ライター
川波 恵子 旅する臨床検査技師

旅する臨床検査技師けーちゃん。訪問国数は43ヶ国。臨床検査技師として働く傍ら、出張撮影サービスのカメラマンをしたり、世界一周をしたりアメリカ横断したり、カナダに住んでみたり、フォトコンテストで世界1位になったり(IPA 2023)。「やりたい事は全てやる、行きたい所は全て行く」をモットーに世界中を旅しています。好きなことはカメラと美味しいチョコレート探し。今の目標は宇宙旅行。

「日本一元気な商店街」ともいわれ、家電店から古着屋、オシャレカフェなど、様々な種類のお店が軒を連ねており、いつ訪れても多くの人たちで賑わう「大須商店街」。

名古屋に住む私も大好きな場所で、県外から名古屋を訪れる友人を連れて行ったり、地元の友達と行ったり、時にはふらっと一人で訪れたりもする場所です。

そんな大須商店街は、歴史のある商店街で、かつてはシャッター商店街となった過去も……。

そこからどのようにして再び立ち上がったのか。大須商店街の魅力や秘密に密着してきました。

大須商店街の歴史をたどる


大須商店街の歴史ははるか昔まで遡ります。

1612年に徳川家康の命により、現在の岐阜県羽島市にあった真福寺(大須観音)を現在地に移転したことがキッカケで、大須観音の門前町として大須は発展していきました。

大正元年、現在も大須にある万松寺が、領有する付近の山林の大部分を開放したことにより、大須商店街が誕生します。劇場や映画館などが作られ、名古屋随一の歓楽街に。

Photo by pixta

多くの人で賑わっていた大須商店街も戦後には人が減り、かつての賑わいはどこかへ行ってしまったことも。

戦後の復興事業で若宮大通や伏見通がつくられたことにより、人の流れが変わってしまったのです。

しかし1970年代後半になると状況は一変。

アメ横ビルや家電店などが集まったことで、秋葉原と大阪の日本橋と共に「日本三大電気街」といわれるまでに再成長しました。


こういうお店は旅人心がくすぐられます

いっときは「オタク街」として再び盛り上がりをみせた大須商店街。

現在では「様々な国の文化やグルメに触れることができる多国籍な街」、「安価な洋服やアクセサリー、古着を求める人々が多く訪れるファッションの街」という面もでき、老若男女、日本国内外から多くの人が訪れる、名古屋を代表する観光地となりました。

大須商店街が「日本一元気な商店街」なワケとは


多くの人で賑わう日曜午後の商店街
中小企業庁が令和3年に全国の商店街へ行ったアンケートによると、商店街の最近の景況が「「衰退している」もしくは「衰退の恐れがある」と答えたところは、67.2%と全体の2/3を占めています。

かつてはその街の賑わいの中心だった商店街も、人の流れが変わったこともあり衰退の傾向が全国的に強まっているよう。

お店を畳むところが増えて、いわゆる「シャッター商店街」は全国で年々増加しており、人が寄り付かずにゴーストタウン化しているところも多いのが現実です。

しかし、そんななかでも大須商店街はかなり盛り上がっており、とくに土日には飲食店の前に行列ができます。メインの通りは人をよけて歩くのも大変なほど。


カメラを持っての大須歩きも楽しい
コスプレをする人、カフェ巡りが好きな人、パソコンなどの電化製品を探しに来た人、商店街内のスーパーに買い物に来た地元民、写真撮影をするカメラマン。老若男女様々な人で賑わっているのです。

最近は外国からの観光客も多くおり、商店街内の歩けば様々な言語が耳に入ってきます。それに合わせてか商店街マップも多言語化に対応。

興行場から遊郭、そして電気街、オタク街、ファッション街……かつてシャッター商店街と化した時期もあったものの、時代の流れに合わせながらの地元の人たちの努力により、今の大須商店街の賑わいがあるのでしょう。


特に土日は多くのコスプレイヤーと出会うことができます
大須の商店街組合が、店を閉めた店舗と大須に店を持ちたい者とを結びつける仕組みを構築したことも、大須のシャッター商店街化を食い止めている要因でしょう。

地元民以外の人や、若者に対する警戒心を持ちがちな商店街の地主や不動産会社ですが、商店街組合の説得により、外からの若者が新規参入する店舗が増加。また組合が審査者・仲介者などになり、積極的に空き店舗対策と開業支援を行ったのです。

こういった具体的な対策によって好循環が起こり、流行に敏感な若者すらも集まる商店街となったのでしょう。


現在のふれあい広場
昔から大須に住む人の話では「商店街のふれあい広場で野球やってたくらい閑散としてた時期もあるのよ」とのことですが、今や「ふれあい広場」といえば大須商店街の待ち合わせスポットで、多くの人が行き交う場所。

現在では想像もできません。こうした逆境を乗り越えたことも今の大須商店街の強みとなっているのだと思います。

大須商店街のイベントも見逃せない


大須商店街では年間を通じて、様々なイベントが開かれているのも人気の理由。

なかでも目玉は2023年に44回目の開催だった「大須大道町人祭」。

10月の土日の2日間に渡り、商店街中で様々な催し物があり大賑わい。もっとも注目を浴びるのは、一般公募で選ばれた女性達による「おいらん道中」です。

あでやかなおいらんの衣装と高下駄を身にまとい、傘持ちやお供の男衆、かむろ、新造を引き連れ、商店街の町並みを練り歩きます。

また、世界コスプレサミットも見逃せません。2024年の開催も8月に決定しており、世界中から予選を勝ち抜いたコスプレイヤーが大須に集まります。

こういったワクワクするイベントが目白押しなのも、大須が元気であり続ける秘訣なのかもしれません。

大須商店街のことなら案内人に聞こう


大須商店街には「大須検定」をクリアした大須のスペシャリストたちがおり、土日の13:00〜16:00ごろに「ふれあい広場」を拠点に大須商店街の案内をしています。

日曜の午後に大須商店街を訪れ、知人に教えてもらったお店を探していた私も、彼らを頼ってみることにしました。

どうしても店名が思い出せず、持っている情報は「トロトロのわらび餅」だけ。

女性の案内人さんが対応してくれたのですが、間髪入れずに「わらび餅のお店なら主に3つ程ありますねぇ。最近流行っていて、売っているお店がどんどん増えているんですよ」と。


そしてマップを広げると「このどちらかと思うのですが……」と、慣れた手つきで印を2つ付けてくれました。

商店街内には1,000を超える店舗があるというのに驚きです……!この案内人さんのお陰でお目当てのお店にたどり着くことができました。

私の他にも何やら困った様子の人がおり、案内人さんが「何かお探しですか?」と声をかけるシーンも。

こういったボランティアの案内人さんに支えられて、大須商店街が活気付いているのだなと感じた瞬間でした。

大須商店街のオススメ

前述のとおり、大須商店街には1,000を超えるお店があり、見どころも山のようにあります。

そのなかから、「大須商店街に行くならここは外せない!」という場所を厳選して5つ紹介していきましょう。

大須観音


大須商店街に来たら外せない「大須観音」は、日本三大観音のひとつとしても数えられる観音霊場で大須のシンボル。

名古屋城を築城する際に現在の場所に移され、ここから大須の賑わいが始まりました。

学問に関するご利益にあずかれるとされており、入試が近づくと参拝する受験生たちで賑わう場所でもあります。

ほかにも家内安全・身体健康・商売繁盛といった様々なご利益もあるので、大須商店街を訪れる際は参拝してみてはいかがでしょうか。

■詳細情報
・名称:大須観音(北野山真福寺寶生院)
・住所:名古屋市中区大須2丁目21−47
・地図:
・アクセス:大須観音駅から徒歩1分
・営業時間:6:00〜19:00
・電話番号:052-231-6525
・公式サイトURL:http://www.osu-kannon.jp/

包包亭(パオパオテイ)


大須の人気グルメといったら「包包亭」!

焼き小籠包が大人気で、台湾の屋台「大上海煎包」で修行した店主が開いた、本場の味がいただけるお店です。

店頭に「肉汁注意!肉汁が飛び出す恐れがあります」と書かれている通り、一口食べるとジュワッと肉汁が溢れ出てきて絶品です。

■詳細情報
・名称:包包亭(パオパオテイ)
・住所:名古屋市中区大須3丁目20-14
・地図:
・アクセス:上前津駅から徒歩5分
・営業時間:11:00~
・定休日:水曜日
・電話番号:052-242-3803
・公式サイトURL:http://paozu.asia/

OSSO BRASIL(オッソブラジル)


ブラジル人スタッフが作る本場の味がいただける「OSSO BRASIL」は、今や大須名物といってもいい、ブラジル料理店です。

秘伝のたれで味付けをし、店先のグリルマシンで豪快に焼く「鶏の丸焼き」が名物。他にもハンバーガーなどがいただけます。

■詳細情報
・名称:OSSO BRASIL(オッソブラジル)
・住所:名古屋市中区大須3丁目41−13
・地図:
・アクセス:上前津駅から徒歩約5分
・営業時間:11:00~21:00
・定休日:月曜日
・電話番号:052-238-5151
・公式サイトURL:https://osso-brasil.com

ソロピッツァ ナポレターナ大須本店


ソロピッツァ ナポレターナ」のオーナーは「世界最優秀ピッツァ職人」に認定された職人というだけあって、おいしさは間違いなし。

水牛のモッツァレラチーズをつかった「マルゲリータエクストラ」は、世界選手権で1位を獲得したメニューで、お店の人気商品。ぜひお試しあれ!

■詳細情報
・名称:ソロピッツァ ナポレターナ大須本店<
・住所:名古屋市中区大須3丁目36−44
・地図:
・アクセス:上前津駅から徒歩約6分
・営業時間:11:00~21:30
・定休日:なし
・電話番号:052-251-0655
・公式サイトURL:http://www.solopizza.jp/

新雀本店


「新雀本店」は”おばあちゃんのみたらし団子”として、多くの人に愛されてきた団子屋さん。

現在はおばあちゃんの息子さんが焼いていますが、継ぎ足しで使い続ける「おばあちゃん秘伝の醤油ダレ」を使ってつくる団子のおいしさは変わらず、多くの人を魅了しています。

■詳細情報
・名称:新雀本店
・住所:名古屋市中区大須2丁目30−12
・地図:
・アクセス:大須観音駅から徒歩約5分
・営業時間:12:00~19:00
・電話番号:052-221-7010

進化し続ける大須商店街へあなたも


2023年の大須大道町人祭の様子
止まることなく進化を続ける大須商店街。私自身もこれまでに何度も訪れている場所ですが、いまだに行くたびに新たな発見のある場所です。

名古屋を訪れる機会があれば、大須商店街へぜひ立ち寄ってみてくださいね。日本1元気な商店街で、あなたのお気に入りが見つかること間違いなしですよ♪

All photos by Keiko Kawanami

ライター
川波 恵子 旅する臨床検査技師

旅する臨床検査技師けーちゃん。訪問国数は43ヶ国。臨床検査技師として働く傍ら、出張撮影サービスのカメラマンをしたり、世界一周をしたりアメリカ横断したり、カナダに住んでみたり、フォトコンテストで世界1位になったり(IPA 2023)。「やりたい事は全てやる、行きたい所は全て行く」をモットーに世界中を旅しています。好きなことはカメラと美味しいチョコレート探し。今の目標は宇宙旅行。

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