ライター

福島県出身で1990年生まれ。70カ国以上を旅するほどの旅好き。コロナ禍では国内を巡り、世界遺産検定マイスターに合格しNPO法人世界遺産アカデミー認定講師に就任。IT系広告代理店で広告運用コンサルタントとして働きながら、小笠原諸島のアンバサダーとしての活動も行う。

皆さんこんにちは!

今回の記事では70カ国以上を旅してきた私がとても印象に残った場所の一つをご紹介します。

アフリカ、マダガスカルにある世界遺産ツィンギー・ド・ベマラハ厳正自然保護区(以後、ツィンギー)。

ほとんどの人は聞いたことがない場所かと思うのですが、ここ、ツィンギーの何がすごかったかというと、現地までの移動の過酷さと人を寄せ付けない奇岩の絶景です。

そしてツィンギーはツアーでの参加となりますが、このツアー予約に関する日本語での情報が極端に少ないことも日本であまり知られていない理由の一つかな、と思います。

この場所は乾季の間にしか行けない場所なのですが、日本語で調べて出てくるツアーは4~10月限定ばかりだったため、私のこの期間に合わせて渡航を決めました。

本記事では私がどんな経験をしたのか知っていただきたいのはもちろんですが、もしツィンギーに行こうと考えている人に少しは参考になると嬉しいです。

首都のアンタナナリボからムルンダヴァまでの移動

日本からマダガスカルへは直行便はなく、乗り継ぎを経て約24時間ほどかけて首都のアンタナナリボ(Antananarivo)へと向かいます。

その後ツィンギーへ向かうための出発地点の街となるムルンダヴァ(Morondava)まではバスで移動しました。

距離でいうと約700km。距離だけでみると10時間くらいで着いてしまうかなと思うのですが、なんと所要時間が15時間以上ー……しかも夜行バスはなく、早朝6時発でマイクロバスでの移動です。

なぜこれほどまでに時間がかかるのかというとマダガスカルという国の地形は山ばかりなのです。そんな地形に作られた道路なので、地図上では一見すると遠回りでの移動になります。

これだけを見るともっといい道を作れたのでは?と思ってしまう
そして道は穴だらけのデコボコ。山道かつ舗装されていない場所もあるのでとにかく時間がかかるのです。

結局、私はバスに乗り続けること17時間かかり、目的地に到着したのは夜中の23時過ぎ。移動だけで丸1日かかる。早速マダガスカルの洗礼を受けました。

※飛行機でも行けるようですが週に数本しかないのでタイミング次第なのと、費用はかなり高額なようです

現地でツアーを予約

翌朝ホテルのスタッフにツィンギーに行きたい旨を相談したところ、観光案内所を紹介されたので早速行ってみました。

マダガスカルはフランス語が主流。観光案内所のスタッフはほぼ英語を話すことができず、お互い翻訳サイトを使いながら英語スタッフがいないか聞いてみたところ、英語スタッフが来てくれたので諸々会話をし、決まったことをが下記でした。

翌朝早朝に出発
1日目:バオバブ街道の朝日を見てツィンギーの麓の街のベコパカ(Bekopaka)へ移動
2日目:ツィンギーを散策
3日目:1日目と同じルートで戻ってきて、夕日のバオバブ街道を見てムルンダヴァ(Morondava)に戻る

・宿は2個所しかなく、低いグレードの方を選択(それでも旅行者には十分な設備)
・食事は朝食のみ込で他は別料金

・ツアー費用:最高で$618(約96,000円/2024年5月時点) 。

すでにツアー参加が決まっていた1人と同乗することになったため、ガイド料やドライバー費を同乗者と折半したため私は$450に(約70,000円/2024年5月時点)。

事前に旅人のブログなどは見て、現地ツアーに関する情報を探していたものの日本語での情報は乏しく、比較検討できるものもなかったので、上記内容で即決しました。

日本からのパッケージツアーに組み込まれていることは多いようです。

ちなみにツアーは乾季の4月~10月のみ催行されているようです。それ以外の雨季の時期は訪れることが出来ず、理由は続きを読んでいただければと思います。

過去一過酷な移動

早朝に出発し、絶景本などでみるバオバブ街道の朝日を堪能。

前日も訪れていたのですが、太陽の角度でまた違うように見えとても幻想的な空間でした。

その後、道中のホテルで朝食を経て、舗装されていないオフロードをひたすら移動。

ぬかるみ、岩、デコボコ道を移動するのでとにかく揺れる揺れる。頭をぶつけることもあり寝ることもできないのです。

そして川渡り。橋などかかっていないので、いかだに車を乗せて20分ほどクルージングをして対岸にいきます。

反対側の様子。このような感じで対岸に行きます
ちなみにそのいかだに乗せるのはこのような感じ。数センチずれたら車ごと川に落ちるのでかなりスリリングです。

高すぎるドライバーの運転技術
車ごと川に突っ込む川渡りも5回ほどあり、四駆の車体が半分近くまで水に浸かり車内まで水が入ってきたこともありました。

前を走っていた車の様子。これでも故障しない日本車。本当サイコー!
これほどの移動なので、雨季の時期にツアーを催行していないのは納得です。

いかだを使った川渡りをもう一度。行い着いた先がツィンギーの麓の街ベコパカです。

ムルンダヴァから約200kmの道のりですが、8時間かかり無事に宿に到着しました。
※google mapにはルートが出てこないほどのオフロードでした

いざツィンギーへ!

翌朝1.5時間ほど前日と似たオフロードを移動し、ツィンギーへ。

着いたらハーネスとカラビナを装着していざトレッキング開始!ツィンギーへ行かれる方は必ず動きやすい靴と服装で行ってください。

最初はガイドによるルートの説明
最初に通る熱帯雨林地帯にはマダガスカルの固有種、野生のキツネザルを複数匹見ることができました。

横っ飛びをするベローシファカ
洞窟を探検したり、カラビナを使いながら岩を登り、見れたのがこの絶景!これが世界自然遺産、ツィンギー・ド・ベマラハ厳正自然保護区です!!!

高さ70mある吊り橋を横断

【世界遺産情報】
ツィンギー・ド・ベマラハ厳正自然保護区
(世界遺産登録範囲が広がり現在の正式名称は”アンドレファナの乾燥林群”)

1990年世界自然遺産に登録
ツィンギーとは「先の尖った」という意味でナイフのように尖った高さ100mにも及ぶ岩がそそり立つ。
石灰岩のカルスト台地が雨によって侵食された場所

まさに人を寄せ付けてこなかった絶景!!

行くまでが大変だったこともあり、この景色はとっても素晴らしくてずっと見入っていました!!

この唯一無二の景色を見ながらのトレッキングは約4時間ほど楽しみました。

岩の上を歩く際は細心の注意を。踏み外したら数10m落ちます
そして翌日同じ道を通って、再度スリリングな気持ちになりましたが無事にムルンダヴァへと戻ってきました。

帰りの途中によったバオバブ街道の夕日。今回の旅で3回訪れました

忘れられない思い出の一つに

前途でもあったとおり、私は世界中で様々な経験をしてきましたが、ここまで長い道のりで過酷な移動を経験したことがなかったです。

1年の中でも4月~10月の半年間しか訪れることが出来ず、でもそれが特別感もあり私の中で忘れられない思い出となりました。

気力や体力がある方、ぜひこの絶景世界遺産をご自身の目で見に行ってみてください!

All photos by Tamami Mizunoya

ライター

福島県出身で1990年生まれ。70カ国以上を旅するほどの旅好き。コロナ禍では国内を巡り、世界遺産検定マイスターに合格しNPO法人世界遺産アカデミー認定講師に就任。IT系広告代理店で広告運用コンサルタントとして働きながら、小笠原諸島のアンバサダーとしての活動も行う。

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