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MAYU フリーライター

和歌山を拠点に旅するフリーライター。枕が変わると寝れない極度の心配性ですが、行動力と直感はピカイチです。アジアを放浪中、インドにどハマりし宗教や文化に興味を持つ。

こんにちは、フリーライター高野麻由です。

まだまだコロナとの共存生活が続き、感染対策に気を抜けない毎日ですよね。旅が好きなわたしたちにも、今までとは違った「新しい旅のカタチ」が求められています。

今回の旅の舞台は、和歌山にある離島・友ヶ島。船で片道20分と気軽に行けるうえに、雰囲気がジブリに出てくるあの映画そっくりなのだとか……?

実際に訪れてみると、忘れてはいけない戦争時代の背景がギュッと凝縮されていることにビックリ。旅をしながら歴史を学べる友ヶ島の旅をご紹介します。

出発は、漁業が盛んな街・加太にある船着場から


和歌山市内の端っこに位置する加太(かだ)は、海に囲まれている街。漁業が盛んで、たくさんの船と、釣りを楽しむ人々がズラーっと堤防に並んでいます。

友ヶ島への渡航方法は、加太の船着場から出ているフェリーのみ。駐車場(1日700円)も完備しているため、車でのアクセスも安心です。


チケットは当日券のみ、ネットでの事前予約ができないため要注意。出港時間は午前・午後合わせて4便、時期によって臨時便も出ており、片道約20分となっています。料金は往復大人2,200円、子ども1,100円(税込み)。

ここで要注意ポイント!フェリーは、晴れていても、波や風の影響で欠航になる場合があります。当日の朝に欠航が決まることが多いため、こまめにサイトやTwitterなどで運行状況の確認をしましょう。


小さな船着場ですが、チケット売り場の隣に売店があり、店内は座って過ごせるようになっています。

店主の男性は、とっても気さくな方でした。お忙しそうでなければ、ぜひ声をかけてみてください。楽しい話を聞かせてくれますよ〜!


ちなみに、島内の食事スポットは小さなカフェと自動販売機のみ。自動販売機は街より少し値段が上がるので、売店で前もって買っておくことも忘れずに。

片道20分の船旅!海風が最高に気持ちいい


フェリー出港時間の少し前になると、人がゾロゾロと集まってきます。

ハイキングに行くためにしっかり準備をしている方や、お子さんと一緒にピクニックするためにベビーカーと一緒に乗車する方など、さまざまな方が友ヶ島へ向かいます。


フェリーは定員100名。朝一番のフェリーは人が多いですが、午後からの便は比較的人が少なく、しっかりソーシャルディスタンスを保ちながら座れます。


あまり揺れを感じたくない方や酔いやすい方には階段を降りた奥のシートがおすすめですが、風を感じながら運転席を見たい方にはテラスシートがおすすめです。

島内を探索!ラピュタの雰囲気っていったい……?


「友ヶ島って、あのラピュタの島?」と言われるほど、ラピュタのイメージが強い友ヶ島。ジブリ好きを虜にする魅力を探っていきましょう!


フェリーは島の中心地・野奈浦広場に到着します。友ヶ島は、離島といえども山道を登ったり下ったりして移動するため、地図を持って移動しましょう。

野生のリスを発見!筆者は初めてリスを見たので、小さくてカワイイ動きに興奮しました。運がよければ、クジャクや鹿も見られるのだとか。

まずは、友ヶ島の歴史を知ろう!当時の面影に思いをはせて


友ヶ島は、明治時代に旧日本軍の要塞施設(戦時中、敵からの侵入を防ぐために砲台や防備衛所が作られたもの)として使用されていました。

今では観光地として名の知れた島ですが、第二次世界大戦までは一般人は立ち入りできない場所でした。足を踏み入れられることが、少し不思議な感覚です。


離島=無人島とイメージする方も多いですが、戦時中は島の中の要塞に兵隊が駐屯していました。ところどころその痕跡が残っている場所もあり、当時の面影を目で見て感じられる点もこの島の魅力だと思います。

ラピュタの物語の中で描かれる色合いや雰囲気が、島内の景色に似ているところが人々が惹かれる理由でもあります。ラピュタも友ヶ島もそれぞれの時代背景を思い返す意味が込められているという共通ポイントにグッときます。


4つの小さな島からなる友ヶ島。山道を歩くため1日で名所を巡るには、時間と体力が必要です!当時兵士たちはどのように過ごしていたんだろう……と、わたし達が生まれる前の時代を思い返しながら出発。

自然崩壊した「第2砲台跡」


最初に訪れたのは第2砲台跡。こちらは立ち入り禁止となっており、中に入って見ることはできないため外観のみ。

友ヶ島には5ヶ所に砲台があり、どの砲台も使用されずに終戦を迎えたのだとか。立派なレンガ調の建物ですが、第2砲台跡のみ戦後に自然崩壊し今の状態になりました。

自然崩壊したままの状態が、また雰囲気がありよかったです。

ノスタルジックな雰囲気が漂う「第3砲台跡」


どんどん山を登っていくと第3砲台跡に到着。友ヶ島といえばここ!と誰もが訪れる人気スポットで、静かな空間、生い茂った木々、年季の入ったレンガ調の建物がまさに「ラピュタ」だと話題となっています。

左側に見えるレンガ調の建物は弾薬支庫跡で、建物の中ですべて繋がっており、だだっ広いうえに真っ暗。ライトなしで入るのは怖かったです。

第3砲台跡で足を止める方が多く、写真のシャッター音が鳴り止みませんでした。とはいえ砲台跡を巡るルートはいくつかあるため、人とは山道ですれ違う程度。このほどよい距離感が今の時期にピッタリ。

小規模ながらラピュタっぽさのある「第5砲台跡」


横長に設置された第5砲台跡。扉を開けることができず建物の中には入れませんが、雰囲気のあるスポットです。

わたし個人としては、第5砲台跡がラピュタのイメージに近いと感じました。ラピュタの物語をイメージしながら、「っぽい!っぽい!」と探索するのが楽しかったです。

忘れてはいけないあの時代を想像してみる


第3砲台跡の近くには、実際に生活していた宿舎が残されており、古風な平家の造りに、祖父母の家を思い出します。

中はすべて破損していて外観だけが残っていますが、時代を越えてもなお立派に建っている建物の強さに感動しました!


最近では、戦時中の話題や当時を描いたドラマや映画が少なくなったような気がします。時代は変わり、新しいものや記憶が繰り返される日常ですが、こうやって何十年経っても変わらずその時代を思い返せる場所があることを忘れてはいけないと思いました。

疲れたら「らぴゅカフェ」でひと休み


地図を片手に砲台跡コースを探索し、出発地点の野奈浦広場に戻ってきました。帰りのフェリーまで少し時間があったので、らぴゅカフェでひと休み。アルコールやドリンクも充実しており、食事やデザートもあるのでランチにもぴったりです。


野奈浦広場に設置されたテラス席は広々としていて、持参したお弁当を食べている親子がいたり、おじいちゃんおばあちゃんが運動をしていたりと、おのおので楽しんでいました。

島の中を探索していると時間を忘れてしまいがちですが、帰りのフェリーの時刻を気にしながら早めに降りてきて、ハイキングの疲れを甘いデザートで癒やすのもいいですよ〜!

■詳細情報
・名称:らぴゅカフェ
・住所:〒640-0103 和歌山市加太 友ヶ島島内野奈浦広場近く
・地図:
・アクセス:野奈浦浅橋から徒歩ですぐ
・営業時間:友ヶ島汽船の発着に準ずる(9:30~16:00)
・定休日:水(GW・夏休み時期は営業、悪天等により汽船欠航となった場合は休み、その他冬季は土日祝のみ営業)

のんびり、だけどしっかり旅を味わえる友ヶ島へ

夏になるとキャンプも可能(要申請)で、色んな人で賑わう光景が待ち遠しいです。自転車をフェリーに乗せたり(別途料金が必要)、釣り竿を持って行ったりする方も。

密を防ぎながら、山道をトレッキングして異空間を味わえる友ヶ島。

ラピュタの島と呼ばれる雰囲気を楽しめるだけでなく、実は友ヶ島の歴史の中に、私たちが忘れてはいけない時代の背景がありました。戦争時代を振り返るきっかけが減った現代ですが、旅を通じて今の時代を生きる大切さに気付いてほしいなと思います。

■詳細情報
・名称:友ヶ島
・住所:〒640-0103 和歌山県和歌山市加太
・地図:
・アクセス:加太船着場からフェリーで約20分
・定休日:水(祝日は運行)・天候により欠航あり
・電話番号:073-459-1333(友ヶ島汽船)
・料金:フェリー代大人2200円、こども1100円(島内入場料なし)
・所要時間:名所コース巡り約2〜3時間
・公式サイトURL:http://tomogashimakisen.com

All photos by Mayu Takano

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