ライター

オーストラリアワーキングホリデー2年(パース/ゴールドコースト)|中央ヨーロッパロードトリップ|宮古島リゾートバイト|北半球地球一周の船旅|など気の向くままに住所不特定生活を約6年間続ける。現在はスイスフランス語圏在住。 好きなことで自分を囲み続ける人生を日々追求中☀️

旅をするたびに、私は心の中に小さな宝箱を増やしてきた。そこには数々の絶景や心温まった出会いたち、心躍る瞬間が詰まっている。

写真では伝わりきらない壮大な自然に出会ったこと

何もわからない土地で親切にしてもらったこと

おかしくて涙が止まらないほど笑った旅

そうした思い出たちはきれい事でもなんでもなく、何にも代えがたい私の宝物だ。

今回の記事では旅先で集めてきた私の宝物についてご紹介しようと思う。旅するとどんなことと出会えるのか。

旅で見つけた宝物1:思い出を形に残す写真たち

オールナイトでサンライズ待ちを一緒にした船旅の仲間たち。
なかでも、旅の中で撮影してきた写真たちは、私にとって単なるデータではない。その時の感動や驚き、楽しさやしんどさなど、さまざまな感情・背景をを写し出す、私の歩んだ過程そのものである。

写真を見返すことで、その場所の空気感やそこで感じた自分の胸の熱さが蘇る。それは時に今の自分を奮い立たせる原動力にすらなるのだ。

一枚の写真で思い返す、イタリア・ポジターノで優しさに救われた夜


幼馴染とイタリアで合流し、アマルフィ海岸のポジターノという街へ行ったときのこと。

ローマから約11時間バスと歩きで乗りに乗り継ぎ、人に道を尋ねまくり、ようやく辿り着いた夜のポジターノ。

現地までは無事に着いたものの、最後の最後で、運転手にお願いしたバス停とは違うところで間違えて降ろされた挙句、うろうろしていた私たちに声をかけてくれた散歩中のおばあちゃんには、「この道はずっと階段だからそのキャリーケース引いていくのは大変すぎるよ」と言われる始末。階段を使わない道はかなりの遠回りになり、すでに長時間の移動で疲れ切っていた私たちは失笑しながら肩を落とした。

有名なあの断崖絶壁にそびえ立つポジターノの街は、ひたすら坂道と階段ばかりなのである。

もうとっくにホテルのチェックインの時間は過ぎていて、Wi-Fiのみに頼っていた私たちはインターネットに繋ぐこともできず、電話もメッセージも送れない。一泊だけの弾丸旅行だったために滞在時間が少なくなっていたことで焦燥感も感じていた。

そんな私たちを気の毒に思ったのか、散歩中のおばあちゃんからホテルはどこかと聞かれ、彼女自らホテルに電話をかけ私たちの事情を説明してホテルから迎えの車を頼んでくれた。

その後も、2月夜の寒空の下一緒に迎えを待ち、私たちが車に乗るのを確認すると優しい笑顔で散歩へ戻っていった。

迎えに来てくれたホテルの女性スタッフは、何にも心配いらんよとばかりの明るさで、私たちが無事部屋へ着くまでとても丁寧に案内してくれた。

毎日たくさん訪れる観光客のうちの1組に過ぎないけれど、純粋な親切心で助けてくれたことが嬉しくて、それまでの疲れすら忘れるくらい心温まった。それと同時に、私もそんな親切心を忘れない人であろうと強く思った。

翌朝に見た断崖絶壁に立つカラフルな建物たち。来た甲斐があったと思わせる眺め。
ポジターノに到着した夜の一枚の写真を見ると、そんな旅の苦楽が思い出されるのだ。

旅で見つけた宝物2:形なきものを形にしたメッセージアルバム


旅を通じて出会った人々との繋がりも、私にとっての大切な宝物だ。

特に忘れられないのは、ピースボートでの世界一周だ。

世界中をめぐる船旅の中で、私は何百人もの人たちと出会った。文化・言葉・老若男女問わずの異なる様々な人が、一つの船で3ヶ月半を共に過ごす。そこで交わす言葉、笑い合う瞬間、何かを共に作り上げる時間、そのすべてがかけがえのない思い出になったのは、もはや言うまでもない。

船の上では、毎日たくさんの人と顔を合わせ、語り合い、ときには夜通し一緒に過ごすこともあった。人生観を変えるほどの出会いもあれば、たった一度の会話で心が救われることもある。どの出会いも、私の船旅をより豊かにしてくれた。

そんな仲間たちから、船上で誕生日を迎えた私が受け取ったのが、100人以上の人からのメッセージアルバムだった。船の中で一番長く一緒にいた友人が、何日もかけてメッセージを集め、クリエイティブな一冊のアルバムにしてくれたのだ。

「この先どこにいても、あなたの笑顔があれば大丈夫。」

「パワフルな話に夢中にさせられたよ。」

「出会えてよかった。」

ページをめくるたびに、彼らの言葉が心に染み渡り熱くなる。

スイスに移住してきてからも、船旅での友人が6組ほど連絡をくれ、スイス国内や他のヨーロッパ国で再会を果たした。私が日本へ一時帰国した際には、温かすぎるくらいのおかえり会を開いてくれたり、非日常から飛び出した旅で生まれた繋がりは、時間や距離ができてもその温かさは変わらない。

このメッセージアルバムは、彼らとの出会いと繋がりが形となった「宝物」として今も私の手元で大事に保管されている。

ピースボート船上大運動会後の集合写真。国籍・年齢・言葉の壁を超えたインターナショナルな船旅最大のイベント

旅はこれからも私に様々な形で宝物をくれる


旅に出るたびに、私は新しい宝物を手に入れてきた。

旅で見つけた「宝物」は、人それぞれ違う。でも共通して言えるのは、それが「心を動かすもの」であること。物であれ、形のないものであれ、旅は毎回私たちにかけがえのない贈り物をくれる。そして、その宝物たちは決して消えることがない。写真やメッセージアルバムといった形あるものはもちろん、心だけに刻まれた感動や経験も、ずっと色褪せずに輝き続ける。

もしかすると、未来の私が「これが人生で一番の宝物だ」と思うものは、まだ見ぬどこかの地にあるのかもしれない。

旅は、私にとっての宝探し。まだ見ぬ世界には、どんな宝物が待っているのだろう。

All photos by saeno

ライター

オーストラリアワーキングホリデー2年(パース/ゴールドコースト)|中央ヨーロッパロードトリップ|宮古島リゾートバイト|北半球地球一周の船旅|など気の向くままに住所不特定生活を約6年間続ける。現在はスイスフランス語圏在住。 好きなことで自分を囲み続ける人生を日々追求中☀️

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