ライター
貝沼和 TABIPPO CARAVAN

ソウル在住10年の複業フリーランス。2人の女の子を育てながら、ライター、SNS運用、カスタマーサクセス、コミュニティ運営、日本語教師など「人生に彩りのある選択肢を届けたい」という想いのもと多方面で活躍中。座右の名は「和をもって尊しとなし」

あなたにとって、旅に欠かせないものはなんですか?

高性能のバックパック、歩きやすい靴、パスポート、動いた感情を書き記す手帳--。

どれも、私にとっては大切な必需品だ。

だけど、私の旅を豊かにするには、なくてはならないものがある。

それは、まぎれもない家族だ。家族との旅が、何よりも、私の心を一番満たしてくれる。

一人旅の自由さ、そして、家族旅の価値

独身時代、私はたくさん一人旅を楽しんできた。一人旅は自由で、身軽で、何にも縛られない。気の向くままにカフェに入れるし、考える時間も持てる。

「ママ」や「会社での役割」、そういう肩書きをすべて取っ払って、生身の自分として旅をすることができる。

ときには、自分を見つめ直し、リフレッシュする時間として、一人旅に出たくなることもある。実際私は「1年に1度は一人旅をする」というのをウィッシュリストに入れている。

それでも、家族と旅することの価値に勝ることはない。

限られた時間だからこそ、一緒に旅をしたい。

ありのままを受け入れてくれるような、小豆島からの海
母になって9年。母親としての年齢はまだまだ9歳。

でも、子どもと過ごす時間には限りがあることを、日々実感している。

あるデータによると、母親が子どもと過ごせる時間は合計すると、生涯たった「約7年6ヶ月」だそう。睡眠時間や学校の時間などを抜いたらそれくらいの時間しか一緒にいられないらしい。

そう思うと、一緒に家族揃って旅行に出かけることは、人生で何回あるかわからないほど、貴重なものだ。

私は、やっぱり、この限られた今を大切にしたい。

旅先で知る、家族の新しい一面

車で高松港からフェリーに乗り込む瞬間!
家族とは毎日一緒に過ごしている。それでも、旅先だからこそ知れることがある。

去年、私たちは家族で小豆島へ旅行に行った。ソウル在住の私たち家族は仁川空港から飛行機に乗り込んで、高松へと飛び立った。そこから、レンタカーで移動し、フェリーに乗り換えて、小豆島に渡った。

そのとき、夫がふと口にした。

「車を乗せてフェリーに乗ることが夢だったんだ」

私はその言葉に驚いた。長く一緒にいるけど、夫にそんな夢があったことも知らなかった。旅先で夫のウィッシュリストにチェックを入れることができて、なんだかとても嬉しかった。

旅先では、家族の絆がもっと強くなる、そんな気がした瞬間だった。

旅は、子どもたちの「生きる選択肢」を広げてくれる

魔女の宅急便のキキになりきる長女
旅だからこそ見せられる「生きる選択肢」がある。親として、子どもを産んだことが本当に正解だったのか。

こんな混沌とした時代を生きる子どもたちの未来は、果たして明るいのだろうか。そんな不安に押しつぶされそうになることがある。

それでも、この世界は美しく、楽しい場所だ。私はそう信じているし、子どもたちにもそう感じながら生きてほしいと思っている。

もし、今いる場所が自分に合わないと感じてしまったとき。もし、逃げ出したくなるようなことがあったとき。そんなとき、「世界には、今の価値観とは違う生き方をしている人たちがいる」と知っていれば、少しだけ強く、楽しく生きられるのではないか。

私は、そんなふうに“今いる場所”に縛られず、「どこでも生きられる」という選択肢を持ってほしい。そして、「自分の人生を、自分で選び抜く強さ」を、子どもたちに残していきたい。

家族との旅だからこそ、見える豊かさ

小豆島のエンジェルロードにて
一人旅ではなく、家族と旅をするからこそ、見えてくるものがある。旅だからこそ、子どもに伝えられることがある。私はそういうことを噛みしめることで、生きる豊かさを感じている。

今ある時間を大切に。豊かに。最善を尽くす。旅は、人生そのもの。家族とともに、この限られた時間を、大切に旅していきたい。

All photos by Nodoka Kainuma

ライター
貝沼和 TABIPPO CARAVAN

ソウル在住10年の複業フリーランス。2人の女の子を育てながら、ライター、SNS運用、カスタマーサクセス、コミュニティ運営、日本語教師など「人生に彩りのある選択肢を届けたい」という想いのもと多方面で活躍中。座右の名は「和をもって尊しとなし」

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