ライター
梅津 薫 TABIPPO CARAVAN

趣味は旅行、カメラ、飲酒。XとInstagramでは、あなたに見せたい旅と食の写真を発信中。2年のハワイ留学を経験し、ハワイは第二の故郷。複業フリーランスとして活動中。

静岡で食べた生の桜エビのかき揚げをふと思い出し、食べたくなることがある。

町のなかにぽつんとある普通の蕎麦屋だったが、生の桜エビを食べたことがなかった私は、夢中になって食べた。一口頬張った時のサクサク感に驚き、噛むごとに生の桜エビの香りが口いっぱいにひろがる。

静岡へ行ったからこそ出会えた味だった。

鍾庵 生桜エビのかき揚げ丼とお蕎麦のセット
旅先の景色に感動した記憶も、もちろんある。あるのだが、食べ物の記憶は何故か強く残っている。特に今までに出会ったことのなかった食材や味が、自分の味覚にヒットした時の衝撃は忘れられない。

人間は、聴覚ー視覚ー触覚ー味覚ー嗅覚の順で忘れていくそう。それはつまり、嗅覚と味覚は記憶に残りやすい、ということ。

食との出会いを求める旅こそ、「忘れられない旅の思い出」として記憶に深く刻むことができるのではないだろうか。

レストランへ行くことだけが、現地の味を知る全てではない

ハワイのスーパーマーケットにて
私が旅の中で1番ワクワクするのは、スーパーや市場へ行くこと。現地でとれた新鮮な食材や、そこにしかない調味料を買い、ホテルで料理をする。これも現地の味を知ることになる。同じ食材でも普段食べて慣れているものと違うことがあり、面白い。

たとえば、今年の6月にハワイへ行ったときのこと。

到着した日にパパイヤを山ほど買うのだが、滞在期間中、毎朝食べられるよう、熟れ加減の違うパパイヤを選んでおく。

パパイヤとアップルバナナ
オススメはダウントゥーアースというスーパーにあるオーガニックのパパイヤ。パパイヤは日本ではあまり見かけないので、ハワイへ行ったときはここぞとばかりに食べ溜めておく。

そして、チャイナタウンのお肉屋さんで売られている叉焼も、私の大好物。


お気に入りはKam’s Meat Marketというお店。普段日本で食べなれている叉焼とは少し違い、赤く色がついており甘めな味付けで肉々しい食べ応えのあるもの。こちらも日本では食べられるお店が少ないので必ず食べるものの1つ。

その場所だからこそ味わえる味や食材を心ゆくまで堪能する。

旅行プランは、食から

雨のサグラダ・ファミリア
旅先を決めるとき、みなさんはどんな情報に心をつかまれているのだろうか。景色の美しさや、アクティビティ、街の雰囲気など、人によってさまざま。

私が心を奪われて旅行を決めるのは、魅力的な食べ物を知ったとき。

昨年行ったスペインがまさにそう。

母が「死ぬまでに行ってみたい」と、スペインのバルセロナへの旅行を計画していたのだが、私はガウディー建築物もサグラダ・ファミリアにも興味が無い。そこで母の誘い文句は「スペインに生ハムを食べに行こう」だった。

一気に興味をそそられ、本場の生ハムが食べたくて母とのスペイン旅行を決めた。

観光は母の行きたいところへ、私はお腹をすかせるための運動ついでに観光。

もちろん建築を見て感動した場所もあった。そこまで無関心なわけではないのだけれど、今までの旅行の中で、食と食以外への興味の差がもっとも大きい旅行だった。

バルセロナ郊外 コロニア・グエル教会
バルセロナにはいくつか市場がある。

宿泊していたホテルからはブリケア市場のほうが近かったのだが、観光客向けすぎてテンションが上がらず。もっと地元の人が普段の生活での買い物に使うような市場に行きたくて、サンタ・カテリーナ市場へ。


市場内には果物や野菜、パン、チーズ、お惣菜のお店などところせましと並んでいるが、お目当てはもちろん「生ハム」。

ショーケースにもびっしり、壁にもこれでもかと吊り下げられ、売り場いっぱいに並べられている生ハム。種類が多すぎてどれを選べばいいのか分からないほどの品ぞろえで、まさかこんなに生ハムに種類があると思っていなかったので、衝撃をうけた。

すスペイン 市場の様子
お店のお姉さんに「オススメ2種類を100gずつください」とお願い。

脂の少ないものと多いものを選んでくれたので、母とルンルンでホテルへ帰り、食べ比べをした。

脂の少ない生ハムは、旨味がギュッと濃縮されていて、飲み込んだ後も生ハムの後味につつまれる幸せを感じる。脂の多い生ハムは、脂の甘味がふわっと口の中に広がるが、胃もたれするようなくどさは無い。今まで食べたどんな生ハムより濃厚で美味しい。

やっぱり本場ってすごい、と感動。

スーパーマーケットのはしごも忘れずに

スペイン バルセロナでは、デパートのようなちょっといいお値段のスーパーから、地元の人しかいないようなスーパーなど色々回った。

カタルーニャ広場にあるエル コルテ イングレスというデパートの地下に入っているスーパーへ行ったときのこと。

店内をふらふらと見て回っているときにふと目に入った、豚レバーのパテ。他の豚レバーのパテに比べてパッケージが可愛いなあ、と軽い気持ちで購入してみた。

左 豚レバーのパテ 胡椒風味/右 アリオリソース
翌朝、「ああ、そういえば豚レバーのパテ買ったんだった。ちょっと食べてみよう。」なんて、なんの期待もせずに食べてみたら、美味しすぎてフリーズ。

レバーの旨味だけを残して臭みが全くない。日本で食べる豚レバーのパテよりもはるかに口当たりが軽く、いくらでも食べられる。

私の味覚にヒットした衝撃を感じ、スペインまで来て良かったと思わせてくれる味だった。

まとめ

スペインで食べたホットチョコレートとチュロス
レストランのお洒落な料理より、意気揚々と食べ比べまでした生ハムよりも、スーパーで買った1000円のレバーパテの方が記憶に残った、スペインでの思い出。このレバーパテを食べるためにまたスペインへ行きたい、と思うほどの素晴らしい出会いだった。

これが食べたいからまた行きたい、この味が忘れられない、と思えるような食との出会いを、ぜひあなたにも体験してみてほしい。

All photos by Kaoru Umezu

ライター
梅津 薫 TABIPPO CARAVAN

趣味は旅行、カメラ、飲酒。XとInstagramでは、あなたに見せたい旅と食の写真を発信中。2年のハワイ留学を経験し、ハワイは第二の故郷。複業フリーランスとして活動中。

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