瀬戸内海の風景
ライター

平日はオフィスワーカー、休日は旅人として、二足のわらじ生活を満喫中の24歳。旅をきっかけに、写真展や雑誌の作成も行っている。 転機は、高校1年生の春に訪れたオーストラリア。自分らしい後悔のない選択を意識するように。旅先では、珈琲 / 建築 / アート を必ずチェックしてしまう!♡

「曲がり角の先に、何があるか分からないワクワク感。」

そんな旅を楽しめる、3年に1度の祭典が今年もやってくる。

瀬戸内の島々を舞台に開催される現代アートの祭典:瀬戸内芸術祭をご存知だろうか。約100日間の会期は、春・夏・秋の3シーズンに分かれていて、期間中は約100万人の人々が国内外から訪れる日本を代表する国際的な芸術祭である。

有名なアート作品を目指して歩いていたはずなのに、道端にふと現れるカラフルなオブジェに足を止めたり、古民家の軒先に小さなアート作品が飾られているのを見つけたり。

予定通りに進める旅ではない。むしろ、島のゆったりとした時間の中で、「迷いながら見つける」ことこそが、この旅の醍醐味なのだ!

瀬戸内国際芸術祭とは?“偶然の出会い”が生まれる島旅

瀬戸内国際芸術祭引用元:https://setouchi-artfest.jp/
瀬戸内国際芸術祭は、3年に1度、瀬戸内海の島々を含めた全17のエリアで開催される現代アートの祭典。日本国内だけでなく、世界中のアーティストが手がけた作品が、島の風景と一体となって展示される。

舞台となるのは、香川県や岡山県の12の島と2つの港町。アート作品は、屋外に点在していたり、古民家や学校を改装した空間に展示されていたりと、島の風景に溶け込むように存在しているのが特徴だ。

開催は春・夏・秋の3シーズン。今年の会期は、下記の通り。

■春会期
4月18日(金)〜5月25日(日)
■夏会期
8月1日(金)〜8月31日(日)
■秋会期
10月3日(金)〜11月9日(日)

https://setouchi-artfest.jp/

思わぬ場所で印象に残るアートに出会えたり、予定もしていなかったことに時間を使ってみたり。

いつもと一味違った旅ができるのが、瀬戸内国際芸術祭の魅力のひとつだったりする。

どうやって行くの?予約は必要なの?

瀬戸内国際芸術祭アクセス引用元:https://setouchi-artfest.jp/access/app/

じつはアクセスも思ったより簡単!

慣れないところで慣れない交通手段を使うのは、勇気がいるかもしれないが、1泊2日でも楽しめるのが瀬戸内の良いところ!

瀬戸内国際芸術祭チケット引用元:https://setouchi-artfest.jp/buy/passport/
島々へのフェリーは基本的に、①高松港(香川県)②宇野港(岡山県)③児島港(岡山県)から出ている。

そのため、飛行機で行く場合は、高松空港からバスで高松港へ。新幹線で行く場合は、岡山駅から電車で宇野港へ出るのがベスト。

作品の鑑賞には、「オールシーズンパスポート」か「1シーズンパスポート」が必要なので、事前にアプリから購入しておくことをおすすめする。

【直島にて】アートが分からなくたって大丈夫!

直島Photo by Mari Takeda
初めて訪れた3年前の夏、「俺、全くアートとか分からない」と言っていた友達を連れて直島へ向かった。

フェリーで40分ほどのところにある直島に降り立ち、まずは瀬戸内国際芸術祭のアプリを広げる。島の地図上にアートスポットが点在しており、その箇所を目指しながらスタンプを貯めていく、ちょっとした冒険ゲームのような仕組みだ。

まず目指したのは北側のエリア。直島は徒歩で移動するには少し広いのでレンタルサイクルで移動するのが良いと、フェリーで出会った常連さんが教えてくれた。

自転車で島散策Photo by Kazuma Fukushima
道端に突如現れる巨大なゴミ箱の像や、古民家を丸ごとアート施設にした建物と出会うたびに驚かされながら、とあるアートスポットにたどり着いた。

真っ暗な部屋の中にあるのは、5畳ほどある水の貼られたスペースと、その水中に設置された小さな電光板だけ。

無数にあるその小さな電光板上で色も動くスピードもまちまちの数字が、1〜9の順番でカウントしていた。

現在アート作品Photo by Mari Takeda
私たちは、横一列でその数字を眺めながらポツリポツリと思ったことを言い合った。

「渋谷のスクランブル交差点みたい。大勢が様々なスピードで歩いてるみたい。」
「1〜9の数字だから、野球かと思った。」
「全部の数字が揃うことってあるのかな?って考えてた」

同じものを見ていても感じることはみんなバラバラ。だけど、自分1人じゃ気づかない視点に驚いたり、面白がったりしているのは、みんな共通の感覚だった。

瀬戸内国際芸術祭のアートには、説明文がない事が多い。それは、あえて想像力を掻き立てる戦略的な「無」なのかもしれない。

【女木島にて】また会いたい、陽気なおじちゃんスタッフ

高松港から最も近くに位置する場所に女木島はある。

直島と違い、徒歩2時間くらいで巡れる規模のこの島には、こじんまりとした小さなビーチと、陽気なおじちゃんスタッフがいた。

海の目の前に建つ大きな2階建ての施設では、「女木島名店街」と名づけて島で使われていた物品や小道具を少しアレンジしたアート作品が置かれていた。

(注:2022年時の作品であり、25年も同じ展示がされているとは限りません。)

現代アートPhoto by Kazuma Fukushima
1階のフリースペースには多角形の不思議な卓球台があったので、友達と遊んでいるとスタッフらしきおじさんが話しかけてきた。

「君たちも22年のハンドブックの方になりきって写真を撮ってみない?」

22年のイメージ写真に起用されているおばあちゃんが着用しているサングラスと同じものがあるから、それを着けたいか?という事らしかった。せっかくのお誘いなので撮ってもらうことに。

サングラスショットPhoto by Mari Takeda
カメラロールを見ると、同じ角度から何枚も写真を撮ってくれていた。

なかにはブレた写真もあったけれど、それすらも楽しんでいる様子が伝わってきた。

瀬戸内国際芸術祭は、「こえび隊」と呼ばれる数百人のスタッフに支えられて運営されている。そのうちの多くは、瀬戸内周辺に住む地域の方々が任意で参加しているらしい。

3年経っても思い出せるほど、ポジティブで明るいおじちゃんは、今年も女木島でスタッフをしてくれているのだろうか?

また今年も会いたいな。

日の入りとともにフェリーで帰路へ

瀬戸内海の風景Photo by Mari Takeda
どこの島もフェリーの最終便は17時前後。

夕日が船内全体を赤く染め上げている。

フェリーの窓から島の景色を眺めていたら、普段なら気に留めない空のグラデーションや鳥の形が気になるようになっていた。

きっと今年も、いつもの旅とは違う“素敵な偶然”が待っている。

■詳細情報
・名称:瀬戸内国際芸術祭
・エリア:瀬戸内海の11の島と6つのエリア
・アクセス:「児島港」「宇野港」→ 岡山駅から電車か車で1時間、「高松港」→ 高松空港からバスで1時間
・開催日程:春会期【4月18日(金)〜5月25日(日)】・夏会期【8月1日(金)〜8月31日(日)】・秋会期【10月3日(金)〜11月9日(日)】
・公式サイトURL:https://setouchi-artfest.jp/ 
ライター

平日はオフィスワーカー、休日は旅人として、二足のわらじ生活を満喫中の24歳。旅をきっかけに、写真展や雑誌の作成も行っている。 転機は、高校1年生の春に訪れたオーストラリア。自分らしい後悔のない選択を意識するように。旅先では、珈琲 / 建築 / アート を必ずチェックしてしまう!♡

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