みなさんはメキシコのことをどれくらい知っていますか?メキシコにはアートな大都会「メキシコシティ」から、ビーチリゾート「カンクン」、砂漠にジャングルと旅行者を魅了する感動がたくさんあります。
今回は中でもメキシコの世界遺産全34件をご紹介します。
古代都市チチェン-イッツァ
9世紀から13世紀にかけて栄えたマヤ文明の遺跡です。ククルカンの神殿と呼ばれる遺跡で最も際立つ階段状のピラミッドや、その隣りには生贄となった人の心臓が捧げられていた戦士の宮殿と呼ばれる建物があり、チチェンイツァでこの古代都市を築いたマヤ人たちの信仰対象や宇宙観が見てとれます。1988年に世界文化遺産に登録されました。
古代都市ウシュマル
photo by Grand Velas Riviera Maya
古典期後期から後古典期にかけてのマヤ文明の遺跡ですが、都市の占地が行われた時代ははっきりしていません。遺跡内の建造物はおよそ紀元700年から1100年の間に建てられたもので、2万5千人ほどが暮らしていたと推定されており、現在でも考古学的な研究が進められています。総督の館、魔法使いのピラミッド、尼僧院、大球戯場がとりわけ有名な建造物です。
古都グアナフアトとその銀鉱群
1548年に偶然発見された銀鉱脈から、銀工業で発展した町です。17世紀から18世紀にかけて最盛期をむかえ、不毛の地には10万人もの人が住み、スペイン風のバロック様式の建築物が次々と建築されました。
町にはサンタ・マリア・デ・グアナフアト聖堂やバレンシアーナ聖堂、グアナフアト大学などが残っています。1988年に世界文化遺産に登録されました。
古代都市テオティワカン
photo by Karl-Ludwig Poggemann
紀元前2世紀頃に築かれたといわれている古代都市テオティワカン。一度は滅びたものの、14世紀にアステカ人が聖地としたことで再度繁栄することになった古代メキシコ文化圏の中心都市です。
テオティワカン文明の中心であったこの大都市は宇宙観、宗教観が現れた巨大な宗教都市でした。1987年より世界文化遺産に登録されています。
メキシコ・シティ歴史地区とソチミルコ
メキシコシティのスペイン植民地時代の建物が並ぶ歴史地域と、水郷ソチミルコ。植民地の首都として16世紀に建設された都市で、250年もの月日をかけて改築された大聖堂、アラメダ公園、国立宮殿などが残っています。
ソチミルコにはスペイン人の侵略前に統治していたアステカ帝国の独創的な農耕法が今でも受け継がれており、これらが評価され、共に世界文化遺産に登録されました。
シアン・カアン
カリブ海に面した美しい自然保護区シアン・カアンは、古代マヤ文明の言葉で空の生まれた場所という意味を持っています。
陸には熱帯雨林、海には広大な珊瑚礁が広がり、多様で豊かな自然環境は100種類以上の哺乳類、100種類以上の鳥類、約1200種類の植物の生息地となっています。1987年に世界自然遺産に登録されました。
プエブラ歴史地区
メキシコに入植したスペイン人たちが早々に築いた街がプエブラです。それまで未開の土地であったプエブラで陶器作りに適した良質の土が多く発見されたことで、現在に残る歴史地区には、スペインの陶器産地であるタラベラから伝えられたタイル装飾のある美しい建物が立ち並んでいます。1987年に世界文化遺産に登録されました。
エル・ビスカイノのクジラ保護区
毎年12月から3月にかけて、アラスカからやってくるコククジラの繁殖地となっている保護区です。エル・ビスカイノ生物圏保護区の中で、オホ・デ・リエブレ湖とサン・イグナシオ湖の二つの潟湖が世界遺産に登録されています。
観光客による過剰なホエールウォッチングで環境が悪化したため、現在は観光に規制がかかっています。
ケレタロの歴史史跡地区
スペイン人と先住民が平等に暮らせる町を目指して、1531年にケレタロの建設が始まりました。先住民とスペイン人が共生した稀少な殖民都市です。
西にスペイン人居住区、東に先住民居住区が広がり、歴史地区にはサン・フランシスコ教会、サンタ・クルス修道院、サン・アグスティン教会など植民地時代の建物が残されています。
ソチカルコの古代遺跡地帯
650年から950年頃にかけて、トルテカ文明の中心地として栄えたソチカルコの遺跡からは、ピラミッド型神殿や石碑などが発掘されています。
神殿の壁面には、トルテカ人が崇拝していたケツァルコアトルの装飾が彫られており、トルテカ文明の特徴でもあります。遺跡には周辺の文化の要素も見られるほか、後のアステカ文明にも大きな影響を与えたと考えられています。
リュウゼツラン景観と古代テキーラ産業施設群
世界的にも有名なメキシコの名酒テキーラは、リュウゼツランという植物から作られる蒸留酒で、2000年以上前から発酵飲料として使用されていたのを入植したスペイン人が蒸留酒にしたのが始まりです。
2006年に世界遺産として登録されたエリアには大農園、蒸留所、工場とかつてテキーラを密造していたタベルナスと呼ばれる施設などが点在しています。
オアハカの中央渓谷のヤグールとミトラの先史時代の洞窟
アメリカ大陸最古の植物栽培をした跡がある遺跡で、オアハカ盆地のギラ・ナキツ洞窟の中にあります。ヒョウタンやカボチャが栽培されていた跡が発見されており、とりわけヒョウタンはアメリカ大陸で最初に栽培された植物とされています。
周辺にはサポテカ文明の考古遺跡ヤグールがあり、共にメソアメリカ文明の生活様式の変化を伝える遺跡として評価されています。
モレリア歴史地区
photo by Christopher William Adach
スペインが植民地化したメキシコの都市の中でも交通の要衝であったバリャドリードが、現在のモレリアです。旧市街にはインディオたちによって築かれた大聖堂やスペインからの独立の指揮をとったモレロスゆかりの建造物など、16世紀以降の植民地時代の建築物が多く残っており、1991年に世界文化遺産に登録されました。
ポポカテペトル山腹の16世紀初頭の修道院群
標高5452メートルのポポカテペトル山に広がる修道院群で、全ての中で代表される14が1994年に世界文化遺産に登録されました。
スペインから訪れたドミニコ修道会、フランシスコ修道会、アウグスティヌス修道会などからの修道士が布教活動をはじめて建てられたもので、屋外開放型礼拝堂という先住民が受け入れやすいように考えられた特徴的な礼拝堂を備えています。
トラコタルパンの歴史遺跡地帯
16世紀にスペイン人によって河港都市として建設された都市で、内陸の物産を運ぶ水上輸送の要所として栄えました。大火事で一度焼失したため、街並みは変わりましたが、西インド諸島とスペインの建築様式が融合した独特な景観を保っています。コロンブス広場をはじめ、カンデラリア聖堂やサン・クリストバル教会などが残されています。
ルイス・バラガン邸と仕事場
20世紀のメキシコを代表する建築家ルイス・バラガンの自宅です。仕事場としても使用されていたルイスの家は、3階建てのコンクリート造りで、ルイスの建築の特徴である内部空間の使い方や庭園の特徴が、伝統とモダニズムを融合させたスタイルという点で高い評価を受けています。2004年に世界文化遺産に登録されました。
サン・ミゲルの要塞都市とヘスス・デ・ナサレノ・デ・アトトニルコの聖地
サン・ミゲルは16世紀にグアナファト州に建設された要塞都市です。18世紀に行われた都市改造によって、メキシコ・バロック様式の建物が多く建てられました。
ヘスス・デ・ナサレノ・デ・アトトニルコの聖地には、大聖堂や6つのチャペルをはじめとするバロック様式の建築物が集中しています。2008年に世界文化遺産に登録されました。
古代都市パレンケと国立公園
古代マヤ文明後期の都市遺跡で、碑文の神殿、太陽の神殿、十字の神殿、その他宮殿などが残っています。1952年の考古学者アルベルト・ルスの調査の際に、碑文の神殿の地価墓室からはパカル王の遺体も発見されました。
遺構からはマヤの高度な文明を知ることができ、貴重な遺跡であることが評価され、1987年に世界文化遺産に登録されました。