ベストシーズンは深まる秋!
そんなロングコック・ティーヒルズのベストシーズンは、朝晩の寒暖差が大きく、霧や雲海が発生しやすい9月~11月。
夜明けとともに姿を現すたなびく雲海と茶畑の丘の絶景は、唯一無二!その神秘的かつ荘厳なたたずまいに思わず言葉を失います。
この鑑賞に欠かせない条件としては、前日に雨が降るなど適度に湿度があり、朝晩の寒暖差が激しく、かつ明け方晴れていること。
とくに夜明け間もない早朝5時前後がベストで、ロングコック・ティーヒルズを一望できるビュースポットには未明から多くのカメラマンが詰めかけます。なかには展望所にテントを張って朝を待つ猛者もいるとか。
ちなみに、ロングコック・ティーヒルズの絶景を制するのはやはりドローン。ドローンを操作するカメラマンも多く見かけました。
※2024年10月現在、行政への許可申請等は不要なようです。
製茶工房とロングコック産のお茶
現在ロングコックには300世帯ほどのムオン族による茶栽培農家が存在し、各家庭に小さな製茶工房を構えています。
肥料やりから防虫剤の散布、茶摘みまであらゆる作業をひとつひとつ手作業で行うムオン族。もちろん茶葉の加工もなかなかアナログで、摘み取った茶葉は昔ながらの薪炭にくべて焙煎する鉄窯製法だそうです。
なお、ロングコックでは現在、ティーツーリズムを推進しており、割と気軽に工房見学をさせてくれます。
2018年に設立されたロングコック自治区安全茶協同組合(Long Coc commune safe tea cooperative)では、ベトナム国が定める農業生産管理基準「VietGAP(Vietnam Good Agricultural Practice)」に基づく茶の栽培や加工技術、品質管理の向上、安全性やトレーサビリティの確保、安定した雇用創出や人々の生活改善を目指して、地域ブランド茶の開発に取り組んでいます。
そうしたなかで開発されたバット・ティエン・グリーンティー(Bat Tien green tea)を含む3種の緑茶が、OCOP(One Commune One Productプログラム、いわゆるベトナム版一村一品運動のこと)で4つ星評価を獲得しており、要するに国のお墨付きをもらった高品質なお茶として売り上げ拡大につなげているそうです。
日本の煎茶や緑茶に味がよく似ていて、とても飲みやすく、最後にほのかな甘みが感じられるのがロングコック茶の特長です。
とはいえ、品質や安全性にこだわり、機械化や商品開発も進まない中での生産量拡大は限定的。今のところ輸出がメインで、ロングコック産のお茶を国内で見かける機会は少ないですが、販路拡大を目指し、聞くところによると、日本の静岡県のとある企業も関心を寄せ視察に訪れたそう。
将来的にロングコック産の茶葉を日本で見かける日も、そう遠くないかもしれませんね。
ティーツーリズムはホームステイにご相談
観光地化が進まないロングコックですが、「ホームステイ(Homestay)」という名の宿泊施設はいくつか存在します。
ちなみに、ここでいう「ホームステイ」とは、留学先などで使う「ホームステイ」とは若干異なり、民泊というか、ゲストハウスに近いニュアンスの宿泊施設です。また、ロングコックには旅行代理店はなく、ホームステイのオーナーたちが地域観光を盛り上げるべく、主体的にティーツーリズムを導入しているそう。
今回筆者がお世話になったのは「Homestay Long Cốc―Thanh Biên(ホームステイ・ロングコック・タン・ビエン)」。
オーナーのタンさんは英語は話せませんが、翻訳アプリを駆使して懇切丁寧に要望を聞き入れてくれ、ロングコックの見どころを余すことなく案内してもらいました。タンさん自身は別の部族出身で、奥様がムオン族出身だそうです。
今回は茶畑の写真スポットめぐりと製茶工房の見学案内だけお願いしましたが、その他の要望も気軽に相談に乗ってもらえますよ。
・名称:Homestay Long Cốc-Thanh Biên
・住所:Long Cốc, Tân Sơn District, Phú Thọ, Vietnam
・地図:
・電話:+84-98-985-8040
・公式Facebook:https://www.facebook.com/profile.php?id=100065426385012
ロングコックのティーツーリズムでは、製茶工房見学以外にも要望に応じて、ムオン族の生活や文化体験できる各種プログラムも用意されているそうです。
たとえば、ムオン族の伝統舞踊を鑑賞したり、ムオン族の方々と一緒に伝統料理の料理体験をしたり、郷土料理に舌鼓を打ったり、伝統衣装を身に着けての茶摘み体験や記念撮影など。
ハノイやホーチミンでは味わえない、ここならではの貴重な体験が楽しめますね。
見たことのないベトナムを再発見する旅へ
成長が著しいベトナム。
とはいえ、円安で厳しい日本人の懐事情に嬉しい安定の物価安、飛行機では片道およそ5~6時間、時差も2時間程度で、親日国のやさしい国民性、日本人の舌に合う食文化、おしゃれカフェやビーチリゾート、山岳リゾートも続々増えて、日本人にとってより身近で観光しやすい国のひとつになっています。
もしありきたりな観光に満足したら、次はぜひ見たことのないベトナムの景色を再発見しに、ロングコックを訪れてみてはいかがですか?
・名称:ロングコック・ティーヒルズ Long Coc Tea Hills
・住所:Long Cốc, Tân Sơn, Phú Thọ, Vietnam
・地図:
・アクセス:ハノイから車・バイクで所要2~3時間、路線バスの場合は、ハノイのミーディン・バスステーション(My Dinh bus station)から「タンソン(Tan Son)」「ミンダイ(Minh Dai)」方面のバスに乗り、所要約3時間半~4時間 ※バス乗り場で行先要確認
・ベトナム情報通信省外国情報局公式サイト:https://www.vietnam.vn/ja/ve-dep-vung-che-long-coc/
All photos by MAYUMI