ライター
RORO PEACE BOATで世界一周

旅する映像クリエイター・旅する料理人。大学卒業後、PEACE BOATで初海外、世界一周の旅に出る。帰国後、次は日本を知るために、北から南まで約2年半旅をしながら働く生活を送る。訪れた国は29カ国、国内は45県を制覇。

僕は、思い切って彼女をデッキに呼び出した。「話があるんだけど、時間ある?」

 

昼間は人が絶えないデッキに灯りはなく、僕と彼女以外のだれもいなかった。港に停泊している小さな船の光で、意外と表情は見えたことに緊張して、なかなか何も言い出せないまま、デッキの中央あたりに三角座りをして向き合っていた。何度も言葉が喉元までくるのに、全然口まで出てこない。

 

結局、2時間くらい何も話せず黙ったままの僕に「全然大丈夫だから、自分のペースでいいよ」と声をかけてくれる彼女。知ってほしいという気持ちと、死ぬまで隠しておこうと決めたあの日の気持ちが入り交じり、混乱しきっていたが、そのすべてに蓋をして、やっとの思いで声を振り絞った。

 

「僕、実は………同性愛者っていわれる、やつなんだよね………」。

ついに言えた。そして、予想していたよりもずっと、ボロボロと泣いた。

 

モロッコのおじさんの人生観が僕の信条のなさを浮き彫りにした

70th.PEACEBOAT

photo by 早乙女麗

「こんな仕事をしていて満足なの?そんなに優秀なら、もっと有意義でお金を稼げる仕事が絶対にあるよ!」するとおじさんは両手を広げてこう言った。

「何を言ってるんだい!俺には、愛する嫁と3人の子どもがいる。毎日みんなでごはんを食べる。こんな幸せなことはないだろう!」。満面の笑みで、何ともないことを言ったように、おじさんは作業に戻っていった。そんな彼とは対照的に、僕はまったく笑えず立ち尽くした。

 

彼が無目的に趣味として知性の鍛錬に励んでいることも、家族でごはんを食べられれば幸せという感覚を持っていることも、自分の共感の範疇を超えてしまっていたから。

「なんか、すげぇ自分、ダサいなぁ」。そう思った。そして、ふつふつと気持ちが高ぶっていった。自分には彼のような信条がないことにガッカリしたが、それよりも、彼のブレない生き様に憧れるという確かな感情があったことが嬉しくて、勝手に胸が熱くなった。

 

僕はまだ若造で、自分がまだないのは当然かもしれないけれど、でも絶対に「だれにどう言われようと、この道を行きたい」と言い切れる人生を見つけるんだ、と自分の意識を強く再確認できた。

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勇気を振り絞れば、自ずと見えてくる世界も違ってくるのだと思います。太田尚樹さんのエピソードの続きが気になる方はこちらをチェックしてみてください。

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RORO PEACE BOATで世界一周

旅する映像クリエイター・旅する料理人。大学卒業後、PEACE BOATで初海外、世界一周の旅に出る。帰国後、次は日本を知るために、北から南まで約2年半旅をしながら働く生活を送る。訪れた国は29カ国、国内は45県を制覇。

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