「ロスリン礼拝堂」という、スコットランド・エディンバラの小さい礼拝堂の名前を聞いたことがありますか?2003年にダン・ブラウン原作の「Da Vinci Code(ダ・ヴィンチ・コード)」が出版され、また2006年に映画化されたことで、この礼拝堂は一躍有名になりました。
まだ読んでない、観ていない人もいるかと思いますので、詳しく書いてしまうとネタバレになってしまいますが、この礼拝堂は作品の中で大きな役割を果たしています。
初めてこの作品を読み、映画を観た当時高校生だった私は、謎に満ちた面白すぎる逸話や建造物にすっかり魅了され、ここは死ぬまでに絶対に行く場所!と心に決めておりました。
エディンバラ市内からの行き方
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エディンバラ市内からロスリン礼拝堂へはバスで一本で行くことができます。約40分ほどかかります。駅の近くにある観光案内所で「ロスリン礼拝堂」へ行きたいと伝えれば、時刻表と詳しいバス停の場所を教えてくれます。バス停もほぼ一箇所に集まっているので見つけやすいです。
ヨーロッパのバスは日本のように停留所をアナウンスはしてくれません。そのため、乗車時に運転手さんに「ロスリン礼拝堂で降りたいから、近づいたら教えて欲しい」と伝えておきましょう。運転席の近くに座っているとちゃんと教えてくれます。
住宅街を通り、さらに大型のショッピングセンターを通ったりとで、本当にこの先に礼拝堂があるのか心配になりますがちゃんと乗り換え無しで着きます。
私は昔イギリスのバスでやらかしたことがあるため、バスが非常に苦手でした。ずっとGoogle Mapを見ながら乗っていましたが、目的地に近づいてくると急に雰囲気が変わり、ROSSLYNと書かれた小さなホテルがたくさん出てきます。
バス停を降り、まっすぐ行くと「ROSSLYN CHAPEL(ロスリン礼拝堂)」と案内が出ます。
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この奥に進むと、ロスリン礼拝堂のビジターセンターが見えてきます。こちらが入り口です。
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謎に満ちた礼拝堂の歴史、これでもかっていう彫刻達
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礼拝堂の敷地に入ると目の前に、すごく大きいというわけではないけれども、見事なゴシック調の礼拝堂が現れます。
外壁の細かく繊細な彫刻に思わずため息が出てしまいましたが、驚くのはこれから。礼拝堂内の彫刻は外壁以上に「これでもか!」というレベルで細かく、あまりの見事さに文字通り「息を飲んで」しまったほど。
天井にも施された花と星の彫刻を見上げすぎて、後ろに思わず倒れてしまいそうになりました。(首も痛い…)
ロスリン礼拝堂の歴史と不思議な彫刻
ロスリン礼拝堂は1446年、バイキング時代から始まるスコットランドの由緒正しいセント・クレア家(新クレア家)のウィリアムにより私用の礼拝堂として建設されました。
何度も書いていますが礼拝堂内部の彫刻は非常に見事であり、キリストの磔刑、聖書の7つの原罪、7つの美徳、生き生きとした自然を表す草花(アロエ、シダ、ケールなど)が彫られ、また天井は星、ヒナギク、ユリ、バラなど異なる花々の彫刻が施されています。
(内部は撮影禁止、外壁にも花の彫刻が施されています)
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また一部窓の上にはトウモロコシの彫刻が施されています。勘が良い人は気がついたでしょうか?トウモロコシの起源は北アメリカで、伝統的にはコロンブスが北アメリカを発見した1492年以降伝わったとされています。
思い出してください、この礼拝堂が建設されたのは1446年。コロンブスが北アメリカに到着する50年前に建設されたのです。
その謎はロスリン礼拝堂の創設者のセント・クレア家の歴史に深いつながりがあります。セント・クレア家は十字軍の一つ、テンプル騎士団と関係があり、何とテンプル騎士団はコロンブスよりも100年近く前に北アメリカに到達していたという説があるのです。
礼拝堂創始者のウィリアムの祖父にあたるヘンリーも当時の騎士団の一員であり、北アメリカに航海した一人であったため礼拝堂にトウモロコシが彫られているとされています。歴史が覆される証拠となるでしょうか…?
興味深い彫刻はトウモロコシだけではありません。礼拝堂内には中世に大流行した黒死病を表したもの、1400年代中頃にスコットランドに伝わるとされるバグパイプを奏でる天使、縄で縛られ逆さに吊るされた堕天使の彫刻などもありました。
自分の中の「礼拝堂」というイメージをことごとく覆されてしまいます。
血塗られた二本の石柱
そしてひときわ目立つ二本の石柱もかなり曰く付きです。礼拝堂の彫刻師範が留守の間に、弟子が師範の石柱よりも美しい石柱を彫ってしまったために、師範は嫉妬して弟子を木槌で討ち殺してしまったのです。
神聖な建物の割には生臭い話ですが、この礼拝堂をよりミステリアスにしている要因の一つです。