弾丸旅と聞いて、どんなイメージが浮かびますか?
「若いうちにしかできない」「駆け足でまわるだけで、忙しい旅になりそう」。
そんなふうに感じている人もいるかもしれません。
でも、手段や時間の使い方次第で、弾丸旅は大人にとっても“ちゃんとした旅”になります。
今回は、行きも帰りも夜行バスを使った0泊2日、出雲・松江への弾丸旅をご紹介します。
夜行バスで、旅の“配分”を変える
弾丸旅における夜行バスの魅力は、費用を抑えられる点だけではありません。
寝ている間に移動が完了するということは、現地での時間をより長く使えるということ。交通費や宿泊費を抑えた分、食事や体験に回すこともできます。

できた時間でまちを散策
夜行バスと聞くと、「眠れないのでは」「体力的につらいのでは」と感じる人もいるかもしれません。
最近では席が独立したタイプのバスも多く、快適に過ごせる選択肢も広がっています。特に女性は、隣が同性になるよう配置してもらえるプランもあり、自分に合ったバス会社やプランを選ぶことで、より安心して過ごすことができます。
弾丸旅と聞くと、どこか“我慢の旅”を想像する人もいるかもしれません。でも手段によって、ただ何かを削るだけではなく、どこに時間を使うかを“自分で選べること”だと思います。
神話の道を歩いて、出雲大社へ
出雲での旅先として外せないのが、縁結びの神様として有名な出雲大社。
日本最古の歴史書といわれる『古事記』にもその由縁が記されているほど由緒ある神社で、全国からさまざまな縁を願う人が訪れます。
夜行バスで朝早く到着する分、1日をたっぷり使えるのがこの旅のよいところ。駅から直接出雲大社へ向かうこともできますが、時間に余裕があるなら、まず稲佐の浜へ立ち寄ってみることをおすすめします。

稲佐の浜にある弁天島
稲佐の浜は、神話のなかで全国の神々が出雲に集まるとき、最初に降り立つとされている場所。神々はそこから歩いて出雲大社へ向かったといわれており、その道は「神迎の道」と呼ばれています。
同じように「神迎の道」を歩いて向かうことで、観光地を“まわる”というよりも、この土地ならではの歴史をより“身近に感じられる”かもしれません。

また、稲佐の浜で浜の砂を少量いただく「お砂取り」をして、出雲大社でその砂を納める「お砂の交換」という習わしもあります。
稲佐の浜から持参した砂を、出雲大社の境内にある素鵞社(そがのやしろ)にある砂箱にお納めする。そして今度は素鵞社にある砂をいただくことができるというもの。持ち帰った砂は自宅の敷地にまいたり、お守りとして持ち歩いたりすると、厄除けや魔除けのご利益があるといわれています。
せっかく出雲大社に参拝するなら、最大限ご利益にあずかりたいと思う方も多いはず。朝の静かな雰囲気を、ゆったり味わいながら出雲大社へあがってみてください。
その土地の味を、ちゃんと味わう
弾丸旅でも、その土地のおいしいものを味わうことは外せません。
出雲に来たらぜひ食べたいのが、島根県の郷土料理のひとつである出雲そば。

日本三大そばのひとつにも数えられており、そばの実を皮ごとひくため麺が色黒で、コシと香りの高さが特徴だそう。つゆを上からかけながらいただく割子そばのスタイルも、出雲ならではの楽しみ方です。
夜は地酒とともに、地のものをゆっくり味わうのもおすすめ。島根県、とくに出雲地方は日本酒発祥の地ともいわれていて、地酒の種類が豊富。宍道湖のしじみや、新鮮な海の幸を使った料理と合わせながら、その土地ならではの味わいを楽しむことができます。

復路が夜行バスだからこそ、日付が変わるころまで満喫できるのもこの旅のよいところ。0泊でも、現地を味わいつくせます。
夕日を眺めながら、ゆったり過ごす美術館
出雲から少し足をのばして、ぜひ訪れてほしいのが島根県立美術館です。
宍道湖に沈む夕日は「日本の夕陽百選」にも選ばれるほどの美しさ。その絶景を館内から味わえるよう、季節によっては閉館時間が日没に合わせて変わります。

日の入りが遅くなる3月〜9月の間は日没の30分後まで開館。湖がオレンジに染まっていく景色を、美術館の中からゆっくり楽しめるのも、ここならではの体験です。
また、美術館の外には12匹の「宍道湖うさぎ」と呼ばれるオブジェがあります。
前から2番目のうさぎにしじみの貝殻を供えて、出雲大社のある西を向きながらやさしく触れると良縁が訪れる。そんな“縁結びの地”らしい言い伝えもあります。

館内でも葛飾北斎の作品を常時まとまった数で鑑賞できるなど、美術館としての充実度も本格的。美術鑑賞のあとは、宍道湖を一望できるガラス張りのカフェでコーヒーやスイーツを片手にゆったりと夕日を眺める。そんな時間の使い方も、この旅ならではの贅沢です。
弾丸でも、旅は深くできる
距離によっては、日帰りではもったいない。もっと楽しみたい。でも、長期連休はなかなか取るのが難しい。
そんなときに、0泊という選択肢があります。
大切なのは、どれだけまわったかではなく、どれだけ感じられたか。
弾丸旅は若さや体力勝負というイメージがあるかもしれませんが、どこに時間を使うかをきちんと選べば、忙しい社会人にとってもじゅうぶん“ちゃんとした旅”になります。
土日休みの場合なら、帰宅した日はお家でゆっくり過ごす時間もとれるので、忙しい日々のリフレッシュにちょうどよいかもしれません。
旅に出る方法は、きっとたくさんあります。
あなたも弾丸旅に出てみませんか?
All photos by yuri