ラマダーンの終わりを祝うイード
photo by 名古屋モスク「イード礼拝の様子」
ラマダーン最終日の翌日に迎えるのが「イード(イード・アル・フィトル)」という祝祭。
モスクなどに集まり、礼拝をするなどしてラマダーンの終わりを祝う日で、イスラーム圏では多くの学校や会社が休みになる、大事な日です。プレゼントを渡し合ったり、礼拝に来た人や家族と食事をしたりして祝います。
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合言葉は「イードムバーラク(Eid Mubarak)」。
ムバーラクとはアラビア語で「おめでとう」の意味があり、ラマダーンには「ラマダンムバーラク」、イードの日は「イードムバーラク」というグリーティングカードを送り合うなど、この時期はSNSなどでもよく見かける言葉です。
コロナ禍のラマダーン
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ラマダーンの楽しみといえば、日没後にみんなで食べるイフタール。
しかし新型コロナウイルスの流行に伴い、名古屋モスクではラマダーン期間中のモスクの一時閉所を決断。みんなでワイワイ楽しむ時間がなくなり、イフタールをご馳走すると積めるはずだった徳も積めなくなりました。
photo by Sarah「中学生以上の子どもの為のコミュニティ・SYMのイフタール」
またさまざまな国のムスリムが集まる名古屋モスクでは、トルコやガーナ、モロッコ、ミャンマーなどといった各国の料理が食べられるのも楽しみの一つでしたが、そうした楽しいことができなくなったのは寂しいと、名古屋モスクのサラさんは言います。
しかし、悲観的なことだけではないともサラさんは教えてくださいました。
本来、モスクでは男性と女性で分かれて礼拝や食事をとります。それは家族であっても例外ではありません。
しかしコロナ禍でモスクで集まれなくなり、イフタールを各々の自宅で行うことになったことで、家族でイフタールを祝う時間をつくれるようになりました。
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本来、夜遅くあるいは明け方までモスクに残っていた父親が、子どもたちと自宅で一緒に礼拝をするなど、この状況であっても幸せに過ごしている家庭は少なくないそうです。
「この2年間、家族でラマダーンを楽しめたのが私にとって印象的でした」というサラさんの言葉が私の心に残りました。
ついつい「モスクが閉まるなんて、ムスリムにとって一大事なのではないか」と考えてしまいますが、実際には各々が努力し、この状況さえもプラスに変えていたのです。
ラマダーンについて学んで感じたこと
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「ラマダーン=断食=苦しい」と思ってしまいがちですが、ムスリムの方たちは望んで断食や善行をしているという話がとても印象的でした。
ただ「断食をしなさい。良い行いをしなさい」というのではなく、「この期間に欲を断ち善行をすれば、その分だけ徳が貯まりますよ」という、行為に対する報酬がいつも以上に神様からいただける1カ月間なのです。
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喉の渇きや空腹を体験することで、常に飢えで苦しんでいる人の気持ちを身をもって経験できるため、喜んでザカート(救貧税)やサダカといった寄付をするのだそう。誰も不満を抱かずにお金を払い、それが回っていくという、とても素敵なシステムだなと感じました。
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名古屋モスクでは見学を随時受け付けているとのことなので、興味がある人はぜひ足を運んでみてくださいね。
コロナ禍が明ければ、毎週土曜日の夕方からはイマーム(モスクでの指導者)が作るおいしい料理もいただけるそうなので、そこに合わせて見学に行くのもおすすめです。
また名古屋以外にも全国さまざまな場所にモスクがあり、イスラーム教徒でなくても見学を受け付けてくれるところが多くあります。
おすすめは東京都にある「東京ジャーミイ」。まるでトルコなどの中東地域に来たかのような雰囲気が味わえる上に、土日祝日の14:30からはガイド付きの見学があり、勉強になるだけでなく、海外気分も味わえて一石二鳥。一度訪れてみてはいかがでしょうか。
・名称:名古屋モスク
・住所:愛知県名古屋市中村区本陣通2丁目26-7
・地図:
・アクセス:地下鉄 東山線「本陣駅」から徒歩約6分
・電話番号:0524862380
・公式サイトURL:https://nagoyamosque.com