魔法使いのようなパイプオルガン奏者
その後、再び別の教会へとお邪魔しました。ここは雪の聖母マリア教会。名前の通り祭壇にはキリストを抱えた聖母マリア像が鎮座しています。
この教会は何様式で建てられているか…わかりますか?写真が暗くてわかりにくいかもしれませんが、これはバロック様式です。このディティールの細かさ、立体的な装飾はまさにバロックの特徴なんです。
そして今回特別に、50年もあちこちの教会でパイプオルガンを演奏している奏者の方に弾いてもらいました。ヴァーツラフ教会では偶然聞けたパイプオルガンですが、近くで見ることはできなかったのでわたくし大興奮!
昔はパイプオルガンを弾ける人がたくさんいたのに、今では数えるほどになってしまったんです、とパイプオルガン奏者のクァンツさんは寂しそうに言いました。キリスト教の人たちが少なくなるにつれて、教会に通う人も減り、奏者もいなくなってしまったということでしょう。
高い天井に響き渡る荘厳なパイプオルガンの音は、私の体に押し寄せて降りかかり、何度聞いても涙が出そうになります。電気は使わず手でこのポンプを押したり引いたりしながら何層もの音を生み出す彼は、まるで魔法使いのように見えました。
心が洗われた後、再び外に出るととっぷり日が暮れて、キラキラとしたクリスマスの灯りが街を覆っていました。その中でも私が気になったのがこのメリーゴーランド。たくさんの子どもたちで賑わい、その周りで見守るお父さんお母さんたち。
気温は1〜2度ですが、子ども達はそんなことはお構いなし。ヨーロッパの街にメリーゴーランド、そして銀髪の男の子。ああなんて贅沢なのでしょうか!
目が合ったこの子は、この後ちょこっと微笑んでくれたので、お礼を込めて「ニカッ」と歯を出して笑い返したら、変な顔をされました…不審者だと思われてなければ良いのですが。
ホットワインの美味しさに思わず…
クリスマスマーケットのお楽しみといえば!そう、ホットワインと伝統的なチェコフード!ですよね。実は私はお酒があんまり得意ではありません。でも、昔イタリアで飲んだホットワインが美味しかった記憶があって、チェコでもそれを楽しみにしていました。
オロモウツではホットワイン、一杯48チェココルナ(日本円で250円くらい)。各都市で値段も味も違うらしく、フルーツの缶詰をワインの中に入れて、さらにお砂糖も入れて甘くして飲むのがオロモウツ流。
寒い寒い外で飲むとポカポカ体が温まり、しあわせ〜な気分に。ただ単に酔っ払っているだけ、という説もなきにしもあらずですが、あまりの美味しさに3杯も飲んでしまいました。
そしてチェコの伝統的なファストフードでもある、この丸いもの。これはポテトの千切りとあらゆるスパイスをまぜてフライにしたもので見た目はまるで、そう!お好み焼きみたいだなーと思ったのですが、味は完全にビールのおつまみ。
カリッ!サクッ!とした食感にハーブなどのスパイスと程よい塩分がマッチしていました。
ホットワインの他にもアーモンド、はちみつ、チェリー、キャラメルといった様々なフレーバーのホットアルコールもあり、私はアーモンドを飲んでみました。
このお酒を売ってくれたおじさま、日本に旅をしたことがあるんだよ!と嬉しそうにニコッとカメラ目線をくれました。お酒も優しい甘さにアーモンドの香りも豊かでとっても美味しかった。私はすっかりこの街のトリコになってしまいましたよー!
名残惜しいオロモウツを後にして私はここからほど近いミクロフという街に立ち寄りました。
中世の面影残る街・ミクロフ
ミクロフは一周を自転車でさらりと周れてしまうほどの小さな小さな街。そこにオススメのチーズ屋さんがあるというので行ってきました。
棚一面にずらりと並んだまあるいチーズ。店内も香ばしいチーズの香りでいっぱい。これは「チーズ天国」だわ〜!何を隠そう、チーズ大好きな私。
どれもこれも美味しそうで目移りしてしまいます。お店にはチーズに合うワインも販売しており、そのプライスカードがチーズ型!オーナーのチーズへのこだわりと愛を感じられます。
私はそこでチーズ…ではなくチョコレートを買いました。日本ではなかなかないダークチョコレートにレッドペッパーがちりばめられた大人向けのそれは、ビターな甘さの中にピリッとアクセントのある初めて食べる味でした。
せっかくなのでチーズ屋さんからほど近いところにある街を一望できる高台で撮影。
実はこのミクロフはチェコとオーストリアの国境に位置していて、ここから数kmでオーストリアに入る事ができます。360度撮影ができるTHETAで撮ったここに見える建物の全てがミクロフの街です。
自転車で一周できるというのも納得ですね。中世の面影が色濃く残る街並みがとても気に入ってしまいました。