ライター

ローカルな街並みや文化が大好きな、兵庫県出身の25歳。ベンチャー企業の法務担当として勤務する傍ら、休日は機会を見つけて地方を旅している。熱意の応援者として、ともに刺激を受け与える関係でありたい。最近は地域の魅力を伝えるツアーづくりに取り組む。秋のフルマラソンに向けても奮闘中。

大学2年生のゴールデンウィーク。海外旅行や国内の有名テーマパークに行く友人を横目に、僕は1人、縁もゆかりもない「島」へ向かう船に乗っていた。

目的地は島根県の離島「隠岐諸島」の1つ、中ノ島(海士町)。大学時代を過ごした京都からの所要時間は約21時間だった。夜行バスと汽車とフェリーを乗り継ぎ「行くだけで1日が終わってしまう」という旅は過去、経験したことがなかった。

きっかけはほんの少しの興味だった。ほんの少しの勇気をもって一歩踏み出した。

しかし、ここで過ごした「10日間」の何気ない日々が、僕のその後の旅の方向性を大きく変えることになる。

「暮らすような旅」の原点となる経験は、僕にとって忘れられない旅の1つだ。

海士町への誘い

海士町(あまちょう)との出会いは、大学時代に履修していた授業だった。地域政策系を専攻していた僕は、「まちづくり」「地域活性化」を学ぶ授業を進んで履修していた。その授業の中で、「人口がV字回復」「高校魅力化で生徒数が増加」という、いわば「注目事例」の1つとして取り上げられていたのがこの海士町だった。

人口2,200人前後の小さなまち。何が人を惹きつけるのか。気になって調べれば調べるほど、どことなく自分の中の「行ってみたい!」という感情が強く反応してくる。

実際に自分も足を運び、その土地の風や空気、雰囲気を感じてみたい。ただ、そうはいっても今の自分には縁もゆかりもない。「観光」の滞在もよいが、観光だけで知ることができる情報には限りがある。

せっかくなら、地域の方と関わりながら、生活感のある旅、「暮らすような旅」がしてみたい。調べてみると、総務省主催「ふるさとワーキングホリデー」の制度を知った。

期間中に地域で働くことで収入を得ることができるとともに、休日は自由な休暇を過ごすことができる制度です。地域住民との交流(イベント)や学びの場(地域勉強会)を通じて、旅行では味わえない地域の実際の生活を体験できます。都市部の若者が抱く「地域づくりへの参加がしたい」「地域との交流を深めたい」といった社会・地域貢献への想いや、移住などを考える社会人の想いと、地域の人々の「地域の魅力を伝えたい」「交流人口を増やして地域経済を活性化したい」「多くの人に定住してほしい」というふたつの想いを結ぶのが「ふるさとワーキングホリデー」という制度です。
ふるさとワーキングホリデーのHPより抜粋

この取り組みは全国で行われており、海士町も受け入れ先の1つだった(当時)。

「離島ワーホリ―離島の暮らしへ、旅をする―」全国の受け入れ先が集まる「合同説明会」のようなイベントで掲げられた海士町のブース。このテーマに惹かれ、また実際に担当者の方から伺った取り組みにも惹かれ、たまたま予定が空いていたゴールデンウィークの期間に、9泊10日の旅をすることに決めた。

いざ、海士町へ

隠岐諸島は、その立地から大きく2つの地域に分かれている。

隠岐の島町がある「島後」、そして、海士町、西ノ島町、知夫村という3島3地域から成る「島前」だ。

隠岐の島町には空港があり、大阪(伊丹)空港、出雲空港よりそれぞれ飛行機が就航している。一方で島前3島には飛行場がないため、基本的にはフェリーまたは高速船を用いた移動となる。

「ゲゲゲの鬼太郎」で有名な島根県境港市。「水木しげるロード」を横目に進むと、フェリーが就航する境港フェリーターミナルに到着する。ちなみにフェリーや高速船によっては同じ島根県でも異なる場所にある「七類港」から出発するものが多いため、隠岐に行く際には注意したい。

フェリーに乗り、いざ海士町へ!
フェリーに揺られること2時間半。見えてきたのは海士町、ではなく、別府港、西ノ島町だ。このフェリーは海士町の港・菱浦港へは行かないため、島と島を結ぶ「内航船」に乗り換える必要がある。フェリーに比べればかなり小ぶりなこの船は、所要時間は10分程度、300円で乗れる。気軽な交通手段であり「島のタクシー」のような存在に感じた。

長旅を経て、ついに海士町・菱浦港へ上陸。港まで迎えに来て頂いた受け入れ先の方や今回のプログラムの「同期」の大学生2名と合流し、宿泊先であるシェアハウスへと向かった。

海士町での暮らし

そこからの10日間は、振り返れば自分にとって、旅の変革期ともいえる時間だった。これまでは「観光地」をめぐるような旅が中心だったけれど、気づけば地域の日常に少し混ぜて頂くような「暮らすような旅」の魅力にどっぷりはまっていたのだ。

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ローカルな街並みや文化が大好きな、兵庫県出身の25歳。ベンチャー企業の法務担当として勤務する傍ら、休日は機会を見つけて地方を旅している。熱意の応援者として、ともに刺激を受け与える関係でありたい。最近は地域の魅力を伝えるツアーづくりに取り組む。秋のフルマラソンに向けても奮闘中。

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