11:男はつらいよ 寅次郎物語
テキ屋稼業を生業とする「フーテンの寅」こと車寅次郎が、何かの拍子に故郷の葛飾柴又に戻ってきては、何かと大騒動を起こす人情喜劇シリーズ。毎回、旅先で出会った「マドンナ」に惚れつつも、失恋するか身を引くかして成就しない寅次郎の恋愛模様を、日本各地の美しい風景を背景に描く。
特別版をいれて全49作品とボリュームはありますが、日本人でしかも旅人とあらば、死ぬまでに見ておきたい作品といっても過言ではないでしょう。渥美清演じる寅さんの人柄にいつの間にか愛着が湧き、見守ってしまいたくなる作品。
監督は「家族」を描かせたら日本一の山田洋次監督。
12:ストレイト・ストーリー
アメリカ・アイオワ州ローレンスに住む73歳のガンコな老人アルヴィン・ストレイト。ある日、彼のもとに、76歳の兄が心臓発作で倒れたという知らせが入る。10年来仲違いをしていた兄に会うため、アルヴィンは周囲の反対を押し切り、たったひとりで時速8kmのトラクターに乗って旅に出ることを決意する。
シンプルかつゆったりとした展開に面白味が感じられない人も、もしかしたらいるかもしれない。けれどラストには一筋の涙がつたってきます。「最初の志は貫きたいんだ」と兄弟の元へひたむきに旅する彼の姿は、私たちに人生とは何かを力強く教えてくれます。
監督は「ブルーベルベット」のデヴィット・リンチ。日本版字幕は「ツイン・ピークス」の関美冬さん。
13:モーターサイクル・ダイアリーズ
医学生のエルネストは親友アルベルトとともに本でしか知らない南米大陸の縦断旅行に出る。それは、1台の中古バイクにまたがる金も計画も無い旅だった…。
若き日のチェ・ゲバラの南米旅行記をもとに、「ゲバラの映画なら」と許可を得てマチュピチュなどの観光地で撮影が行われた作品。旅を通して「自分にはやるべきことがある。」と新たな感情と出会い、チェ・ゲバラとして生きて行くまでの成長を追っています。
監督は「パリ、ジュテーム」のウォルター・サレス。日本版字幕は「マトリックス」三部作の林完治さん。
14:テルマ&ルイーズ
平凡な主婦のテルマとウェイトレスのルイーズは週末のドライブ旅行に出発する。しかしその途中、テルマが男に襲われるという事件が。あわやレイプというところで、助けに入ったルイーズが男を拳銃で射殺。ふたりの女性たちは逃避行を続けながら、人生を謳歌していく。
いうなれば女性が不当な扱いを受けた当時のアメリカ社会、そして男たちへの反撃をテーマにした映画ともいえます。逃避行の先に女としての自由とプライドを手に入れ、強く生きて行く女性の孤高さを私たちに見せつけてくれます。
監督は「ブレードランナー」のリドリー・スコット。日本版字幕は戸田奈津子さん。
15:家族
長崎の伊王島。貧しいこの島に生まれた民子と精一が結婚して10年の歳月が流れていた。小さな島で家族5人を養っていくことに限界を感じた精一は、自分の会社が潰れたのを機に、友人が勧めてくれた北海道の開拓村への移住を決心するのだった…。
よかれと思ったことが裏目に出てしまう。そんな人生うまくいかないよ、というメッセージを面白おかしく掛け合いで魅せてくれるのが山田洋次監督作品の味であり、本作は少し重い内容も含みつつ、大阪万博や高度経済成長時の街の景色を懐かしく蘇らせてくれます。
監督は「男はつらいよ 寅次郎物語」同様、山田洋次監督。
16:魔女の宅急便
古くからのしきたりに従い、修行の旅に出ることになった13才の魔女、キキ。黒猫ジジとともに港町にたどりついたキキは、パン屋のおソノに気に入られ、店の手伝いをしながら配達屋を始めることにするが…。
魔女見習いのキキが一人見知らぬ街に降り立つシーンはドキドキとワクワクに溢れ、舞台となったドゥブロヴニクの街並も美しいです。トンボとの恋愛模様や、スランプ状態からたくましく成長する姿に勇気づけられる人も多いはず。
監督はジブリ作品でお馴染みの宮崎駿監督。
17:恋人までの距離(ディスタンス)/ビフォア・サンライズ
列車の中で出会ったアメリカ人青年ジェシーとフランス人女性セリーヌ。意気投合した彼らはウィーンで途中下車し、14時間だけという約束で一緒に過ごすことにするが…。リチャード・リンクレイター監督が贈る、極上のラブ・ストーリー。
ビフォア・サンライズ、サンセット、ミッドナイトの三部作で、作品とともに実際に歳を重ねてから撮影をし、旅先での出会いから再会、そして結婚後の夫婦を描いたラブストーリー。
会話のみで繰り広げられる哲学的なやりとりに男女の面白味がすべて詰まっています。電話の真似事でお互いの印象を告白するシーンがロマンチック。
監督は「スクール・オブ・ロック」のリチャード・リンクレイター。日本版字幕は松浦美奈さん。
18:奇跡の2000マイル
思い通りにいかない人生に変化を求め、ひとり都会から砂埃が舞うオーストラリア中央部の町アリス・スプリングスにやってきた女性ロビン。彼女がこの土地に訪れた目的は、砂漠地帯を踏破しインド洋を目指す旅に出ることだった。
ロビン・デヴィッドソンの実話を基にした女一人とラクダ3頭、愛犬との砂漠横断旅。旅を通じて感じた孤独や成長をミア・ワシコウスカが華やかに、そしてたくましく演じています。エンドロールで流れる実際の写真は、鳥肌がたってしまうほど。
監督は「キラー・インサイド・ミー」のジョン・カラン。日本版字幕は「ミラル」の渡邉貴子さん。
19:しあわせのパン
りえと尚の水縞夫妻は東京から北海道・月浦に移住し、パンカフェ「マーニ」を開く。尚がパンを焼き、りえがそれに合ったコーヒーと料理を出すマーニには、北海道から出ることができない青年や口のきけない少女とその父親、思い出の地を再訪した老夫婦などさまざまな人々がやってくる。
悩み事を抱えた人々に捧げるりえの料理と尚のパンが温かく、人と人の繋がりと夫婦の愛情を感じられる作品。仲間と食べるカンパーニュを作りたい、そして北海道に住みたいと思わせてくれるノマドライフ映画の決定版。
監督は「ぶどうのなみだ」「繕い裁つ人」の三島由紀子監督。
20:マリーゴールド・ホテルで会いましょう
「マリーゴールド・ホテルで、穏やかで心地良い日々を-」という宣伝に魅力を感じ、イギリスからインドに移住してきたシニア世代の男女7人。夫を亡くしたイヴリンをはじめ、それぞれに事情を抱える彼らを待ち受けていたのは、おんぼろホテルと異文化の洗礼だった…。
恋や仕事などの新たな挑戦に年齢なんて関係ない、と思わせてくれるパワフルで明るい気持ちになれる一本。インドのポジティブな面、色味や笑顔、匂いまで感じられるような映像が素晴らしく美しい作品です。
監督は「恋におちたシェイクスピア」のジョン・マッデン。日本版字幕は「戦場でワルツを」の杉山緑さん。