「知らない人について行かない。」
旅行の注意書きなどでよく目にするこの文章ですが、多くの方がこの文章を見ても「ついて行くわけないじゃん。」と、まともに取り合っていないのではないでしょうか?
私も以前はそうでした。いくら海外旅行中で気が緩んでいるとはいえ、海外で知らない人について行くことなんてありえないと思っていました。
しかし…私はついて行ってしまいました。そして、命にかかわるかもしれないトラブルに巻き込まれたのです。
出会いはゲストハウスのインターネットスペース
その日、私は上海のゲストハウスのインターネットスペースでこれからの予定を立てていました。もともと、自由な一人旅にあこがれて旅立った私でしたが、一人旅の経験は全くのゼロ。予定を立てるだけでも一苦労でした。
一人でパソコンの前でうなっていると、後ろから「日本人?」と声をかけられました。後ろを振り向くと、ひとりの中国人男性が立っていました。
清潔な容姿、にこやかな表情、きれいな日本語。どこをとっても「好青年」といった感じで、とても悪人には見えませんでした。
完璧すぎるスケジューリング
彼は「一人旅をしているんだけど仲間がいなくて面白くない。よければ一緒に上海観光をしないか?」と提案してきました。
予定が全く決まっていなかったこともあり、私は彼の提案に飛びつきました。彼はすぐに周囲の観光地をピックアップし、一日の予定を一瞬でたてました。
今思えば、この時点でおかしいのですが、久々に聞いた日本語に舞い上がって冷静な判断が効きませんでした。彼のプランはとても楽しくて、まるで一流のツアコンに案内されているようでした。
「そうだ!カラオケいかない?」
あまりの楽しさで気が付いたら夜。
遊び疲れた私は「そろそろ帰ろうか?」と提案しました。すると彼は、「もうちょっと遊ぼうよ。そうだ!カラオケいかない?」と逆に提案してきたのです。
まっすぐ帰りたかったのですがここまで案内してもらった手前、彼の提案を断ることができず、「じゃあ、行こうか!」とその場ノリで、適当に返事をしてしまいました。
その返事を聞くと彼はタクシーを呼び止めました。
突然部屋に入ってくる5人の女
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カラオケ屋に到着すると、すぐに部屋に通されました。部屋は日本のカラオケ屋と全く同じ感じの内装。見慣れた環境にちょっと安心したことを覚えています。
席に座ると、「ごめん。いきなりだけどトイレ行ってくる。」と言って彼は席を立ちました。私はたいして気にも留めず曲を探し始めました。
すると、彼が席を離れてから一分も立たないうちにドアが開く音が…。