表千家・裏千家の違いを知る「喫茶体験」
続いて体験するのは、門主によるお点前をいただく「喫茶(茶道)体験」です。
Photo by Mayumi
日本の伝統文化・茶道といえば、千利休の流れをくむ表千家と裏千家、そして武者小路千家の三千家。ほかにも千利休以前の流れをくむ流派など多数存在するそうですが、門主が師事しているのは伝統を重んじる表千家。
ただし、今回の体験ではそこまで格式ばった作法はとらず、主に表千家と裏千家の違いのお話を伺いながら、なごやかにお茶を楽しみます。
流派によって、お茶の作法から抹茶を立てる茶筅(ちゃせん)や茶道具、畳の歩き方やふすまの開け方の細かい所作まで実は大きく異なるそう。この違いを知っておくだけで、時代劇や大河ドラマなどを見る目が変わり、違った側面が楽しめるそうですよ。
お茶を点てる前に、まずはお茶菓子がもてなされます。こちらは本プランのために特別に用意された、京都北大路に店を構える「京菓子司 紫野源水(むらさきのげんすい)」 オリジナルの「初雪」という上生菓子。繊細なデザインに上品な甘さで、お茶席にふさわしいお茶菓子です。
門主との気さくな会話を楽しみながら、次はお抹茶へ。抹茶のほど良い苦みとまろやかさが、甘さの残る口のなかにやさしく広がっていきます。
良質な抹茶を入手するのが難しいというお茶事情を憂いながら、しばし茶の湯の優雅な時を楽しみます。
門外不出の寺宝・襖絵の鑑賞体験
書院での体験を終えたら、お次は通常非公開の上院の間などの襖絵を鑑賞します。
Photo by Mayumi
江戸時代に活躍した狩野派による作品を中心にすぐれた襖絵や障壁画を所蔵しているのも実相院の魅力です。
本プランの目玉のひとつが、通常冬のみ特別公開される上段の間の襖絵の鑑賞。また、大玄関の間にある、襖絵の中で唯一作者の分かっている狩野永敬(国内でも希少価値の高い京狩野四代目)の作品『群仙図奧(ぐんせんずふすま)』などを間近で鑑賞できる機会はかなり貴重です。
なお、画像は鶴の間に描かれた狩野派による『群鶴図襖(ぐんかくずふすま)』。これもまた初春の松、梅、芦に群れ舞う鶴たちが生き生きと描かれた襖絵です。
※今回は特別な許可をいただいて撮影しております。通常は本プラン参加者でも撮影は禁止です。
情趣あふれる庭園で日本の美に触れる
続いて、実相院の2つの庭園を鑑賞します。
西側に位置する山水庭園は、裏山を背に、中央に池を配した野趣あふれる池泉回遊式庭園(ちせんかいゆうしきていえん)です。書院や床もみじの滝の間から眺めた景色が広がります。
画像は山水庭園屈指の絶景フォトスポット。庇のシルエットを富士に見立て、鮮やかな「富士もみじ」が浮かびあがります。
Photo by Mayumi
こちらは東側に作られた石庭「こころの庭」。数々の国の名勝や著名な庭園を築き上げた造園の名門「御庭 植治(おんにわうえじ)」の小川勝章氏と市民らの協力の下、2013年から2年越しで完成した庭園です。
はるか東方にそびえる比叡山の山並みを借景とし、日本の国土に見立てた大小の岩と苔、砂利で描いた伝統の枯山水、さらに波に見立てた木製のオブジェという現代のアレンジを加え、実に風雅な庭園に仕上がっています。
縁側には座布団や桟敷も組まれ、心を落ち着かせて自然と対話できる空間が用意されています。
特別な時間を特別な場所で、心を整える旅を
生きていくうえで避けては通れない、さまざまなライフイベント。不安、心配、焦りと悩みは尽きず、さまざまなストレスに心かき乱され、こころの不調を訴えることがあるかもしれません。そんなときこそ、周囲の雑音からほどよく距離を置き、こころの声に耳を傾け、心身のバランスをとることが必要です。
こころの健康を保つひとつの手段として注目される「マインドフルネス」。それをあえて寺院という日常とかけ離れた空間で行うことで、より確かな心整う効果が得られるかもしれません。
ぜひ今度、実相院でマインドフルネスを体験しに出かけてみませんか?
・名称:実相院門跡
・住所:京都府京都市左京区岩倉上蔵町121
・地図:
・電話:075-781-5464
・拝観時間:9:00~17:00(不定休)
・通常拝観料:大人500円、小中学生250円
・本プランの体験料:一人11,000円(税込) 申し込みはこちら
・本プランの問合先:https://otonami.jp/contact/
・アクセス:京都駅より地下鉄烏丸線「国際会館」行きに乗車、終点「国際会館」駅前より京都バス「24 岩倉実相院」行きに乗り換え、終点「岩倉実相院」まで全体の所要時間約40分