旅に出たとき、「ああ今、旅しているな」と感じる瞬間はいつですか。
行き先の書かれたチケットを持って家を出るとき、車窓から流れていく風景を眺めるとき、旅先で出会った人と杯を交わすとき。
なれない場所で電気を消して、真っ暗ななか、眠りにつくとき。
“旅をしているよろこび”で、きゅっと心が満たされる瞬間。きっと人それぞれ、そんな瞬間があると思います。
わたしが「ああ、今、旅しているな」と感じる瞬間は、朝です。ふと目覚めたとき、いつものベッドではないと気が付くとき、旅をしている実感とうれしさがこみあげてきます。
いつもとちがう場所での、1日のスタート。せっかく早起きしたことだし、どんな風に旅先での朝を過ごそうか。
今回は、旅先での「わたしが好きな朝の過ごし方」をご紹介します。
見出し
キャンプ場での朝は、1杯のコーヒーで贅沢時間を
川が流れる音、鳥が鳴く声に起こされる、キャンプ場での朝。朝はキンと冷えて、テントから出ると息が白くなる。
自然がつくる音以外は何もない、静かな朝がそこにあります。朝ごはんに温かいスープをつくっている隣のテントや、昨晩の焚火のあとを通り過ぎながら、顔を洗いに水場へ。
キャンプの朝ごはんは、パンとコーヒーの組み合わせが最高の贅沢です。コーヒーのドリップパックは、こういうときのために出先でおいしそうなものに出会ったら買っておくと◎。
淹れたてのコーヒーを冷えた手でもちながら、ゆっくりと飲む時間。焚火をもう一度つけて、「寒いけれど朝日が気持ちいいね」と言いあうとき、キャンプはいいな、と思うのです。
1棟貸しの農家民宿で食べる、手作りの朝ごはん
沖縄県・西表島の農家民宿マナ。2021年に世界自然遺産に登録された島は、マングローブ林でのSUPやカヌーなど楽しみなアクティビティはたくさんありますが、私にとって何よりの楽しみはマナでの朝食です。
農家民宿を営む石原さんご夫婦がつくる朝食には、石原孝子さん手作りのベーグルや、自家栽培のハイビスカスローゼルジャムなどが並びます。
このハイビスカスローゼルジャムが、おいしいんです。甘酸っぱくてさわやか、口いっぱいにハイビスカスの香りが広がります。
石原さんご夫妻とお話しながら今日はどんな日にしようかなと考える朝は、第二のふるさとのような気持ちになる、ほっこりした朝です。
・名称:農家民宿マナ
・住所:〒907-1432 沖縄県八重山郡竹富町古見202
・地図:
・アクセス:西表島・大原港からバス15分
・営業時間:チェックイン15:00、チェックアウト10:00
・電話番号:0980-85-5656
・料金:2名様以上:朝夕付き8,000円(税抜)、1名様:朝夕付き10,000円(税抜)
・公式サイトURL:https://www.facebook.com/mana.iriomotejima
出張先での楽しみは、朝早くOPENするカフェ探し
出張のとき、朝の時間だけは自由に行動できることが多いので、早朝カフェめぐりが私の定番です。
街にひとつはある、朝早くからOPENするおいしいカフェ。そんなカフェをGoogle mapで探し当てられると、その出張はうまくいく、そんな気分で。
那覇でお気に入りのカフェは、県庁前すぐの樂園CAFE。朝から身体にやさしいものを食べたいとき、おいしいコーヒーで気合を入れたいとき、ここへ来ます。
ガラス張りで、お日様の光がはいる店内。あたたかいスープもサラダも野菜たっぷりで、ちょっと早起きした甲斐があったなと毎回思わされます。
・名称:樂園CAFE
・住所:〒900-8503 沖縄県那覇市久茂地1丁目1−1 デパートリウボウ 2F
・地図:
・アクセス:ゆいレール「県庁前駅」から徒歩5分
・営業時間:8:00~20:00
・定休日:なし
・電話番号:098-867-1171(デパートリウボウ代表)
・公式サイトURL:https://www.resort-dept.okinawa/cafe/
留学先での朝、ホストファミリー手作りの朝ごはん
大学3年で米・オレゴンに留学したとき、最初の2週間はホストファミリーの家で過ごしていました。到着してすぐ、時差とこれからの不安と期待とでよく眠れていなかった3、4日目のころ。初めてよく眠れた日の朝でした。
リビングにいくと、ホストファミリーは出かけていて、私の朝ごはんを用意してくれていました。パンと目玉焼き、ベーコンのシンプルな朝ごはん。
ひと口食べた時、そのおいしさに心がホッとしたのを今でも鮮明に覚えています。「きっと、大丈夫。ここでゆっくりやっていこう」と、小さな不安が消えてアメリカでの暮らしを前向きに思えた瞬間でした。
今でもこの朝のことは、ひとつの転機になっています。
誰かが手をかけてくれた食事は、心をほぐして、勇気づける力がある。食材のよさや空間のよさを飛び越えて、”思いのあるひと口”は何よりも人生の糧になる。そんな考えが芽生えたときでした。
モーニングだけでも、旅をした気分に
コロナで旅に出られないこの期間、私の息抜きはモーニングでした。とくによかったのが、渋谷のMIYASHITA PARKにある「VALLY PARK STAND」。
渋谷なので出勤前の平日にいくのもおすすめ。朝8時からオープンしていて、PC作業ができる席もあります。
季節のパニーニや焼き菓子が並ぶショーウィンドウから1つ選んで、コーヒーと一緒にいただきます。数時間でもいつもと違う場所で過ごすことで、悩んでいたことが少し前に進んだり、ちょっといい決断ができたり、ふうと深呼吸できると思っています。
・名称:VALLY PARK STAND
・住所:〒150-0001 東京都渋谷区神宮前6丁目20−10 MIYASHITA PARK North sequence MIYASHITA PARK 4F
・地図:
・アクセス:JR渋谷駅から徒歩5分
・営業時間:8:00-21:00(L.O20:00) 金/土 8:00-22:00(L.O21:00) ※最新の営業時間はHPをご確認ください
・定休日:施設に準ずる
・電話番号:03-6712-5442
・公式サイトURL:https://www.sequencehotels.com/miyashita-park/restaurant/cafe/
車で海まで飛ばして。波打ち際で食べるドーナッツ
夏は早朝からサーフィンに出かけていました。
海に入る前に、波を見ながら朝ごはんを食べるのがいつものルーティン。朝4時には家を出るので、海の近くのカフェでテイクアウトしたり、前日におにぎりを握って置いたり、気分で朝ごはんを用意していました。
朝、仕事にいくまでのたった数時間。海に入って自然のリズムに身を任せると、小さな悩み事や日々のあれこれがスッと消えて、「きっと大丈夫」と思えるのです。サーフィンの板に寝そべってパドルアウトする瞬間は、旅に出るその瞬間と似ているのかもしれません。
実際に海に入らなくても、朝の時間を利用して波を見に出かけるのも、きっといい息抜きになりますよ。
旅するよろこびを、ぎゅっと抱きしめる瞬間
私はとにかく朝が好きです。
「どんな1日になるだろう」とわくわくしながら起きて、楽しみにしていた朝ごはんを食べる。旅先ならなおさら、いつもと違う空気にエネルギーが湧いてきます。
きっと人それぞれ、旅するよろこびを感じる瞬間は違うと思います。
これからまた、自由に旅をすることができるようになったら、どんな風に旅先での朝を過ごしますか?ぜひ想像してみてくださいね。
All photos by Hinako Morino