旅が好きで、今まで10か国以上を訪れた。どの街にもそれぞれの良さや思い出があるのだが、私にとって一番思い入れがあり、好きな街はシンガポールだ。
日本からは直行便で7時間ほどという、近すぎず遠すぎない絶妙な距離。近すぎると「旅行に来た感」がないけれど、12時間も飛行機に乗るのはしんどい……。そんなワガママな人(私)にはぴったりだ。そして一年中高温多湿で、その暑さが旅情を掻き立ててくれる。そんなシンガポールの魅力をお伝えしたい。
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【おすすめポイント1】治安が良い&清潔
シンガポール国立博物館。モダンな建築が印象的
最初のおすすめポイントは治安が良く街が清潔であること。旅といえば世界遺産や美術館、絶景など「目玉」になるものに気が向くし実際それは旅の醍醐味だ。けれど旅を楽しめるのは安全で衛生的な環境があってこそだと、色々な国に行ってみて感じる。
シンガポールはその点でとてもおすすめできる。夜に一人で歩いていても不安を感じるような雰囲気はなかったし、ゴミのポイ捨てや鳥のえさやりには罰金が課されるなど、国をあげてクリーンな街づくりに取り組んでいる。私が街歩きをしていたときも、路上にゴミが落ちているのを見たことはほぼなかったように思う。
もちろん治安が良いとはいっても安全に気を付けるのは必須だが、スリが多い都市で常に周囲に注意していた時のことを考えると、かなり気が楽だった。
旅慣れた人にはもちろん、旅行の経験が少ない人やひとり旅の人にとってシンガポールは観光しやすい場所だろう。
【おすすめポイント2】色々な国の文化を味わえる
シンガポールは多民族国家で、中華系、インド系、マレー系など様々な人種の人々が暮らしている。そしてそれぞれの民族が同じエリアに集って生活圏を形成している。それぞれのエリアの特徴は以下のとおり。
チャイナタウン
チャイナタウンでは本格的な小籠包をいただくことができる
19世紀初頭に中国人居住区に指定されたエリア。シンガポール最古の中国寺院やお茶屋さん、漢方薬のお店などがある。拠点はMRTチャイナタウン駅。
リトル・インディア
色使いが特徴的なスリ・ヴィラマカリアマン寺院
19世紀初頭から、イギリスの植民地政策として南インドから移住させられた人々が住みついたエリア。インド系雑貨やヘナタトゥーのお店などがあり、道行く女性たちはサリーを着ている。拠点はMRTリトル・インディア駅。
アラブ・ストリート
黄金のドームが印象的なサルタン・モスク
アラブの商人たちが香料やコーヒーなどを運び、19世紀頃から商売の街として栄えたエリア。モスクや香水店があり、イスラムの香りが色濃い。拠点はMRTブギス駅。
シンガポールは東京23区と同じくらいの面積なので、これらの各エリアの距離が近い。たとえばチャイナタウンとリトルインディアは地下鉄で4駅。10分程度移動するだけで建物の雰囲気も食事もガラリと変わり、シンガポールに居ながら様々な国の文化を味わうことができるという、お得感がある。
それぞれのエリアは観光地にはなっているものの実際に人々が暮らしているので、たとえばリトルインディアのドラッグストアにはインド製の化粧品や薬が売られていたり、レストランはもちろんインド料理が多数ある。
このように、人々のリアルな暮らしぶり覗くことができるのだ。そして地下鉄で数駅という距離感で、異なるルーツを持つ人々が暮らしているのだと実感することは、日本ではなかなかできない経験で興味深かった。ぜひ実際に訪れて、多民族国家を実感してみてほしい。
【おすすめポイント3】少ない移動距離でモダンさとローカルの両方を楽しめる
インフィニティプールで有名なホテル、マリーナベイサンズや空港内のショッピングモール「ジュエル(jewel)」など、シンガポールにはモダンで巨大な建造物が多くある。
ジュエルは風水を取り入れて真ん中に巨大な滝があったり、マリーナベイサンズの隣にある植物園「ガーデンズバイザベイ」はどこかSFのような雰囲気を漂わせる展示になっており、どの建造物も特徴的で面白い。また、海沿いのマリーナエリアにはラッフルズホテルやフラトンホテルなどラグジュアリーなホテルが並んでおり、近くを歩いているだけで優雅な気分になれる。
夜のホーカーズ
そうかと思えば、ホーカーズと呼ばれる路上屋台が集まった屋外フードコートのような場所がいくつもあり、現地の人が普段使いしている。売られているのはもちろんシンガポールのローカルフード(チキンライスやバクテーなど)が多く、仕事の昼休みに来ているのであろう現地のワーカーたちに混じってローカルフードをいただく経験は、いかにも旅っぽさがある。
ホーカーズで食べたシンガポール名物、チキンライス。ジューシーでとても美味しかった
また、中心部からバスで20分ほどのところにあるカトン地区では、マレーと中国、ヨーロッパが混ざり合ったプラナカン文化を知ることができる。
カラフルな街並みが続き、写真を撮る手が止まらなくなる
繰り返しになるが、東京23区ほどのコンパクトさと、地下鉄など交通網が充実していることから、数分移動するだけでモダンからローカルへと雰囲気が変わるのを楽しむことができる。旅のしやすさという観点で、これは非常にありがたいポイントだ。
シンガポールってよいところ!
私のお気に入りの街、シンガポールの魅力をご紹介した。ここに書いた以外にも、自然に溢れているとか夜景がきれいとか、素敵なところがたくさんある。
少ない時間や移動距離で色んなことを楽しみたい!という欲張りな方にも、都会で優雅なステイを楽しみたい方にもぴったりな場所なので、ぜひ一度訪れてみては。
All photos by Misato Sakaguchi