トラムンタナ山脈の文化的景観
トラムンタナ山脈は、年間300日以上晴天という「地中海の楽園」の別名をもったマヨルカ島の3分の1の面積を占めている山脈です。
元々切り立った岩山だったた所に、農民たちが棚田を築き上げ、水を行き渡らせるために用水路を建築し、現在は様々な種類の農作物が収穫されています。農民たちが知恵を絞って作り上げたこの景観が評価され、2011年に世界遺産に登録されました。
カーセレスの旧市街
かつては荒れ果てた大地で、スペインで最も貧しい地方であったエクストレマドゥーラ州にあるカセレスは、新大陸との交易によって持ち込まれた金銀を運ぶ「銀の道」の中継点として栄えてきました。
新大陸に渡った人々の多くはカセレスの出身者だったため、故郷に戻ってきた人々が金銀を財源として豪邸を築き、その景観が今に残っています。
サンタ・マリア・デ・グアダルーペ王立修道院
14世紀に聖ルカが彫ったと言われる伝説の聖母像が発見されたのが、スペイン西部の山間部に位置するグアダルーペでした。
全スペインの守護聖母とされるこの像を祀るため、国王が建てたのがサンタマリア・デ・グアダルーペ王立修道院です。壮麗なゴシック様式で建築された修道院は「スペインのバチカン」と呼ばれ、今も多くの巡礼者が訪れています。
ラス・メドゥラス
約2000年前に、ローマ帝国の人々による砂金発掘によって造られた、なだらかな地形の中で一部だけ赤茶色の土がむき出しになっている異様な奇岩群。
ローマ帝国の財源となっていた金を掘り出すために、大量の水の力で山を破壊して中の砂金を掘り出していました。巨大な奇岩を生み出すほどの彼らの知恵を使った採掘方法が注目され、1997年より世界遺産に登録されています。
イビサ、生物多様性と文化
イビサ島の美しい海には250種類を越える生物が生息し、ビーチの美しさから世界中からの観光客を集めていますが、それと共に、はるか3000年前の古代文明の遺跡が残る島でもあります。
フェニキア人によって地中海貿易の拠点となったイビサ島。ここでの貿易をスムーズにするために生まれたのが現在でも必要不可欠であるアルファベットです。
ボイ渓谷のカタルーニャ風ロマネスク様式教会群
銀の産地として知られるようになってから多くの人々が移り住み、栄えるようになったバル・デ・ボイには多数のロマネスク様式教会群があります。
その中の9つが2000年に世界文化遺産として登録されました。サンタ・マリア聖堂のみが無料で中を見ることができます。宿泊施設もあるため、世界中からたくさんの観光客が集まっています。
テイデ国立公園
大西洋に浮かぶカナリア諸島のうちのひとつ、テネリフェ島には太平洋で最も高い標高3718mのテイデ山が聳えたっています。
休火山であるテイデ山を中心とした国立公園は18900ヘクタールという広大な敷地面積を持ち、「テイデエニシダ」を代表とする珍しい固有植物がたくさん育っています。2007年に世界自然遺産に登録されました。
ポブレー修道院
12世紀半ば、それまで支配を受けていたイスラム勢力との戦いに勝利した記念にポブレー修道院は建設されました。
建設後はフランスのシトー会の修道士達が管理をしており、14世紀には200人にもなりましたが現在も30人ほどの修道士達が暮らしています。修道院の聖堂は14世紀にアラゴン国王の墓と定められ、8人の王と6人の妃が眠っています。
イベリア半島の地中海入り江のロック・アート
レバント地方には、紀元前8千年から3千年頃の間に描かれたものとされる先史時代の壁画が残されており、地中海を中心におよそ800箇所も発見されました。
ほとんどが岩壁に描かれており、狩猟や蜜の採取などの人間の生活の様子、動物や昆虫などが、黒・赤・黄色などの色で描かれています。先史時代の生活を紐解く貴重な遺跡として、世界文化遺産に登録されました。
エルチェの椰子園
8世紀に、イベリア半島を支配していたイスラム教徒により、不毛な土地はナツメヤシで囲まれた農地に生まれ変わり、中ではザクロ、オリーブ、レモンなどが栽培されていました。
12世紀以降、キリスト教徒の支配となってからもこのヤシ園は守られ、ヨーロッパで最大規模のヤシ園となりました。二つの宗教が刻んできた歴史を残すエルチェのヤシ園は2000年、世界遺産に登録されました。