく歩き、そこで出会った独自の哲学、ポリシーを持った「職人」気質の方々を取材するもの。

普段乗っていても降りたことのないバス停が特集されたとき、「こんな方がいるのか!」と目から鱗だった。

見知らぬ土地を訪れること、そしてその場所だからこそ出会うことへのワクワクは、少なからずこのフリーマガジンから影響を受けている。

京都を訪れた際にはぜひ、手に取ってみてほしい1冊だ。

All photos by Nakashin

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ローカルな街並みや文化が大好きな、兵庫県出身の25歳。ベンチャー企業の法務担当として勤務する傍ら、休日は機会を見つけて地方を旅している。熱意の応援者として、ともに刺激を受け与える関係でありたい。最近は地域の魅力を伝えるツアーづくりに取り組む。秋のフルマラソンに向けても奮闘中。

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