最近、おいしいものを食べていますか。
外食がしにくくなり、ひとりでごはんを食べることも増え、毎日料理するのもちょっと大変。気がつくと、平日はおろか土日もシンプルな自炊をしているなんてことも。
そんな私を救ってくれたのは、小さな生産者さんの保存食でした。瓶詰めに入ったユニークな調味料は、毎日のおうちごはんだけでなく、休日のちょい呑みおつまみや、ホームパーティーにもぴったり。
この記事では、東京でローカルな保存食に出会えるお店と、おすすめ商品をご紹介します。
カフェと地域の食卓をつないでいく。大崎・CAFE&HALL ours
photo by Risa Imai
JR大崎駅から徒歩5分、閑静な住宅街の道沿いに、開放的なカフェが。
オフィスワーカー、地域のお母さん、休日にはおいしいスイーツを求めてお客の集まるカフェ、「CAFE&HALL ours」。
もともとはオフィスワーカー向けの食堂のようなカフェでしたが、コロナをきっかけに素材や調味料にこだわり、地域の方の食が豊かになるメニューを提供するため、仕入れ先の見直しから行ったそう。
そのきっかけは、コロナ禍で三軒茶屋の店舗で挑戦した、野菜やお菓子、調味料を揃えた食物販のお店「WEAT cornershop」。
WEAT cornershopの開店に携わったスタッフの石川さんは、店舗営業ができなくなり、お客さんも仕入れ先も困っているなか、できることはないかと考え、構想5日でオープンしたと言います。
photo by Risa Imai
「自粛をしている地域の人は、単一的な食卓になりがちで困っている。仕入先は、営業自粛の対象ではなくても私たちが営業できないことで卸先がない。どうにか、つなぎとめたくて。安全面に最大限考慮しながら、食材を買うことができる場所をと考えました。スーパーでは出会えないような、いい素材で手作りの食材をお客さんの手に取ってもらうことができたと思っています」(石川さん)
三軒茶屋のWEAT cornershopは3か月間で役割を終えましたが、取り扱っていた商品は、大崎のCAFE&HALL oursで展開しています。
photo by Risa Imai
「カフェで提供している料理と親和性をもたせたくて、一角のスペースで物販をするようになりました。料理もそれまでのレシピを見直し、シンプルな工程で素材の味を生かしたレシピに。お客さんが調味料などを買って帰って、再現できるようにと考えました」(石川さん)
そんなCAFE&HALL oursで買うことができる、おすすめの調味料を教えてもらいました。
①Shona Soy Studioの「SOYFFEE Powder + / Veggie Bowl」:湘南
photo by Risa Imai
大豆とコーヒー豆を独自製法で組み合わせた、大豆発酵食品のSOYFEE。SOYFEEを粉末にして、ハーブなどを調合したのが、「SOYFFEE Powder + / Veggie Bowl」です。
Shonan Soy Studioがoursの系列店舗近くにあり、縁あって商品を取り扱うようになったのだそう。
SOYFFEE Powder +は、全6種類。毎日のサラダ、お肉料理、飲み物など、さまざまなシーンに取り入れて、大豆や発酵の力を食卓に。
こう食べたら、ぴったり:パスタにSOYFFEE Powder + / Veggie Bowl
photo by Risa Imai
豚肉、ズッキーニたっぷりの醤油ベースのパスタに、一振り。オレガノの香りがアクセントになり、よりいっそう食欲をそそるパスタになりますよ。
②フミ子の生ゆず胡椒 大吟 青:福岡
photo by Risa Imai
母のつくる生ゆず胡椒の味を受け継ぎたいと、息子が母から学びながらつくりはじめたという「フミ子の生ゆず胡椒」。九州産の新鮮な無農薬の青ゆずと青唐辛子をつかい、保存料も使わず丁寧につくられています。
「フミ子の生ゆず胡椒」には、大吟 青、大吟 黄、大吟 赤、大吟 黒などの種類がありますが、今回は定番の大吟 青を購入してみました。
こう食べたら、ぴったり:鶏ハム&湯葉にフミ子の生ゆず胡椒 大吟 青
photo by Risa Imai
「フミ子の生ゆず胡椒 大吟 青」は辛味もありつつ、生ゆずの風味が抜群。鶏ハムに合わせると、風味を存分に楽しむことができます。
もう一工夫には、湯葉。湯葉とゆず胡椒だけの組み合わせもいいし、鶏ハムと湯葉もしっとり食べやすい。湯葉の風味がゆず胡椒を引き立てます。
③アリアンナ・オッキピンティさんのカッペロ・イブレオ:イタリア
photo by Hinako Morino
イタリアンを食べていたら、知らず知らずのうちに出会っているであろう、ケッパー。ピザー、パスタ、カルパッチョなど、「なんだか、味が奥深くておいしいな」と思うものにはケッパーが隠れているかもしれません。
oursで購入できるケッパーは、イタリア・シチリアでワイナリーを営むアリアンナ・オッキピンティさんが作るもの。作り手の想いや背景を大事にしている「Vinaiota」が輸入しています。
「このケッパーの魅力は、うまみです。ほどよい塩加減で、噛むとじゅわっとうまみが広がります。量もあり値段も安くはありませんが、一度味わえば、むしろ安いと思うお客さんもいて、リピートしてくれますね」(石川さん)
こう食べたら、ぴったり:サーモンとホタテのグリーンサラダにカッペロ・イブレオ
photo by Risa Imai
The王道の食べ方ですが、間違いなくおいしい一品。ホワイトセロリたっぷりのグリーンサラダの上に、サーモンとホタテ。レモンもたっぷりかけると、爽やかで夏なひとくちに。
photo by Risa Imai
今回ご紹介した3品以外にも、保存食からドリンク、野菜まで、CAFE&HALL oursでは幅広い食材を取り扱っています。
「お店には、思いをもってつくっている生産者さんの商品を置きたいと思っていますし、基本的にはつながりがある人から仕入れをしています。この先ラインナップも増えていくと思いますが、つながりがあるかどうか、は大切にしていきたいと思っています」(石川さん)
ぜひ一度、お店を訪れてみてくださいね。
新潟県・佐渡島の素材を瓶詰めに。「HOZON」
photo by Hinako Morino
続いて向かったのは、清澄白河。気になる保存食屋さんがあり、いつか行ってみたいと思っていました。
黄色の看板が目印、HOZONです。
photo by Hinako Morino
店内には、新潟・佐渡島の食材の魅力をぎゅっと詰め込んだ手作り保存食を中心に、店主のスガワラさんが仕入れた全国の保存食がずらりと並びます。
photo by Hinako Morino
3年前に、ここ清澄白河に今のお店を構えたと、店主のスガワラさんは言います。
「もともと飲食の仕事についていて、佐渡の食や文化を発信したいという思いの方に共感して、この会社に入りました。どうしたら佐渡を知ってもらえるだろうと考えたとき、保存食にしたら島外はもちろん、遠くに届けられるかもって思ったんです。それから、月の半分は佐渡にいて、東京と行き来していました」
「佐渡保存」のラベルがついたものは店内のキッチンで手作り。佐渡で採れる季節の食材や規格外の素材を使い、数量限定で製造しています。
店内の商品は、スガワラさんが日本の各地をめぐり仕入れたもの。時には市役所を訪ねて、その地域のおいしいものを聞き出すこともあるのだとか。
「食い意地だけは、一生はりつづけようと思っていて(笑)。佐渡の食材もそうですが、思いのあるおいしい商品は、ぜひ置きたいと思っています」
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そんなスガワラさんに、この夏におすすめの商品を3つ教えていただきました。週末にアペロに合う、3品です。
①食べる、サングリアの素-いちご-:佐渡保存
photo by Hinako Morino
この夏にきらめくのは、スパイスが効いたいちごたっぷりサングリア。HOZONのお店で手作りしている、夏のイチオシです。
佐渡産のいちごがゴロゴロ。レモングラス、クローブ、コアントローも入って、甘いだけじゃない奥深いシロップです。
見てください、このつやつやのフルーツたち。
photo by Hinako Morino
こう飲んだら、ぴったり:ルエ・ディ・ピアーネ フィアーノでサングリア
photo by Hinako Morino
食べる、サングリアの素-いちご-は、辛口白ワインとぴったり。今回合わせたワインは、イタリアの「ルエ・ディ・ピアーネ フィアーノ」。
西荻窪の駅からすぐ、SAKE-YA西荻でおすすめしてもらった一本です。
すっきりとしたワインの辛味が、りんごや無花果の甘味を引き立たせて、ワインのクセのなさのおかげで、スパイスが後から香ります。暑い日には冷やしてどうぞ。