土産物屋の店主らはみな屋根のある一角に座り、ゲームや会話に興じていましたが、私の姿を見て2人出てきました。古銭を6つ5ドルで買いましたが、価値に関しては分かりません。
photo by KM777
事務所の中にはおばあさんが一人。私はチケットを買おうとするものの、要領を得ません。50ポンドで足りるだろうと、50ポンド出すと、私がチケットを買いたいことを理解したようですが、2ポンド足りない、と言います。
52ポンドってずいぶん半端だと思ったけど、2ポンドは本当にないので、「ないよ(マーフィー)」と答えました。すると、おばあさんは、仕方ないわね、というように、チケットを出してくれました。
驚いたことに、携帯電話につないで、電子レシートを出してきました。入場料をスタッフが着服してしまわぬよう、政府が対応したのでしょうけど、意外とハイテクだな、と思いました。
スーダンは経済制裁されているので、ATMでキャッシングすらできないのですが、そっちのほうを先に何とかしてほしいです。
チケットを手にして、砂丘を上り始めると、日本人らしき観光客の一団がいます。けれど、近づいていくと、日本人ではないことが分かりました。
日本人女性なら、砂漠で全身ピンクのドレス着て、女優みたいなポーズして写真とかとらないので。一人と握手して話すと、やはり、中国人の一行でした。どうやら、チケット売り場のおばあちゃんは、私がすでにチケットを持っているこの中国人グループの一人と勘違いしたのでしょう。
中国人グループは仕事でスーダンに住んでおり、ここまではガイド付き(または職場内の通訳者?)と専用車で来ていて、私が公共バスと徒歩で一人で来たということに驚いていました。
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ピラミッドは、10数基ほどまとまってその砂丘にありました。高さにして15mくらいでしょうか。
ここでも、ピラミッドの天辺は崩れているか、修復してありました。その場にあった説明書きによると、修復は1980年代に行われたようですが、修復の技術は低く、オリジナルとは素材も色も全く違い、まるでやっつけ仕事のような感じでがっかりさせられます。
でも、完璧な技術で修復してしまうとどこまでオリジナルかわかりにくくなってしまうので、ここのように、オリジナルと修復部分が一目で分かるというのは、ある意味理想的な修復なのかもしれません。
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ラクダを連れたベドウィンがピラミッドをバックにイスラム教の礼拝をしているところはフォトジェニックでした。ラクダは観光客を乗せるためのものですが、エジプトのようにしつこい勧誘はありません。
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ピラミッド以外にも、ヒエログリフ的な絵文字の書かれた石窟や、役所らしき建物の再現がしてありますが、どこまでオリジナルに忠実な再現かは疑わしいように思いました。
天辺が崩れている理由
さて、スーダンのピラミッドはなぜ天辺が壊れているのか、答えは英語ガイドブック、ロンリープラネットに書いてありました。
なんでも、イタリア人の「考古学者」が19世紀にスーダンのピラミッドを「調査」するために、天辺を壊していったというのです。スーダンの歴史とか文化に対する敬意が全く感じられません。中から発見された宝はそのイタリア人によって持ち去られました。
単なる盗掘者ですね。ガイドブックも、「どこが考古学者なんじゃ」という皮肉を込めて考古学者を「 」でくくっていました(”archaeologist”)。この人に限らず、欧米の探検家は、アジア・アフリカ・ラテンアメリカから、たくさんの宝物を盗み去っています。大英博物館が盗品展示場とも言われるわけですね。
カリーマのピラミッドは、ベジュラウィアほど密集していませんが、町から歩いていける砂漠の中にポツンとあり、管理人も土産物やもおらず(入場料も取られません)、遺跡を独り占めできます。遺跡の修復もベジュラウィアほどにはしていないので、そちらのほうがいいかもしれません。
でも、スーダンの首都から日帰り旅行できるというお手軽さではベジュラウィアのピラミッドにかないません。