ライター
かわい まゆみ 絶景ハンター&トラベルライター

秘境絶景ひとり旅好きな絶景ハンター。国内47都道府県、世界89カ国、訪れたスポットは2000以上。フットワークの軽さと胃腸の丈夫さが自慢。マニアックな絶景スポットを発掘するのが好き。"ちょっと出かけたくなる"、そんなきっかけを作れるような情報発信を心がけています。

こんにちは、絶景ハンターのまゆみです。

照りつける太陽、うだる暑さ、満員電車にコンクリートジャングル……って、あぁもううんざり!といろいろ投げ出したくなるそんなあなたには、やはり夏でも涼しい北海道がおすすめ。

日本最北端の有人島である礼文島(れぶんとう)は、真夏の8月でも25℃を超えない、いやむしろ肌寒い日すら少なくない天然クールな気候がうれしいスポット。何より「花の浮島」の異名を持つ礼文島は、色とりどりのワイルドフラワーが咲き乱れ、花と海の絶景トレッキングが楽しめます。

暑さから逃れてクールにアウトドアを楽しみたいなら、ぜひこの夏、礼文島はいかが?

日本最北の離島・礼文島とは

Photo by Mayumi Kawai
日本最北の地・稚内市から西の海上へ約50キロメートル、サハリン(樺太)を北に望む日本最北端に位置するのが礼文島(れぶんとう)です。

全長約25キロメートル、幅約7キロメートルほどの縦長の島は、標高490メートルの礼文岳を中心に、西側は波風に侵食された断崖絶壁、東側は標高200~300メートルのなだらかな丘陵地帯が海岸線まで続き、東沿岸部に集落が集中しているのが特徴です。

Photo by Mayumi Kawai
礼文島の南海上に浮かぶのが利尻島(りしりとう)。礼文島の東側から南を望めば、たいていの場所から秀峰利尻富士の姿を拝むことができます。

礼文島と利尻島、呼び方もなんだか似ていて違いがよくわからない……なんて方も少なくないのでは?

一言でいえば、礼文島は起伏に富んだ地形と奇岩、草原、高山植物に恵まれた「花の浮島」。利尻島は富士山タイプのコニーデ式が美しい利尻山(標高1721メートル)を中心とした円錐形で島一周が楽しめる火山島です。

Photo by Mayumi Kawai
気候という点ではいずれも比較的冷涼で過ごしやすいですが、利尻島はどちらかというとガッツリ本格登山を楽しみたい方、礼文島はお花好きで手軽にトレッキングを楽しみたい方に向いています。

今回はクールな気候で高山植物と絶景トレッキングが楽しめる礼文島をクローズアップしてみました。

300種類以上の高山植物が咲き乱れる「花の浮島」

Photo by 公益社団法人北海道観光振興機構
日本の北限に位置し、年間を通じて冷涼な気候である礼文島は、通常なら標高2000メートル級の高地で見かける植物を海抜0メートルで見ることができるという、きわめてユニークな生態系を持っています。しかも礼文島固有種を含めその数、300種類にのぼるというから驚きです。

春から秋にかけて、咲き競うように高山植物のワイルドフラワーが島中を埋め尽くすことから、別名「花の浮島」と呼ばれています。

Photo by 公益社団法人北海道観光振興機構

高山植物の最盛期は初夏から夏の終わり(5月初旬~9月)といわれていますが、花の種類によって開花時期が微妙にズレているため、気になる高山植物がある場合は、訪れるタイミングに注意が必要です。

目当てにしていた高山植物が見頃を過ぎていた!なんてことにならないためにも、開花スケジュールのチェックはマストでしょう。

礼文町役場が運営するサイト「れぶん花図鑑」や「小野町長の花小部屋」が役に立ちますよ。

礼文島で人気の高山植物たち

多くの固有種や希少種の高山植物に恵まれた礼文島。ここでは、特に人気のある固有種をいくつか紹介しましょう。

レブンアツモリソウ

Photo by Mayumi Kawai

・花名:レブンアツモリソウ(礼文敦盛草)
・開花時期:5月下旬~6月中旬
・分布エリア:レブンアツモリソウ群生地

礼文島固有種として真っ先にあげられるのが、レブンアツモリソウ。抜群の人気を誇ります。

アツモリソウといえばワインレッドのラン科の植物というイメージですが、礼文島ではすずらんを大きくしたような淡いクリーム色をしています。

かつては島の至るところで見られたレブンアツモリソウですが、その希少性と美しさから盗掘が相次ぎ、数が激減。今では保護された群生地以外で見られることは稀になりました。

レブンアツモリソウは種の保存法により特定国内希少野生動植物種および北海道文化財に指定されています。

レブンウスユキソウ

Photo by 礼文町

・花名:レブンウスユキソウ(礼文薄雪草)
・開花時期:6月~7月下旬
・分布エリア:8時間コース、宇遠内(うえんない)コース、礼文林道コース、礼文滝コース、桃岩展望台コース ※コース詳細は「礼文島トレイルマップ」参照

レブンアツモリソウに次ぐ人気を誇るレブンウスユキソウ。

アルプスに咲く白く可憐なエーデルワイスと同じ仲間で、全体を覆う白い綿毛の姿を薄雪に見立てて「薄雪草」と名付けられました。礼文町の町花にもなっています。

レブンキンバイソウ

Photo by 礼文町

・花名:レブンキンバイソウ(礼文金梅草)
・開花時期:6月中旬~7月中旬
・分布エリア:桃岩展望台コース ※コース詳細は「礼文島トレイルマップ」参照

キンポウゲ科の植物で黄金色のかわいらしい花に見えますが、実は花びらに見えるものがガクで、雄しべに見えるものが花弁というちょっとトリッキーな植物。金色の梅に似ていることから「金梅草」と名付けられました。

花と海の絶景トレッキングを楽しもう

Photo by 公益社団法人北海道観光振興機構
礼文島で用意されているトレッキングコースは全部で7つ(所要時間は目安)。

岬めぐりコース

礼文島の三大岬「スコトン岬」「ゴロタ岬」「スカイ岬」とレブンアツモリソウ群生地を回るコース。全長12.4キロメートル、約5時間40分。

桃岩展望コース

島名物の桃岩を経由し、島内に咲く約8割もの高山植物が一堂に会するといわれる一番人気のコース。全長7.3キロメートル、約3時間40分。

礼文林道コース

レブンウスユキソウ群生地のある島南部を縦断するコース。全長8.2キロメートル、約3時間。

礼文岳コース

礼文島最高峰の礼文岳を登るコース。標高540メートルながら高山を登る雰囲気を味わえる。片道4.5キロメートルで登り約2時間半、下り約1時間半。

九種湖畔コース

日本最北の湖「九種湖(くしゅこ)」周辺の湿原をめぐるコース。春にはミズバショウが見られる。一周約4.2キロメートル、約1時間40分。

礼文滝コース

【難易度高】西海岸にある礼文島の秘境・礼文滝へ向かうコース。アップダウンが激しいが、レブンウスユキソウ群生地と通称「ハイジの丘」の花畑が楽しめる。往復10.6キロメートル、約5時間半。

8時間コース

【難易度高】西海岸を中心に島を縦断するコース。変化に富み、レブンアツモリソウほか高山植物をじっくり楽しめるルート。全長約16.5キロメートル、約6時間50分。

ご自身の体力や体調、時間的余裕などと相談しながら、お目当ての花や風景をカバーしたコースを選択しましょう。なお、途中ショートカットできるコースもあります。

※詳細は、「礼文島トレイルマップ」および「礼文島再発見NAVI」をご参照ください

Photo by 公益社団法人北海道観光振興機構
ちなみにこちらの「澄海岬(すかいみさき)」は、その名のとおり、空の青を落としたような澄み切った海の青と透明度の高さで、地元では「礼文ブルー」として親しまれ、島内随一の人気スポットです。岬一帯には高山植物が咲き乱れ、空と海と花々のコントラストが実にフォトジェニックです。

澄海岬は展望台入口まで車でアプローチ可能で、展望台までも階段を登ってすぐ。最高の眺めを楽しむために、礼文島を訪れたらぜひ立ち寄って欲しいスポットです。

夏は礼文島へ!稚内から日帰りもOK

「花の浮島」のシーズンを堪能するならやっぱり夏! 

何気ない道端から民家の庭先まで、海抜0メートル地点のあらゆるところに高山植物のワイルドフラワーが咲き乱れているなんて、そんな光景、なかなか見られないですよね。

Photo by Mayumi Kawai
稚内から礼文島までは、ハートランドフェリーで約2時間。6時半発の朝イチの便に乗れば、最終便(17時5分発)までおよそ8時間半ほど滞在できるので、弾丸日帰り旅もできちゃいます。

とはいえ本当のところは、できれば宿泊して、日中は花と海の絶景トレッキングにいそしみつつ、日が暮れたら礼文島唯一の温泉を楽しみながら海鮮豊富な島グルメに舌鼓を打ち、最後は満天の星空……なんて、最高に贅沢な北海道の楽しみ方をしたいですよね。

うだる暑さの本州から逃れて、ぜひ“クールでホット”な日本最北の礼文島へ遊びに行ってみませんか?

■詳細情報
・名称:礼文島
・住所:北海道礼文郡礼文町
・地図:
・アクセス:ハートランドフェリーで稚内港から約2時間。
・電話番号:0163-86-2655/0163-86-1196(礼文島観光案内所 ※香深フェリーターミナル内 4月~10月中旬)
・公式サイトURL:http://www.rebun-island.jp/
ライター
かわい まゆみ 絶景ハンター&トラベルライター

秘境絶景ひとり旅好きな絶景ハンター。国内47都道府県、世界89カ国、訪れたスポットは2000以上。フットワークの軽さと胃腸の丈夫さが自慢。マニアックな絶景スポットを発掘するのが好き。"ちょっと出かけたくなる"、そんなきっかけを作れるような情報発信を心がけています。

RELATED

関連記事