ライター
土庄 雄平 山岳自転車旅ライター|フォトグラファー

1993年生まれ、愛知県豊田市出身、同志社大学文学部卒。第二新卒を経験後、メーカー営業職とトラベルライターを両立。現在は、IT企業に勤めながら、自然や暮らしに一歩踏み込む、情報発信に精を出す。トラベルライターとして寄稿した記事は2,000記事以上。 山岳雑誌『山と渓谷』掲載多数、「夏のYAMAPフォトコンテスト2020」入賞、「Yahoo!ニュース ベストエキスパート2024」地域クリエイター部門グランプリ。山での活動をライフワークとし、学生来、日本全国への自転車旅を継続している。

コロナ禍の旅のスタイルについて、さまざまな意見が飛び交っています。そんな中、アウトドア志向のトラベルライターである私がおすすめしたいのは、「マイクロツーリズム×山」という旅のスタイルです!

旅は舗装路で行けるところに限定されがちですが、実は日本の国土の3分の2は山岳地帯。そこには未知のフィールドが広がっており、非日常の大冒険が待っています。

山にはさまざまな楽しみ方がありますが、今回紹介したいのは「ナイトハイキング」!夜景を求めて山に登るアクティビティです。

一度見たら忘れられない山夜景を求めて登る「ナイトハイキング」


photo by Yuhei Tonosyou

山と言えば、大自然と向き合いながら、ひたすらに山頂を目指すイメージがあるかもしれません。しかし実は、選定する山によって楽しみ方は大きく異なります。

中でも、近年カジュアルに登れる存在として注目されているのが、都会近郊の低山です。東京の高尾山や、愛知の猿投山(さなげやま)などがその代表格と言えるでしょう。

特徴としては、登山口から山頂まで長くても2時間くらいであること。道がよく整備され、登山客の往来も多いこと。安全でハードルは低いですが、自然に思いっきり触れられるのが魅力です。


photo by Yuhei Tonosyou

一方で、そうした低山が都会近郊にあることに注目して、夜間に登山をする「ナイトハイキング」という楽しみ方が生まれました。なぜ、あえて夜に登るのか。その答えは、筆舌に尽くしがたい夜景が見られるから。

ひたすらに美しくダイナミック、そして非日常感とプレミアム感。登った者にしか得られない充実した時間が、そこにはあります。

装備と下調べは抜かりなく!山選びの4つのポイント


photo by Yuhei Tonosyou

当然、夜に登るので、日中よりナイトハイキングの方がリスクは高まります。そのため、入念な準備と下調べが必要です。これを怠らなければ、登山経験がない方でも、手軽にナイトハイキングを楽しめます。(夜に登るので、度胸は必要ですが……)

登る山を選ぶ際のポイントは以下の4つになります。

①登山道が明瞭で歩行が短時間の山を選ぶ(一度登ったことのある山がベター)
②事前に登山道のMAPを頭に入れておく
③ライトを必ず持参する(電池があるか確認)
④真っ暗になる前に山頂へ到着する(夜道を進むのは片道だけ)

なかでも山の選定は重要!初めての方は、道がよく整備され、分岐の数が最小限、そしてコースタイムが短い山を選ぶと、グッとリスクを減らせます。

なおナイトハイキングをする都市部近郊の山は、電波が通っていることが多いので、スマートフォン等のGPSも有効です。

レベル別!ナイトハイキングにおすすめスポット5選

それでは、ナイトハイキングにおすすめしたい山をいくつかご紹介していきましょう!

山と町が近接している関西を中心として、美しい夜景を味わえる場所が日本全国には数々存在します。今回は、レベル別に取り上げたいと思います。入門編は、車で行ける場所を扱っているので、ぜひ一度トライしてみてください。

<入門>宝石のような大阪夜景が楽しめる!生駒山地の旧街道「十三峠」


photo by Yuhei Tonosyou

最初に取り上げたいのは、大阪と奈良の県境に位置する「十三峠」。生駒山地を横切る旧街道であり、関西のサイクリストやバイク乗りから人気を集めています。

そんなこの峠、道の中腹は木々で覆われているものの、頂上付近は開けており、大阪市街を一望できるのが魅力!

日没30分前からこの場所を訪れれば、美しいトワイライトからの感動的な夜景を眺めることができます。そのさまは、まるで宝石のよう!爽やかな夜風に吹かれながら、刻々と変化する夜景に向き合う時間は、本当にロマンチックです。

■詳細情報
・名称:十三峠(じゅうさんとうげ)
・住所:〒636-0937 奈良県生駒郡平群町大字福貴畑
・地図:
・アクセス:八尾市街・平群町から車で約15分

<入門>豪華客船を俯瞰する絶景。世界新三大夜景の長崎「鍋冠山」


photo by Yuhei Tonosyou

もう一つ入門としておすすめなのが、異国情緒漂う町・長崎の「鍋冠山(なべかんむりやま)」。長崎は、全国的に有名な夜景スポット・稲佐山を有していますが、実はこの町が「世界新三大夜景」に選出される立役者となったのが、この「鍋冠山」です。

ポイントは大型客船と夜景のコラボレーション!長崎にはダイヤモンド・プリンセスをはじめとしたクルーズ船が高い頻度で就航するため、かなりの確率で見ることができます。単体で抜群の存在感を誇る船夜景は唯一無二!

この景色がまた見られるようになるのは、まだ先かもしれませんが、情勢が落ち着いたらぜひ訪れてほしいスポットです。

■詳細情報
・名称:鍋冠山展望台
・住所:〒850-0924 長崎県長崎市出雲2丁目144-1
・地図:
・アクセス:長崎電気軌道・石橋駅から徒歩約20分
・公式サイトURL:https://www.nagasaki-tabinet.com/guide/60842/

<初級>山夜景マニアがこぞって絶賛!京都の名山「大文字山」


photo by Yuhei Tonosyou

ここからは本格的なナイトハイキングスポットをご紹介していきます。

まず、初級としてイチオシなのが、京都・銀閣寺の裏手にそびえる「大文字山」。夏の京都の風物詩・五山の送り火の会場として有名なこの山ですが、実は登ることができます。

銀閣寺の裏手から、徒歩30分ほど。最後に長い階段を登れば、180度以上開けた圧巻のパノラマが!

そして日没から20分を過ぎる頃、夕焼けが残る空を背景に、感動的な京都市街の夜景が作られます。京都タワーをはじめとして、さまざまな観光名所を指さしながら暮れゆく京都をうっとりと眺めるのは、最高の非日常体験です。

■詳細情報
・名称:大文字山
・住所:〒606-8442 京都府京都市左京区鹿ケ谷大黒谷町
・地図:
・アクセス:京都市営バス:バス停「銀閣寺道」下車徒歩約10分で登山口、登山口から火床まで往復約1時間
・参考サイトURL:https://www.travel.co.jp/guide/article/36925/

<初級>伊吹山のトワイライト夜景を臨む、愛知「継鹿尾山」


photo by Yuhei Tonosyou

初級2つ目の山は、愛知県の「継鹿尾山(つがおさん)」。県民にもあまり知られていないマニアックな山なのですが、ナイトハイキングスポットとしては一定の知名度があります。

犬山から小牧をつなぐ尾張パークウェイを横切る陸橋付近に車を止め、約30分ほど登れば、東屋の展望台を有する山頂へ到着です。

山頂はそれほど開けていないものの、木々の間を覗けば、木曽川沿いから大垣に至るまでの奥行きのある夜景が!そして名山・伊吹山のシルエットが赤く浮かび上がります。光量はそれほど多くないものの、息を呑む絶景です。

■詳細情報
・名称:継鹿尾山
・住所:〒484-0003 愛知県犬山市大洞善師野
・地図:
・アクセス:犬山市街から登山口まで車で約10分、登山口から山頂まで往復約50分(詳細なルートは以下URLを参照)
・参考サイトURL:https://nighthiking.jp/yakei/tsugaoyama/

<中級>静岡「朝鮮岩」は、夜景マニア羨望の場所


photo by Yuhei Tonosyou

最後に少々難易度高めの場所も一つ。少し山歩きをしたことがあり、夜道も平気!という方は、ぜひ静岡県の「朝鮮岩」をおすすめしたいところ。なぜなら、この場所は光量抜群の静岡市街と、日本最高峰の富士山を一緒に眺められる夜景スポットだから。

夜景は平面的なものが多いですが、富士山を中心として幹線道路が放射線状に集まる雄大な景色は、国内でも二つとない珠玉の山夜景として知られています。

アクセスは少しハードルが高いものの、準備を入念にしたうえでぜひ一度チャレンジしてほしい、国内を代表するナイトハイキングスポットと言えるでしょう!

■詳細情報
・名称:朝鮮岩
・住所:〒421-0135 静岡県静岡市駿河区小坂
・地図:
・アクセス:静岡ICから登山口まで車で約25分、登山口から山頂まで往復約1時間
(ルート詳細は以下URLをご参照)
・参考サイトURL:https://www.pixpot.net/articles/u_d_view/731/choseniwa-mountaineering

非日常は意外とそばに!?ナイトハイキングに挑戦しよう


photo by Ran Tonosyou

旅行がまだまだ難しい昨今。好奇心が強く、非日常を楽しんできた旅人にとっては、辛い状況が続きます。しかしそんなときだからこそ、また新たな世界へ踏み出すチャンスと言えるでしょう。

今回紹介した「ナイトハイキング」は、都市部からさほど離れることなく、非日常体験を手軽に味わえるアウトドア!前述した4つのポイントを押さえれば、誰でもリスクなく冒険を楽しめます。

日本各地には夜景が美しい山は数え切れないほどあるので、マップを開きながら、ぜひあなたの街の近くの山で試してみてはいかがでしょうか?くれぐれも綿密な準備をお忘れなく。

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1993年生まれ、愛知県豊田市出身、同志社大学文学部卒。第二新卒を経験後、メーカー営業職とトラベルライターを両立。現在は、IT企業に勤めながら、自然や暮らしに一歩踏み込む、情報発信に精を出す。トラベルライターとして寄稿した記事は2,000記事以上。 山岳雑誌『山と渓谷』掲載多数、「夏のYAMAPフォトコンテスト2020」入賞、「Yahoo!ニュース ベストエキスパート2024」地域クリエイター部門グランプリ。山での活動をライフワークとし、学生来、日本全国への自転車旅を継続している。

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