ひとり旅で訪れたバルセロナ。
「サグラダ・ファミリア、そろそろ完成かな……?」と、ワクワクしながら地下鉄を降りたその瞬間。
突然、駅の照明がすべて落ち、構内が静まり返りました。
大規模な停電。
あと数秒遅ければ、電車の中に閉じ込められていたかもしれません。
実際、私はそのまま駅構内に数時間足止めされることになりました。
電気も通信も止まり、カードも使えない。地下鉄やバスも次々に運休。
街全体が混乱し、観光客も地元の人も立ち尽くすしかありませんでした。
この記事では、そんな海外での突然のトラブルにどう対応したか、そして、あらかじめ備えていたことで助かったポイントを具体的に紹介します。
見出し
- 1ホテルの場所とアクセスは最初に確認を
- 1.1拠点を早めに確保する
- 1.2紙とオフラインの情報で備える
- 2現金ゼロは危険。最低限の現金は常備を
- 2.1現金が唯一の支払い手段になる場面も
- 2.2生活費数日分+分散保管が安心
- 3スマホが使えないときの備えを忘れずに
- 3.1スマホは万能ではないと知る
- 3.2「紙」の情報が助けてくれる
- 3.3連絡手段の“最後の備え”を忘れずに
- 4“焦らない”という最大の備え
- 4.1パニックの連鎖から一歩離れる
- 4.2その場にとどまるより、前に進む決断を
- 4.3“楽しむ心”に救われることも
- 5閉じ込めや移動不能に備える小さな工夫
- 5.1飲み物と軽食が不安を和らげる
- 5.2情報は人から得ることもある
- 6大使館と保険を「使える情報」にしておこう
- 6.1大使館の連絡先・保険の情報はメモしておく
- 6.2旅人同士の協力が命綱に
- 7旅を安全に楽しむために、今日からできる備え
ホテルの場所とアクセスは最初に確認を
地下鉄の駅は全て閉鎖されていました。
拠点を早めに確保する
旅先で1番安心できる拠点は、やはり滞在先のホテルやホステルです。幸いにも私は停電が起こる前にチェックインを済ませており、ホテルの場所をしっかり把握していました。
その後、交通機関がすべて止まってしまいましたが、徒歩でホテルまで戻ることができました。
距離にして約1時間弱。場所を把握していなければ、とても辿り着けなかったでしょう。
紙とオフラインの情報で備える
ホテルの場所は、紙に書いて控える、オフライン地図で確認できるようにしておくなど、通信が使えない状況でも対応できるよう準備しておくことが大切です。
また、『地球の歩き方』などの紙媒体のガイドブックや紙の地図を1冊持っておくと、いざというときに心強い味方になります。
私は事前に駅のインフォメーションセンターで地図をもらっておき、それを見ながら歩いて移動しました。
途中で何人もの旅行者から「それ、どこでもらったの?」「場所を見せて!」と声をかけられたことも。情報が遮断された状況では、なんだかんだ「紙媒体」が1番頼りになると実感しました。
現金ゼロは危険。最低限の現金は常備を
災害発生直後、人が押し寄せスーパーの棚はガラガラでした。
現金が唯一の支払い手段になる場面も
今ではキャッシュレスが主流となり、カードやスマホ決済に頼ることが当たり前になっています。
しかし、いざトラブルでそれらが使えなくなると、一気に身動きが取れなくなります。
停電が発生した直後、人々は飲み物や食べ物を求めて一斉に店に押しかけましたが、多くの店ではカードが使えず、現金のみの対応でした。
生活費数日分+分散保管が安心
停電がどのくらい続くかは誰にも分かりません。いざというとき、飲食物や移動手段を確保するには現金が必要です。
現金を持つ場合は、1箇所にまとめずに分散して保管することをおすすめします。たとえば、財布・サブバッグ・ホテルの金庫などに分けておくことで、万が一盗難に遭っても全額を失うリスクを減らせます。
実際、バルセロナのような観光都市ではスリや置き引きも少なくないため、「大丈夫だろう」と油断せず、備えておくに越したことはありません。
スマホが使えないときの備えを忘れずに
数時間閉じ込められていた地下鉄駅構内。もちろん電波は一切通じませんでした。
スマホは万能ではないと知る
スマホがあればなんとかなると思いがちですが、停電や通信障害が起きると、その前提が一気に崩れます。
ホテルのスタッフや駅構内の警察官でさえ、「外部からの情報が一切入ってこない」「この状況がいつまで続くか分からない」「サイバーアタック?」と困惑していて、現場はまさに大混乱でした。
ネットも電話もまったく使えず、現場は混乱の中に。便利さに依存しきっていた自分に気づかされました。
「紙」の情報が助けてくれる
通信が使えないとき、頼れるのは紙の地図やガイドブック、事前にダウンロードした情報です。
オフラインでも見られる準備をしておくことで、不安を大きく減らせます。
連絡手段の“最後の備え”を忘れずに
連絡が取れない状況で、自分の居場所や予定を伝えている相手が一人いるだけで心強くなれます。
旅に出る前には、ホテルや行動予定などを信頼できる人と共有しておくことが、安心につながります。
“焦らない”という最大の備え
駅に観光客が押し寄せ大パニック。
パニックの連鎖から一歩離れる
異国の地で突然トラブルに巻き込まれると、多くの人が焦り、空気は一気に張りつめていきます。
そんなときこそ、まずは深呼吸して、自分の行動を見直す時間を持つことが重要です。周囲の混乱に飲み込まれないよう、「一歩引く視点」が助けになります。
その場にとどまるより、前に進む決断を
駅構内では多くの人が立ち往生し、身動きが取れない状態でした。
通信も遮断され、警察官や駅員、ホテルのスタッフも手の打ちようがなく、誰もが情報のないまま立ち尽くしている状況。
私は「このままでは何も変わらない」と思い、空港へ向かう手段を自力で探すことに。停滞から脱して行動に移したことで、気持ちも前向きに切り替えることができました。
“楽しむ心”に救われることも
一方、地元の人たちはこの状況をむしろ楽しもうとしていました。
電気が止まり冷蔵庫がダメになる前にと、外に出てビールを飲んでいる姿はとても印象的だったのを覚えています。
旅先での非常事態だからこそ、ちょっとした余裕や遊び心が心の支えになります。
どんな状況でも、まずはパニックにならないこと。それが、旅先で自分を守るいちばんの力だと感じました。
閉じ込めや移動不能に備える小さな工夫
公式には発表されていませんでしたが、空港までのバスが出ていることを旅人繋がりで知りました。
飲み物と軽食が不安を和らげる
飲み物や軽食が手元にあったことで、閉じ込められた状況でも冷静でいられました。
実際、停電で駅構内にしばらく閉じ込められたとき、気温も高く、水分を持っていたことが本当に救いになりました。
もしあのまま電車の中に取り残されていたら、さらに長時間閉じ込められていたかもしれないと思うと、今でもゾッとします。
バッグに非常食を入れておくというちょっとした備えが、想像以上に大きな安心感につながります。
情報は人から得ることもある
空港行きのバスの情報も、公式には出ておらず、人づてで知りました。
交通網が麻痺しているなか、「今どうやって空港に行けるのか?」という問いに対して、駅やホテルのスタッフは「分からない」と答えるしかない状況でした。
そんなとき、他の旅人と情報交換をしたことが、突破口になりました。そのやりとりのなかで、空港へ向かう唯一のバスが動いているという貴重な情報を得ることができたのです。
大使館と保険を「使える情報」にしておこう
大使館の連絡先・保険の情報はメモしておく
滞在国の日本大使館・領事館の場所と連絡先は、紙やスマホに控えておきましょう。
保険については、加入しただけで安心せず、内容や連絡先も事前に把握しておくことが重要です。証券番号やサポートダイヤルは、インターネットが使えない状況でも確認できるようにしておきましょう。
旅人同士の協力が命綱に
旅行者同士が声を掛け合い、助け合う光景に救われました。
言葉も文化も違う人たちと、その場で自然に生まれる連帯感。
「一人では気づけなかったこと」や「一人では辿り着けなかった選択肢」を、旅人同士の協力の中で得られる瞬間が確かにありました。
とくに情報が遮断された環境では、人とのつながりこそが最大の情報源になります。
旅を安全に楽しむために、今日からできる備え
地下鉄構内に閉じ込められた時。真っ暗。怖くて不安でたまりませんでした。
海外旅行では、思いがけないトラブルに遭遇することがあります。
今回のスペイン・バルセロナでの大停電を通して強く感じたのは、「冷静さ」と「小さな備え」が、想像以上に大きな力になるということでした。
事前に準備ができていれば、突然のトラブルにも慌てず行動できます。
そして何より、落ち着いて、協力し合い、諦めずに動くこと。
それが、困難な状況の中でも自分を守るいちばんの力になります。
もしもの時にも冷静に対処できるように、少しだけ「備え」と「心構え」を持って旅に出かけてみてください。
誰にでも、いつ何が起こるか分かりません。
この私の体験が、どこかであなたの助けになることを願っています。
All photos by Reina