最近、よく耳にする「SDGs(エスディージーズ)」という言葉。「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略で、貧困や気候変動など、世界が抱えるあらゆる問題を解決し、持続可能な社会をつくるためのビジョンのことをいいます。

そんなゴールが世界各国で掲げられている今、私たちにできることは何なのか。「SDGs」について、TABIPPOは考えます。

MINMIが語る、母としての教育論

MINMI
大阪府出身のシンガーソングライター。幼少からピアノを弾き始め、1996年ごろから大阪のレゲエやHIPHOPのクラブで歌い始める。2002年8月に1stシングル『The Perfect Vision』が売り上げ50万枚という快挙を達成。自身が主催する大型野外フェス「FREEDOM」は人気の夏の野外フェスの一つとなっている。歌手活動だけでなく新時代を切りひらく女性として、幅広い世代から支持されており、ファッションや発信するメッセージも多くの女性に影響を与えている。環境省が立ち上げた「つなげよう、支えよう森里川海アンバサダー」に任命された。Instagrm:@minmidesuTwitter:@minmidesu 公式ブログ:ameblo.jp/masterbeau/

現在、生活の拠点をアメリカに置いているシンガーソングライターのMINMIさん。3児の母でもある彼女は、SNSで子育ての様子や悩みを頻繁に、そして赤裸々に発信されています。

今回は、MINMIさんに、母として感じている「これからの教育」のお話を伺いました。世界規模で考える「SDGs」視点での教育の大切さについても語っていただいので、ぜひご覧ください。

ーーMINMIさんは「SDGs」の中でも、特に関心がある分野として「教育」を挙げられました。なぜですか。

私は今、11歳、9歳、7歳(取材当時)の子どもを3人育てています。だから、自分自身が日々「教育」についてのことを、色々と考えていると思います。

また一方で、世間で虐待やいじめのニュースが絶えませんよね。子どもの教育の問題だけではなくて、親自身も心がうまく育っていない部分があるから、悲しいニュースがなくならないのかなとも思っています。

みんなが質の高い教育を受けられることで、世の中はガラリと変わると思うんです。その中でもやっぱり私は自国・日本の教育の質を高めてほしいと願っています。

今の子どもたちはもちろんだけれど、今の子どもたちが親になった時に、未来の子どもたちにたくさんの愛情や可能性をあげられる大人になってほしいので、そのための教育があるといいなと思っています。

ーー今の日本の教育に感じる不満はどのような部分ですか。

大人になる準備の教育が少ないことですかね。たとえば、私自身、出産を3度経験しましたけど、考えてみれば、出産の仕方なんて誰にも教わらなかった。

あとは、経済のこともそうです! 海外の事例を見ていると、世の中の経済がどういう仕組みでまわっていて、自分の国はどういうシステムで、その中で自分はどういう立ち位置なのかを語れる若者が多いように感じます。

でも、経済を学んでいたり、金融機関で働いていたりする人たちを除いて、日本人の一般的な経済の知識レベルは低くて、だからこそ、国全体のエコノミーが弱くなってしまっている部分があるのではないかなと思っています。

私からすると、日本人はすごく勤勉で賢くて働き者。一生懸命働いて、心の込もったお仕事をしているのに、全体のエコノミーが弱くなっているから、たくさん労働をしても十分なお金を得ることができないし、休みも取れない。

一方で、海外はエコノミーがよく回っているから、たくさん休みを取ったり家族サービスをして、団らんの時間まで生み出せていますよね。その違いに、切なさを感じてしまいます。

だって、海外では、お父さんが子どもを学校に迎えに来たりするんですよ。日本はやっと育児休暇が話題になるぐらいなのに…。

私は、日本人それぞれに経済の知識がもう少しあったら、経済をうまく回せるし、結果的にそういう家族との団らんの時間をみんなが取ることができるのかなぁと考えていて。

だから、そういう大人になって生きていくための教育を、子どもにはたくさん与えてあげたいですよね。

ーーお子さんとは教育のお話をされたりするのですか。

しますね。「子どもだから分からないだろう」と最初から思い込むのではなくて、聞かれたことは大人目線で話すことが多いです。そのせいか、私の仕事のことに関して、子どもたちがアイデアをくれたりするんですよ。

たとえば、私は料理が好きなんですけど、「ママのコンサートで、ママのレシピを使ったフードを料理長が作って売るのはどう? ママはそれでお金を儲けて、お客さんはそれでハッピーになって、すごくいいと思うんだけど!」というアイデアを出してくれたり(笑)。かわいいですよね。

ーーMINMIさんはアメリカを拠点に生活されていますよね。海外生活の中でも、旅の中でも、他の国で経験したことをもとに、読者へのメッセージをお願いします。

海外で生活をしたり、たくさん旅をしたりして、自分の常識がすべてではないこと、自分の視野が狭かったということに気がつきました。

そして、同時に色々なことに無関心で生きていたなぁということも、海外に出て知りました。だから、旅に出る価値はあると思います。

それと同時に、いまはネットが発達して、すごく恵まれている時代でもあります。子どもだけでなく、大人も含めて、頭の中でもグローバルに旅はできるなと思っています。

どうか、日本の常識の中だけではなくて、たくさん世界のことを知って、新しい扉をどんどん開いていただきたいなと思います。

***

MINMIさんがいまの日本の教育に感じていた「大人になる準備の教育の少なさ」。インタビューを通じて、たしかに大人になるまで知らなかった大切なことがたくさんあるなと思いました。

出産や妊娠こと、お金や経済のこと、そして政治や環境のことなど、大人になる上で本当に必要なことをきちんと教わってきたでしょうか。

また、それらをきちんと学ぼうとしてきたでしょうか。恐らく多くの人が「NO」という現状がある気がしています。

MINMIさんは、今の子どもたちはもちろん、その先の未来の子どもたちのことまで考えていらっしゃいました。今からでも遅くはないはずです。

この国をこの世界を、どうデザインしていきたいのか。どこにでも旅ができる時代、そして、インターネットが普及している時代だからこそ、模索していきたいと改めて思いました。

All photo by Kazuna Hanada

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SDGsを漫画で学ぶ

ライター
五月女 菜穂 ライター/株式会社kimama代表取締役

1988年、東京都生まれ。横浜市在住。1児の母。 大学卒業後、朝日新聞社に入社。新聞記者として幅広く取材経験を積む。2016年に独立し、ウェブや紙問わず、取材・執筆・編集・撮影を行う。22年4月、合同会社アットワールドを起業し、旅好きのフリーランスが集まるコミュニティ「@world」を運営。23年5月、編集プロダクションの株式会社kimamaを創業。世界一周経験者で、渡航歴は45カ国超。

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