私の出身地は、愛媛県松山市。学生時代まで地元で過ごし、就職を機に関東へ。年に3回ほどの帰省は、私にとって特別な時間です。限られた滞在日数のなかでも、「ここだけは行きたい」と必ず足を運ぶ場所があります。
懐かしさを感じる味、変わらない風景、そして帰ってきたと実感できる瞬間。今回は、地元出身者の私が、帰省時に必ず訪れるスポットやグルメをご紹介します。
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俳句と文学のまち・松山
愛媛県は四国の北西部に位置し、穏やかな瀬戸内海と四国山地に囲まれた温暖な地域です。県庁所在地である松山市は、「俳句と文学のまち」として知られています。明治の俳人・正岡子規を輩出し、夏目漱石の小説『坊っちゃん』の舞台にもなりました。
街のあちこちに文学の香りが漂い、どこか穏やかで、あたたかい空気が流れています。
大街道・銀天街周辺で味わう、私の定番グルメ

松山市の中心部に広がるのが、大街道と銀天街の商店街。全長約600mのアーケードには、地元に根付いた老舗から、流行を捉えたショップまでが並び、松山の中心部の街並みを感じられるエリアです。その周辺で、私が必ず立ち寄るお店をご紹介します。
鍋焼きうどん アサヒ
松山市のご当地グルメのひとつが、アルミ鍋で提供される鍋焼きうどんです。なかでも私が通い続けているのが、創業50年以上の老舗「鍋焼きうどん アサヒ」。銀天街から一本入った路地に佇む、懐かしい外観のお店です。
メニューは、鍋焼きうどんといなり寿司のみ。注文が入ると一つひとつコンロにかけて丁寧に仕上げられます。
アルミの蓋を開けた瞬間、立ち上る湯気とともに広がる出汁の香り。牛肉、卵焼き、かまぼこ、そしてやわらかいうどん。「ふーふー」と冷ましながら、まずは出汁をひと口。具材の旨味が溶け出した甘めの味わいが、じんわりと身体に染み渡り、芯からあたたまります。

・名称:鍋焼きうどん アサヒ
・住所:愛媛県松山市湊町3丁目10−11
・地図:
・アクセス:伊予鉄道「大街道」駅から徒歩約10分
・電話番号:089-921-6470
フライング・スコッツマンのホットケーキ
大街道にある老舗喫茶店。ここでの定番は、分厚いホットケーキです。焼き上がりまで約15分。注文が入ってから丁寧に焼き上げられるため、待つ時間もまたごちそうです。運ばれてくるのは、ふっくらとした2段重ねのホットケーキ。
ナイフを入れると、ふわっと湯気が立ちのぼります。バターをのせ、メープルをたっぷりかければ、口いっぱいに幸せが広がります。シングルサイズもあるので、食後のデザートにもおすすめです。季節限定メニューやアイスのトッピングもあり、訪れるたびに楽しみがあります。

・名称:FLYING SCOTSMAN 大街道店
・住所:愛媛県松山市大街道2丁目4-13
・地図:
・アクセス:伊予鉄道「大街道」駅から徒歩約2分
・電話番号:089-915-5522
錦 iwamotoの鯛塩ラーメン
大街道駅からすぐのラーメン店。看板メニューは鯛塩ラーメンです。黄金色に透き通るスープは、まず見た目の美しさに心を奪われます。ひと口すすると、鯛の旨味がぎゅっと凝縮され、瀬戸内の恵みを感じる味わいです。
カウンター越しに店員さんが方言で気さくに話しかけてくださるのも、 「帰ってきたなあ」と実感する瞬間です。最後はご飯を入れて、残り1滴のスープまで余すことなくいただきます。地元の味を存分に堪能できる一杯です。

・名称:錦 iwamoto
・住所:愛媛県松山市一番町2丁目7−2
・地図:
・アクセス:伊予鉄道「大街道」駅から徒歩約1分
・電話番号:089-961-1940
道後エリアで感じる、松山の歴史と風情

大街道から路面電車で約12分。温泉街として知られる道後温泉エリアへ向かいます。道後温泉駅を降りてすぐ目の前にあるのは「からくり時計」です。1時間ごとに音楽とともに動き出すからくり時計。
『坊っちゃん』の登場人物たちが現れ、観光客の歓声に包まれます。何度見ても、つい足を止めてしまう魅力があります。

道後温泉本館
からくり時計から道後商店街を抜けた先にあるのが「道後温泉本館」です。日本最古の温泉のひとつとされる名湯。木造三層楼の建物は圧巻で、国の重要文化財にも指定されています。
「神の湯」は、銭湯感覚で気軽に温泉を楽しむことができます。歴史ある空間で身をゆだねる時間は、旅や帰省の疲れの癒しです。有料の休憩室では、お茶やお菓子とともに湯上りをゆったりと過ごすことも。

・名称:道後温泉本館
・住所:愛媛県松山市道後湯之町5−6
・地図:
・アクセス:伊予鉄道「道後温泉」駅 徒歩4分
・電話番号:089-921-5141
・公式サイトURL:https://dogo.jp/onsen/honkan
オリジナルで楽しむ「坊っちゃん団子」

愛媛県の定番お土産である「坊っちゃん団子」は、夏目漱石の小説「坊っちゃん」に登場する団子をモチーフに誕生しました。通常の坊っちゃん団子は、抹茶・白あん・小豆の3色の餡で求肥(お餅)を包んだ3個の団子なのですが、「my botchan dango 30」では、30種類ある団子の中から3つ選び、オリジナルの坊っちゃん団子を楽しむことができます。
ショーケースにずらりと並んだ団子をじっくりと選び、メニュー名の書かれたスタンプを押し、店員さんに渡すと、順番通りに坊っちゃん団子を作ってくださいます。旬の食材や季節を感じられる団子もあり、楽しみながら選ぶことができます。

・名称:my botchan dango 30
・住所:愛媛県松山市道後湯之町6−15
・地図:
・アクセス:伊予鉄道「道後温泉」駅 徒歩1分
・電話番号:089-933-2281
・公式サイトURL:https://w-harmony.jp/shop/my-botchan-dango-30
しまなみ海道へ、瀬戸内ドライブ
松山市から車を走らせ、今治・しまなみ方面へ。瀬戸内海と海に浮かぶ島々を横断する「しまなみ海道」は、何度走っても心地よいです。
来島海峡サービスエリア

しまなみ海道のドライブでまず立ち寄りたいのが「来島海峡サービスエリア」です。来島海峡大橋を間近に望む絶景スポットです。ザンギや焼豚玉子飯、鯛めしなど、瀬戸内のご当地グルメを楽しめるのも魅力のひとつです。
名物のじゃこカツバーガーは、じゃこ天をカツにして揚げた「じゃこカツ」をハンバーガーのようにバンズでサンドした一品。サクサクの食感とじゃこ天の旨味を味わうことができます。

・名称:来島海峡サービスエリア
・住所:愛媛県今治市大浜町3丁目9−68
・地図:
・電話番号:0898-33-8633
・公式サイトURL:https://s-leading.co.jp/kurushima
亀老山展望公園

大島の南端にある「亀老山展望公園」。山道を登った先に辿り着くことができます。標高301mの展望台からは、「来島海峡大橋」と瀬戸内の海を360度一望でき、天気が良ければ澄み渡る青空と海のコントラスト、そして西日本最高峰の石鎚山も望みます。
展望台の設計は隈研吾氏で、風景に溶け込む建築美も魅力。階段を登ったり降りたり、様々な角度から景色を楽しむことができます。ここでぜひ味わいたいのが、展望台の売店にある藻塩アイス。ほんのり塩味が甘さを引き立て、海風とともに楽しむひとときは格別です。

・名称:亀老山展望公園
・住所:愛媛県今治市吉海町南浦487番地4
・地図:
ふるさとで、旅をする
何度訪れても落ち着く場所。そして、帰るたびに新しい表情を見せてくれる街。瀬戸内の景色は、私にとって「帰る場所」であると同時に、「何度でも旅したい場所」でもあります。
地元の言葉、瀬戸内海の風、穏やかに流れる時間。そのすべてが、今の私をつくる原風景です。初めて松山やしまなみを訪れる方にも、帰ってくるような気持ちで、ぜひこの景色と味わいを楽しんでいただきたいです。
All photos by Yano Akari