ライター

オーストラリアワーキングホリデー2年(パース/ゴールドコースト)|中央ヨーロッパロードトリップ|宮古島リゾートバイト|北半球地球一周の船旅|など気の向くままに住所不特定生活を約6年間続ける。現在はスイスフランス語圏在住。 好きなことで自分を囲み続ける人生を日々追求中☀️

年齢を重ねるにつれ、自分がどんな時間や瞬間を大切にしたいのか自然と考えることが増えました。旅のスタイルもそのひとつです。

これからやってみたい理想とする旅の形はいくつもありますが、20代の旅を振り返ると、リゾートバイトやワーキングホリデー、船旅や、友人や家族の家に滞在する時間、短期の弾丸旅行まで、いろいろな旅をしてきたなと思います。

そのなかでもとくに、自分にとって「愛する旅のスタイル」と呼べるものがいくつかあることに気がつきました。

この記事では、そのスタイルを4つにまとめてみました。読んでくださる方にも、ご自身の旅の好みや大切にしたい瞬間を整理するきっかけになれば嬉しいです。

暮らすような旅

出勤前にひと泳ぎする時間
宮古島でリゾートバイトをして過ごした日々は、まさに「暮らすように旅する」という言葉がしっくりきました。

観光で訪れると、どうしても「あそこも行きたい、ここも行きたい」と忙しくなりがちですが、滞在型の旅だと「今日はここだけでいいか」と思える余裕が生まれます。散歩やドライブの途中で名も知らぬ静かなビーチを見つけたり、地元の人に教えてもらった食事処にふらっと入ったり、観光の合間に少しずつローカルを発見できるのが、この旅の楽しさでした。

また、「期間限定で住んでいる」という感覚も、毎日を特別にしてくれました。

朝は同僚たちと出勤前にひと潜り。14時から23時の勤務を終えたら寮で同僚たちと飲み会をしたり、夜釣りに出かけて、仕事以外の時間を楽しむ。休日には、宮古島に来たなら行っておきたいスポット巡りをしたり、地元の人の畑仕事を手伝いに行くこともありました。

働いて、観光して、ローカルを体験する。観光客でもなく地元の人でもない、そのちょうど間に立てるからこそ味わえる“日常と非日常のはざま″が、私にとってとても居心地の良いものでした。


自然の中で体験する旅

スイスでハイキング
ただ景色を見るだけでなく、できるだけ自然の中で体を動かし、五感で感じることも私の好きな旅のスタイルです。

住んではいるものの、まだまだ異国感を楽しめるスイスでの暮らしの中では、ときにハイキングに出かけ、山道を歩きながら目の前の景色一つひとつを堪能し、雪解け水が流れる小川に手をつけてリフレッシュ。目的地点に広がる景色に息をのむのはもちろんですが、歩いている間に感じる風や鳥の声、休憩時にコーヒーを淹れる穏やかな時間も同じくらい心に残ります。

湖や海沿いの街では、ただ散歩をしたり、ご飯を持参してピクニックをしながら読書や昼寝をしたり、夏には泳ぐ時間も大好きです。青く澄んだ水に体を預けて浮かんでいると、日常の小さな悩みなんて本当にどうでもよくなってしまう。そんな瞬間に「自然とつながる」ことの意味を強く感じます。


また、旅先での「体験」も欠かせません。

ケイマン諸島でのダイビング、パナマでのジャングルキャノピー、オーストラリアでのサーフィン、宮古島でのスキンダイビング、モロッコのサハラ砂漠でキャメルライド。

パナマでキャノピー体験
宮古島でスキンダイビング。水中で身を任せている感覚が好きすぎる…

自然の中で五感を通して体験する旅は、景色を観るだけの旅とはまったく異なります。空気の香り、風の強さ、水や砂の感触―それらすべてが心に残り、旅の記憶をより鮮やかにしてくれるのです。

また、私にとって自然の中で過ごす旅は、景色を見に行くのに加え、自分を整えるための時間でもあります。

冒険心をくすぐる旅


予定していなかったものに出会う瞬間や、ちょっとめんどくさいくらいの交渉や難易度のあるような旅も案外好きです。

イタリアを旅していたとき、本当は別の町に行くはずだったのに、車窓からちらっと見えたカラフルな街並みに心を惹かれて、思わず降りてみることにしました。そこが「ポルトヴェーネレ」で、大きな観光地ほど賑やかではないけれど、海沿いに広がる穏やかな景色と地元の人の暮らしが近くにあって、一瞬で好きになったのを覚えています。

またこれまで訪れたところだと、タイやモロッコのスックのようなローカルとの交渉が必須になるような国では、いつもより自分を律し、強く在るようにします。

美しく安全な土地に出かける旅ももちろん好きですが、こんなふうに行き当たりばったりで出会う景色や、自身が普段よりも逞しくなるような体験をしたとき、それらはより特別な思い出として残ります。計画通りに進むのも安心だけれど、こんな少し冒険感のある旅は、ちょっとクセになる感覚があります。

モロッコ・メディナ

仲間と共有する旅

レマン湖サンセットセーリング
どんなに素晴らしい景色も、一人で見るのと誰かと一緒に見るのとでは、心に残る深さが全然違うと気がついたのはここ最近。

スイスに住んでから、一人で出かける機会が増えました。壮大なアルプスや透明な湖は何度見ても美しいと思うけれど、ふとした瞬間に「この景色を誰かと分かち合いたい」と強く思う自分がいたのです。

何度か日本から友人が遊びに来てくれて、一緒に山道を歩いたり食卓を囲んだとき、ようやく心から「旅ってやっぱり人とするものだ」と実感しました。

どんな旅先でも、景色そのもの以上に、「あのとき一緒にいた」「あの人たちと笑った」という記憶が強く残っていて、それらの瞬間の「一人じゃない」という安心感や、言葉にならない楽しさは時間が経っても色褪せないのです。

私にとって旅は、結局いつも人とのつながりに通じているんだと思います。

旅の楽しみ方は十人十色

ピーズボート船上バーベキュー
旅のスタイルや過ごし方はそのときどきで変わっていくけれど、そのときに大切にしたい感覚は変わらないのかもしれません。

誰かと笑い合った夕食の時間や、自然の中で深呼吸したときの清々しさ、行き当たりばったりで寄り道した街の景色。そのどれもが、特別な出来事以上に心に残っています。

旅に正解はなく、楽しみ方も無数にあります。でも、自分が「こういう瞬間が好きだな」と知っているだけで、これからの旅はもっと自分らしいものになるはずです。

All photos by Saeno

ライター

オーストラリアワーキングホリデー2年(パース/ゴールドコースト)|中央ヨーロッパロードトリップ|宮古島リゾートバイト|北半球地球一周の船旅|など気の向くままに住所不特定生活を約6年間続ける。現在はスイスフランス語圏在住。 好きなことで自分を囲み続ける人生を日々追求中☀️

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