こんにちは♪旅人ライターの石川千夏です。
今回は先日TABIPPOで行われた、”和歌山県 那智勝浦のサステイナブルツアー”の体験レポートをご紹介していきたいと思います。
ツアーテーマは自然、文化、経済すべてにプラスをもたらす「サステイナブルツーリズム」。日本の魅力を体感しながら、学びの旅へと出かけます。
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那智勝浦ってどんなところ?
小さな町でも見どころたくさんの、和歌山県・那智勝浦町。今回わたしが参加したのは、歴史と文化と自然を満喫する、2泊3日のサステイナブルツアー。
那智勝浦町は、人口14,000人ほどの小さな町ですが、世界遺産に認定されている”熊野古道”や”那智の滝” 、”生まぐろ”が有名で外国人観光客も多く訪れる場所です。「gaijinpot」の口コミでは、日本で行くべき観光スポットとして、東京や北海道を抑えて熊野が1位になるほどの人気ぶり。
また2018年の「温泉ランキング西日本」では、日本全国に177箇所の源泉があるなかで、「ホテル浦島」の大洞窟温泉が1位になったことも……!みなさんご存知でしたか?
それでは今回のツアーの内容を振り返りつつ、ツアーを通して感じた那智勝浦の魅力をご紹介していきます。
ツアー中の相棒はE-Bikeで
今世界中で注目されているE-Bikeは、環境負荷の少ない電動アシストがついている自転車です。
通常の電動自転車よりも軽量で、専用変速ギアが搭載されているので、体力があまり自信がなくとも険しい山道を楽々登ることができます。
自然との調和を肌で感じることができるので、旅をより楽しむことができるでしょう。本ツアーでは3日間かけて、山道や海辺の道を合計70kmほど走っていきます。
ツアー1日目
まずは那智駅にある「熊野那智 世界遺産情報センター」で、紀伊山地の霊場と参詣道(さんけいみち)について勉強してから観光地へと向かいます。
紀伊山地の霊場と参詣道を全て周ろうとすると何日もかかってしまうので、今回のツアーでは、人気スポットを厳選し案内して頂きました。
世界遺産「熊野古道大門坂」へ
和歌山県にある世界遺産として名を馳せる、熊野古道。ここ、「熊野古道大門坂」は、道自体が世界遺産に登録されており、樹齢800年を超す夫婦杉や、江戸時代に敷かれた石畳などの歴史を感じられる場所。数ある熊野古道の中でも当時の面影を最も美しく残しています。
ノスタルジックな雰囲気をまとう熊野は昔、神の国として崇められており、熊野という文字自体がそもそも神聖らしいですよ。
こういった平安衣装をレンタルして、熊野古道周辺を巡っている方もいらっしゃいました!
延命長寿の水!?「那智山青岸渡寺」
国の重要文化財に指定されている那智山青岸渡寺の入り口は、”神仏習合”といって、神様と仏様(お寺の仁王像と神社の狛犬)が同じところに存在している……という珍しい門。
“延命長寿の水”は、1口飲んだら10年生きられると言われています。
「熊野那智大社」で無病息災を祈る
“熊野速玉大社” “熊野本宮大社”とともに熊野三山のうちの1つである”熊野那智大社”は、サッカーの聖地でもあり、日本代表のサインがたくさんありました。
熊野の神様の使いとされた八咫烏(やたがらす)は、日本サッカー協会のシンボルマークにもなっているのだそう。
かつて平重盛(たいらの しげもり)が植えたと伝えられる楠の木は、根の部分が空洞化されており、そこを通り抜ける”胎児くぐり”をすることで無病息災を祈る方も多くいます。
落差日本一!滝そのものが御神体の「那智の滝」へ
那智山青岸渡寺からも見ることができる那智の滝。なんと落差は日本一!滝自体が御神体とされています。海外の方はこの景色を一目見るために、熊野を行き先に選ぶ方も多いようですよ。
熊野エリアは雨や曇りが多い地域。滝をより厳かな雰囲気で撮るのなら、曇りが良さそうですね。
ということで、世界遺産巡りを終え宿泊先へと帰ります。
紀伊勝浦駅前にある「WhyKumano」は、先ほど散策した熊野古道をイメージしたホステル&カフェバー。木の温もりを感じられるホステル内は、清潔感があり居心地も最高です。
ツアー2日目
「体験レストランAima」で農業体験
町の中心部から山道を25kmほど登ったところにある色川は、作り手である生産者さんが密かに集まっているエリア。
「体験レストランAima」にて、普段どのようにして私達が口にしているものが作られているのか?その背景を知った上で食事をいただく体験をします。
実際に農家に訪れて菜の花を収穫し、猟師さんのもとで、鹿などの野生動物の解体・精肉体験をします。
それらを調理してもらった料理は、生産者の思い、命を頂くというありがたみを改めて感じさせられる、大変貴重で学びと感謝のある体験でした。
ツアー3日目
「勝浦漁港にぎわい市場」にてまぐろの競りを学ぶ
早朝から「勝浦漁港にぎわい市場」で開催されるまぐろの競りを見学し、昔から続いているサステイナブルな漁業について学びます。
漁法にはさまざまな種類がありますが、近年見直しされている”巻網漁”がもっとも効率がよく、一度に大量に魚を獲ることができます。しかし全てが一気に獲れてしまう為、下側のマグロは圧で死んでしまったり、暴れて傷ついたりしてしまうことも。また、まだ育っていない稚魚も取れてしまう為、乱獲という問題にもつながっています。
それに対して”延縄漁法”は、針1個につき1つずつ餌を変えられるので、大きいマグロのみを獲ることができます。
那智勝浦町は、まぐろの延縄漁法による生鮮まぐろの水揚げが日本一!資源を守りながらの持続可能な漁法を取り入れています。実際に市場で新鮮な脇口の生まぐろを頂きました。
港町でもあるため、1回も冷凍されていない新鮮な生まぐろは、脂身があり舌触りが滑らかで今でも忘れられない程の美味しさ。
築地で食べるよりも1日早く、鮮度も良く食べることができるうえに、輸送コストもかからないのでお値段も安いんです!
また、一般的にまぐろは食べるところの約6割が捨てられていますが、脇口のまぐろは余すことなく目玉まで使用されているんですよ。
「太地町立くじらの博物館」で捕鯨について学ぶ
さて、次はイルカ漁を産業としているくじらの町である、お隣の太地町へと移動。「太地町立くじらの博物館」に足を伸ばし、伝統文化としても重要な役割をしている捕鯨について学びます。
海上遊歩道の散策では、湾内で飼育されているイルカを見ることもできました。
「大泰寺」で究極の”ととのい”体験
ツアーもいよいよ終盤に近づき、最後は「大泰寺」の敷地内で行うリバーサイドサウナで究極のととのい体験をしました。
神聖なお寺でのテントサウナはまた格別です。
水風呂の代わりに那智の滝と同じ水源・清流の太田川にダイブした後は、自然の中での外気浴。最後に五右衛門風呂で体の芯から温まる。
3日間のツアーのラストを飾るには、最高のスポットです。
帰りは自転車をのせて電車に乗れる、”サイクルトレイン”に乗って「WhyKumano」へと戻ります。
海・山・川の全てが揃った那智勝浦町へ
公共交通機関が多くない和歌山県。問題となっているのが、乗車率が低い故、廃線してしまうのではないか……ということ。
しかし、もちろん電車を必要とする人もいる為、廃線すれば地域の人たちがどんどんと住みづらくなり、人口減少へと繋がってしまいます。
そんな和歌山県の地方路線の持続可能を目指し、貢献しようという思いで作られたのがサイクルトレインなんです。
ドライブやツーリングもいいですが、環境に優しいE-Bikeに乗って、自然を肌で感じるサイクリングもまた旅の思い出になるのではないでしょうか。
皆さんも海・山・川が全て揃った町、那智勝浦町に是非出かけてみましょう!
サムネイル写真:村井克貴、記事内写真:石川千夏