学生時代、よくLCC(Low-cost carrierの略)を使って旅をした。夜空を覆う満点のランタンを追って、テレビの中で見かけたマーライオン、3000年の信仰の丘パルテノン神殿。
LCCを使えば、学生の自分にとってもテレビやメディアの中でしか見たことのなかった世界までローコストで旅することができた。
(左)TABIPPO 池田(右)スクート 比留間さん
そんなLCCが”格安航空会社”として日本では訳されてしまい、若年層の旅行離れが進む今、私たちにできることは何なのか。「LCCの未来と若年層の旅」について、スクート日本支社長の比留間 盛夫さんへのインタビューと共に考えていきます。
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LCCで気軽に飛行機を使って旅ができる世界を
池田:LCCで働くきっかけと、比留間さんのこれまでの略歴を教えてください。
比留間:昔からエアラインに関わることをしてみたいと思っていました。子どもの頃から飛行機や旅行が好きで、学生時代には海外留学を経験したんです。留学をしていた頃、休暇のときには頻繁にLCC(格安航空会社)を利用していたのですが、2000年代前半の日本にはまだLCCがない時代でした。バスや電車のような感覚で飛行機に乗れるLCCは本当に衝撃的でしたね……。
その経験から「気軽に飛行機を使って旅ができる世界が日本にもっと広がればいいな。もっと日本の中での息抜きの仕方みたいなものが上手くなればいいな」って思ったんです。それが僕がLCCで働くことを決めた大きな理由です。
提供:scoot
2010年にエバー航空に入社してからは販売促進や営業活動を経験し、2014年にはエアアジアXに入社しました。その後、エアアジア・ジャパンが立ち上がり、チームの集約に伴い移籍してからは日本地区営業責任者として販売チャネルの開拓を担ってました。
2019年5月のタイミングで縁あってスクートへやってきました。
安全で信頼性の高い、楽しい空の旅を届け続ける「スクート」
池田:スクートについてモットーや路線、取り組みについて教えてください。
提供:scoot
比留間:スクートは、「安全で信頼性の高い、楽しい空の旅を届けよう!」というモットーを持つ航空会社で、2012年の就航以来、シンガポールのLCCとして着実にネットワークを広げてきました。
今では、シンガポール航空グループの一員として、成田=シンガポール(週7便)、成田=台北=シンガポール(週12便)、関西=シンガポール(週7便)、新千歳=台北=シンガポール(週4便)の計4路線、週30便で日本に乗り入れています。
スクートの日本路線はシンガポール直行便のほかに台北経由の便があります。経由便の乗客は台北が最終目的地の人が多く、シンガポールへ向かう人はやはり直行便を好む傾向がありますね。
コロナ禍以降、スクートはシンガポール航空とのクロスセールス(双方の販売網で、もう一方の会社のチケットを販売すること)に積極的に取り組んでいます。シンガポール航空のお客様がスクート運航便へ乗り継ぐことができます。グループ全体のネットワークを利用することで接続性を強化し、よりシームレスな旅を提供していきたいと考えております。
さまざまな工夫によって実現する“ローコスト”
池田:LCCのイメージを覆すために取り組まれていることは?
比留間:僕が学生時代だった頃のLCCには「狭かろう、安かろう、悪かろう」といった先入観があった気がしていて。特に、日本だとLCCは”格安”航空会社って訳されるんですが、それがこういったLCCに対しての固定概念をいまだに根深くさせているのかなって思うんです。
そういった「格安=劣る」といったLCCそのもののイメージを覆したいと考えています。LCCって、悪いから安いのではなくて、運航側がさまざまな工夫をしているからこそお手頃な運賃が実現している”ローコスト”なキャリアなんだぞ、と伝えていきたいですね。