コロナが大流行し、第一波のすぐ後。
私が初めて小笠原諸島に訪れたのは2020年の7月でした。
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行くことになったきっかけ
20代最後の時、私生活も仕事も趣味も順調で毎日をとてもエンジョイしていました。
しかし、私は仕事を頑張りすぎていたことを自分では認識しておらず、正直だった私の身体には大量の円形脱毛症が発症。
「ストレス」が「症状」という形で身体に表れたことが初めてで、円形脱毛症と知った時はとにかくショックでした。
その頃はなんだかすっきりしない日がずっと続き、今思うとあれがうつ病の手前の症状だったのかな、なんて思っています。
とはいえそんな状態にも関わらず、仕事はしっかりとこなし、成果も出しながら、合間を縫って通院して円形脱毛症の治療を行っていました。そしてやっと回復の兆しが見えてきた……!というところで、コロナが大流行。
行動制限により大好きな海外旅行にも行けず、20代ラストの年は私にとってもストレスの溜まる日々でした。
やっと第一波が落ち着いてきたところで当時の上司に「有給とって旅行行ってきな」と言われ、決めた旅行先が小笠原諸島。
高台から見る大村地区とおがさわら丸
当時、コロナ禍でおうち時間が増えたため、大好きな旅行に行けない変わりに世界遺産の勉強をしていました。そして世界遺産の知識が深まり、海外に行けないのなら日本の世界遺産をまわりたいと思い始めていたのです。
また当時は県をまたいでの移動は自粛するように言われていました。東京に住んでいた私は、小笠原諸島であれば東京都内ということになるので良いかな、と思い行小笠原諸島へ行くことにしました。
内地では見ることができない植物が豊富
小笠原諸島行きは急遽決めたため、さすがに同行者が見つからず、久しぶりの一人旅となりました。
このとき、一人で行ったからこそ小笠原諸島の魅力により一層気づくことができ、私にとって小笠原諸島が一番の場所になったのかもしれません。
6日に一度就航する舩で24時間かけていく、秘境・小笠原諸島とは
小笠原諸島は東京都に属していますが、南に約1000km離れており、行く手段は24時間かかる定期船のみ。
飛行場はなく、船は6日に1回の就航なので旅程は最低でも6日間必要になります。
もう少し滞在したいとなったら12日、18日……となる秘境中の秘境です。
竹芝から出港するおがさわら丸は定員約900名の大型船
それだけ日本列島から離れている小笠原諸島には他の離島とは違う不思議な魅力がたくさんあります。
☑︎東京都から1000km離れているのに車は品川ナンバー
☑︎移住者が多く島民の平均年齢が42歳と若い(全国平均約50歳)
☑︎1月1日に日本一早い海開きが催される
などなど
小笠原ではウミガメが食べられます。亀刺しは馬肉のような味わい
ちなみに世界遺産として登録されている小笠原諸島の世界的価値は下記になります。
2011年世界自然遺産に登録
カタツムリ(陸産貝類)のうち、94%が固有種
一度も大陸と陸続きになったことがないため独自の生態系が育まれている
海底でマグマが冷え固まって隆起して出来た小笠原諸島には奇岩があふれている
小笠原諸島でしか出会えない自然を満喫して。おすすめの場所やアクティビティ
せっかく小笠原諸島に訪れる機会があれば是非行っていただきたい・体験してもらいたいことをご紹介していきます。
特に、世界遺産としても評価されている小笠原諸島の動植物などは必見です。
小笠原を象徴する美しい無人島・南島
自然のコントラストが美しい
小笠原を象徴する景観のひとつにもなっているのがこの南島。
独特の地形や海の青さがとても美しい場所で、波が穏やかでないと上陸できない無人島です。
※植生回復のため毎年11月上旬から2月上旬は上陸不可となっています。
およそ1000年前には生きていたと言われている
ここにはヒロベソカタマイマイの半化石がたくさん落ちているので、是非見つけてみてください。ただし持ち帰るのは禁止なのでご注意を。
小笠原諸島でしかみることのできない動植物と出会うナイトツアー
前途のとおり小笠原諸島は独自の生態系が認められていることで世界遺産になっています。そんな小笠原諸島で唯一の固有哺乳類である「オガサワラオオコウモリ」。ナイトツアーに参加すると高確率で見ることができます。
日本で一番大きなコウモリ。フルーツを食べる生態がなんだか愛らしい
他にも時期によってはウミガメの産卵、グリーンペペ(緑色に光るきのこ)、など小笠原諸島ならではの生き物たちに出会うことができます。
キレイな海はもちろんですが、世界的に認められている生態系も感じていただきたいです。
※南島もナイトツアーは生態系の保護保全のため必ずガイド同行が必須となっております。
外来の種子等を持ち込まない用、徹底したルールがあります
「行ってらっしゃい」。村民総出でおがさわら丸のお見送り
小笠原→竹芝へ戻るときも行きと同じ船に乗って24時間かけて戻ります。
その際の村民総出のお見送りはとても感動しました。
宿のスタッフやガイドなど全員がお見送りしてくれます
そこでの掛け声は「さようなら」ではなく「いってらっしゃい」。
また小笠原諸島に戻ってきてもらうために、その掛け声なんだとか。
そして船が出港した後も漁船や観光船がずっと付いてきてくれて、最後に人々が海にダイブし、船が見えなくなるまで手を振り続けてくれます。
「いってらっしゃい」「また来てね」の声が止まらないお見送り
このお見送りにとても感動して、私は翌日も目が腫れるほど泣きました。
人の温かさをとても感じ、いまだにあの光景を思い出すだけでも涙が出てくるくらいです。
そして何度でもこの地に戻ってこようと思いました。
70ヵ国を旅して思う、世界一の場所は「小笠原諸島」
今まで70カ国以上訪れてきましたが、正直小笠原諸島を超える場所はないです。世界一の場所だと思っています。
ボニンブルーと言われる濃い青のキレイな海
固有種で溢れる山々
世界的に認められている生態系の中でのびのび暮らす生物たち
ここでしか味わえない亀刺しなどの美味しい食べ物
とにかく親切な島民たち
ここにはすべてが詰まっています。
おがさわら丸から見た夕日。24時間の船旅は快適であっという間だ。
円形脱毛症で大きなショックを受け、コロナ禍の自粛生活でストレスを抱えたあとの20代最後の一人旅。だからこそ、ここまで小笠原諸島に惚れ込んだのかもしれません。
それでも、何度思い返してもあの時、小笠原諸島を選んで本当によかった、そう思います。
この場所でたくさんのパワーを貰い、いまは素敵な30代を迎えられています。
行くには最低6日間かかるし、旅費も安くはないため、海外旅行レベルの場所ではありますが、心の底からおすすめできる小笠原諸島。
この素晴らしい場所にあなたも訪れてみませんか?
All photos by Tamami Mizunoya