こんにちは。2017年1月より世界一周をスタートした「しゅん」です。
旅とは人との出会い。ならば、その出会いを最大化させる旅にしたい——。そんな想いから、世界の100人に密着インタビューをしながら世界中を旅しています。
今回は世界一周連載企画の第6弾として、「6年前の写真からミャンマー人を探した話」についてご紹介します。
手掛かりは、手書きの地図と6年前の写真が1枚。
世界一周の3カ国目は、いま大きな変革期にあるミャンマー。ミャンマー(旧ビルマ)は、政権交代により民主主義国家への一歩を踏み出しました。
民主化によって外資系企業が流入しており、完全に変わってしまう前に「いま行っておくべき国」と旅人の間で囁かれている国です。
「ひとつの国が変化していく過渡期をこの目で見てみたい。」そんな想いでミャンマーを訪れました。
ミャンマー最大の都市ヤンゴンの安宿に泊まっていると、とある日本人女性「らみさん」に出会いました。ミャンマーに眠る古いアンティーク布を探す仕事をしている彼女のお勧めスポットは、ミャンマーの「バガン」という場所。
らみさん「6年前にバガンに行って、チョウチョウという人にすごく親切にしてもらったんだ。最後に連絡先を交換しようと約束したんだけど、何かの手違いでそれが出来なくて。今でもその事が心に引っ掛かっているんだよね。」
しゅん「ちょうどこれからバガンに行こうと思っているので、探してきましょうか?」
実はこの頃、ミャンマーからインドへ陸路で国境越えする新ルート開拓に失敗し、意気消沈していたので、面白そうな話に二つ返事で乗ってみることにしたのです。
らみさん「6年前の記憶だから曖昧なんだけど…地図と写真はこんな感じ。」
しゅん「しかと受け取りました!」
手掛かりは、かなりアバウトな地図と6年前の写真が1枚だけ。これだけで大丈夫かな?という危惧が現実になることを、この時はまだ知らないのです。
捜査は足で稼ぐんだ!バガンで「チョウチョウさん」大捜索!
バガンとは、見渡す限り3,000以上のパゴダ(仏塔)があるミャンマー屈指の仏教聖地。
カンボジアのアンコール・ワット、インドネシアのボロブドゥールとともに、世界三大仏教遺跡のひとつと称される程で、ミャンマーに訪れた旅人は必ず立ち寄る土地です。
徒歩でまわるには広すぎる地域なので、バイクをレンタルして、チョウチョウさんを探すことにしました。まずは目撃情報や知っている人を探すべく、手当たり次第に聞き込みを開始します。
しゅん「すみません、チョウチョウさんって知ってますか?」
町民「ごめんね。チョウチョウなんて人は知らないわ。」
この女性が頬っぺたに塗っているのは、「タナカ」と呼ばれる樹木を磨り潰した天然化粧品。美容や日焼け止め効果があるそうです。ミャンマーの伝統的なコスメで、町を歩くほとんどの女性が愛用しています。
まる1日間、中心地で聞き込みを続けてみるも、有力情報は得られなかったので、翌日はローカルな村に場所を移すことに。
しゅん「すみません、チョウチョウさんって知ってますか?」
村人1「チョウチョウなんて奴は知らないねぇ。」
しゅん「そ、そうですよね。ありがとうございます。」
しゅん「すみません、チョウチョウさんって知ってますか?」
村人2「チョウチョウ?誰だいそれは?ちょうど昼食だからご飯でも食べていきなさい。」
写真1枚で人を探していると説明すると、すごく親身になって相談に乗ってくれる人が多く、ミャンマーについて教えてくれたり、ご飯を一緒に食べたりと、ミャンマーの人々の優しさが身に沁みます。
2日目も聞き込みを続けるも全て空振り。この2日間で数十人に聞いてもなんの手掛かりも見つからない。手書きの地図と6年前の写真で人を探すのは無理なのだろうか?と絶望感に支配され、心が折れそうになります。
旅程の都合上、3日目が最終日。悔しいですが、もし本日見つからなければ捜査を打ち切らなくてはなりません。
最後に選んだのは、八百屋、肉屋、日用品店、洋服屋などで賑わっている、地元の人々が集まる市場に行ってみることに。
市場を物色するふりをしながら、最後の祈りを込めてチョウチョウさんについて聞き込みを続けます。
しゅん「すみません、チョウチョウさんって知ってますか?」
主人「おう!チョウチョウなら知ってるぞ。もし会いたかったら明日の朝に連れて行ってやる!」
しゅん「え、本当に!?夢じゃないよね…?よろしくお願いしまぁぁぁす!」
捜査は足で稼ぐんだ!という何かで聞いた刑事さんの言葉を胸に、粘りに粘ること3日間。遂に地元民で賑わう市場の主人から有力情報をゲットしました。