こんにちは、「世界一周」研究の塩飽泰啓です。先日のエントリーで「旅を学問する」と書きましたが、その手始めとして知っておくべきは過去の旅の歴史でしょう。
先人たちがどんな形で旅をしてきたのかを知れば、自分たちの旅とどれだけ違いがあるのかを肌で感じることができて、とても刺激的になるとは思いませんか?
ということで今回は旅を学問するにあたって、その入り口となりそうな書籍を紹介させていただきます!比較的読み易いものがほとんどなので、ご安心を!
世界一周の誕生:グローバリズムの起源 / 園田 英弘
いきなり「世界一周」という言葉が出てきましたね。こちらの本では15〜17世紀の大航海時代におこなわれたマゼラン艦隊の世界一周航海から、実際に世界一周が流行を始めた19世紀にいたるまでを歴史的にまとめた、まさに「世界一周」の歴史書です。
本の帯には「一八五〇年、地球はまだ丸くなかった」との紹介文がありますが、まさに技術の革新によって地球は「丸くなった」んだな、と思わされる一冊となっています。
またまた「世界一周」の歴史的読み物ですが、こちらは日本人の世界一周の歴史です。日本人で最初に世界一周した(しちゃった?)人のスタイルが、まさかの形式なのには驚きましたが…こちらは読んでからのお楽しみで。
また著者の熊田さんの著作の多くは、海外渡航を経験した日本人を追っている歴史的読み物が多いので、そちらも興味があれば読んでみては!
ニッポンの海外旅行:若者と観光メディアの50年史 / 山口 誠
こちらは主に現代に入ってからの日本の海外旅行の歴史を辿る本です。それまで団体旅行がメインだった世の中で、いわゆる「バックパッカー」がどのようにして生まれたのかについて書かれています。「地球の歩き方」「深夜特急」など、今ではみんなが知っている書籍の誕生物語なども満載。
これを読めば、先輩バックパッカーたちがどのようにして海外へと旅立っていったのかが掴めるかもしれません。
海外観光旅行の誕生 / 有山 輝雄
近代の海外旅行の歴史について書かれた書籍です。最初の団体旅行とも言えるツアーの行き先は、韓国とかつての満州。そして、書籍の大半を占めるのが、日本で初めての「世界一周ツアー」の誕生についてです。詳細な描写で、どんな人がツアーに参加していたのか、どういった形で地球を一周してきたのかについて描かれています。
旅を生きる人びと バックパッカーの人類学 / 大野 哲也
最後は僕の研究分野と重なる人類学の書籍からの紹介です。フィールドワークとインタビューに基づいた詳細な描写によって、バックパッカーたちの冒険とその先を描いた、まさに人類学的なバックパッカー研究の一冊と言えます。
内容も20世紀以降のバックパッカーたちが調査対象となっていて、「あー、分かる分かる!」という感じで、旅人なら共感できる部分が多々あるので、非常に読み易くなっています。
まとめ
いかがでしたか?こうして歴史をひも解いていくと、僕らが旅に出るまでに、たくさんの先人たちが築き上げてきたものがあるからこそ、僕らの今の旅の形があると思わずにはいられません。そして次の世代のために、今度は僕たちの時代の歴史を残していくためにも、僕はこの研究を続けていきます。